今、ハチ北は第2フェーズを迎えています。
第1のフェーズは、50年前。
単なる村岡の山奥でしかなかった場所に、スキー場を作ろうとした時期です。
ハチ北スキー場は外部の資本の参入によって、作られました。
地元は、駐車場を整備し、民宿を作りました。
行政は、それを後押しするように、道路、下水などのインフラでそれを支えてくれました。
まさによそ者を迎え入れることで、地域にイノベーションがおきたわけです。
それから50年たち、かつて40軒ほどが民宿を営んでいたのですが、後継ぎがいないなどの理由で、廃業をしたりして、今は半分ほどに減っています。当時、大きな投資をして、建物も大型化したものの、廃業してしまった宿では、住むには大きすぎて、維持管理が困難になりつつあります。
そこで、家主の中には、そういった建物を外部の人に売却をしていこうという人も現れてきています。
再び『よそ者』を入れるということで、イノベーションを起こそうとしているわけです。
第1フェーズであった50年前、スキー場運営を外部資本に委ねたもののそれ以外は、ほぼ地元がすべてを取り仕切り、いい意味でも悪い意味でも閉鎖的に運営をしてきていました。
いい意味というのは、気心が知れる同じムラの人が運営をすることで、ルールや秩序などが保たつことができたわけです。
第2フェーズを迎えつつある今は、その秩序が大きく崩れかけてようとしています。
イノベーションをとるのか、秩序をとるのか…
難しい局面に迫られています。
ただ、根本的に難しいのは、一度崩れた秩序は、もとに戻すということができないということです。
観光というのは、地域というものがとても重要です。
そこに、秩序を形成することで、そのエリアの魅力を高めることにつながります。
一つ例にとると、建物の外観に秩序をもたせることで、その地域に統一感が出ます。それが、その地域の表情になり、そこに多くの人は感動を覚えたり、安らぎを覚えたりするものです。
かりに、地域の建物が日本家屋ばかりだったしましょう。
そこに新たなオーナーが入り込み、私は洋風が好きだからと、そこに洋館を建ててしまうと、自分ではよかれと思っても、地域の景観は大きくそこなわれていくはずです。
だから、イノベーションをおこすといっても、そこにはある程度の秩序やルールが形成されなければならないのです。
一番理想的なのは、そこでずっと暮らしてきた人が、自らがイノベーションをおこすようにしていく覚悟をもち行動力を発揮することです。
『よそ者、ばか者、若者』がイノベーターとして、突破口をつくりだすことに依存せず、自らが変革をおこし、突破口をつくっていくしかありません。
『よそ者、馬鹿者、若者』に抗うことができるのか…、第2フェーズに求められることはそういうことです。