先日の講演会で聞いたお話です。
今、北海道ニセコ町は、パウダースキー楽しめるリゾートとして有名になって、訪日外国人も多数、ニセコを訪れていると聞きます。
地価の上昇率も全国一位になって、地方創生の優等生とも言われています。
ですが、内情をお聞きすると課題も多いと…。
インバウンドの成功で多くの外国人が、ニセコに詰めかけるようになり、地元雇用面にも貢献していると思っていたのですが、確かに働く場は増えたけれど、外国人を相手にするための語学力が地元の人では心もとないため、ガイドやコンシェルジュといった表にたっているのは、ワーキングホリデーなどで来日する外国人なのだそうで、一方地元の人は、裏方のそんなに賃金の高くないところにいる人が多いのだそうで、端からみえるほど地域が潤っていないというのです。
そして、地価の上昇に伴い、固定資産税などの上昇によって、税金を滞納する人がいて、もともと地元にいた人が離れている現象があるそうです。
さらには、オーナーの多くは外国企業で、がっつり稼いでもすべて外貨として持ち出されてしまうということ。
こういったことが事実だとすると、さて、本当にニセコの観光は、優良事例といえるのだろうか…とふと疑問がわいてきます。
地域の振興において、何より重要なのは、そこでもともと暮らす人が幸せと感じているかどうかです。もちろん、地域に魅力があり、そこに移り住んで幸せを享受することがあってもいいと思います。
本来は、そこで人が活き活きと暮らす姿こそが重要な地域の振興です。単に売り上げがあって、にぎわいがあって、それはある意味まやかしの幸せに過ぎません。
土着の人が、ここで暮らせてよかった、そう思いることがもっとも大事だと思うのです。
ニセコのようなにぎわいを私たちが同様につくりだすことなど、とうてい難しいことです。
ですが、賑わいを求めて、安易に外部資本の導入をしたとて、それは自分たち自身が作り上げたものではないから、結局のところ、そうやって地域が搾取される…そうなっては地域振興も意味がありません。
苦労を喜んでしていいとも思わないし、自分たちに知恵や実力があるとも言わないけれど、一つひとつ地域の人で、つくりあげていく地域振興こそが本当は意味のあることなんだろうと…
そんなふうに思います。