先日、あるかたと少子化の現状についての話になりました。
昨年、出生した子供の数は、香美町の旧村岡地区で、14人だっただそうです。
私の地元である兎塚の幼稚園に入学した児童が5人。
国は地方創生を掲げて、さまざまな施策に取り組んでいますが、現状は大変厳しい状況にあります。
当たり前に考えると、学校統合の話が出てもおかしくありません。
一方、香美町は、学校施設の耐震化が遅れているということで、平成23年頃から、現存する施設の耐震化をすすめました。
国が示している人口統計では、香美町の子供の数は急激に減っていることが予測できていたわけですから、現在の子供の数になっていくであろうことは承知していました。
当時、香美町教育振興基本計画で、
「少子化が明らかであっても、学校統合はしない」
と決断され、それに基づいた施策で、町も大きな予算を投入して、耐震化を進めてきたわけです。
ある方からは早々と学校を統合すれば、それだけの予算を投入しなくても良かったのではないか?という意見もあります。
しかし、学校統合をしなかったもっとも大きな理由は、統合することによって、地域のアイデンティティが失われてしまうということだと私は理解しています。
学校は地域のランドマークであり、子どもたちの学び舎であるだけでなく、地域のシンボルでもあります。
過去に、地元の中学校が統合してしまった経験をもっていますので、そのことをひしひしと感じます。学校が失われると、地域のよりどころがなくなってしまい、自分たちがその地域(学校区)の一員であるという意識が急速に失われていきます。
だから、たとえ子供の数が減っても、なんとか学校を維持させていきたいという地域の思いは痛いほどよくわかるのです。
一方、そこに財政的な問題がなければ何の問題もないのですが、学校が多く存在するということは、それに伴う経費が多くかかります。
また、人数が減ることによって、集団で行動する機会を失ってしまうこことによる社会性が育まれないという指摘もあります。
さらには、、この広い香美町で、学校を統合することは、通学等で大きな負担が増えることも間違いありません。
香美町では、スーパー連携チャレンジプランと言って、隣の学校とパートナーを組んで、一部の授業にお互いが行って、いっしょに学ぶという取り組みをしていて、この取り組みについては教育界でも高い評価を受けているようで、他県や教育関係者の視察が多くあるようです。
私は、既存の学校を残しながら、それらの諸問題を解決していく方法はあると思っています。
それが、ICTを活用するということです。
例えば、ある授業をライブ映像で、他校にも配信し、さながら、バーチャルな形で、授業を受けるなどすれば、極端な話、先生は一人いればいいことになります。
板書に先生が書いて、それを書き写すような一方的な講義であれば、ビデオ映像にして、それを家庭学習で予習することで、授業は、他の生徒とコミュニケーションをしながら、協力したり、議論をしたりするような本質的な授業に絞ることもできます。
他にもいろいろな活用方法があるかもしれませんが、とにかく、「文明の利器」であるICTを存分に活用し、そういった問題を解決していくのです。
また、別の問題解決にもつながると考えています。
先ごろ、私の子どもが通う小学校の連絡網に、ようやくe-mailでの情報発信を学校が正式に活用することになり、登録のための文書が配布され、現在学校からの連絡事項がメールでも届くようになっています。
やっとここまで来たかぁ
という感じです。
LINEや、Facebookなどの無料のSNSをやっている人からすれば、ずいぶんと時代遅れな感じもしますが、教育界でのICT、特にコミュニケーションツールとしてのICTはまだまだです。
ICTを活用することによる弊害というものもゼロではないと思いますし、みんながみんなスマホを所有しているわけでもないということなのかもしれませんが、既にそれらを使っている人は、時間の節約や、会議の密度が濃くなるなどのメリットを感じていることのほうが多いと思います。
私自身、役所からの諮問を受けたような重たい会議から、ごく近い人での気楽な集まりも含めると、おおくの組織やグループに所属していますが、SNSを活用して、会議で集まる回数を減らしたり、議事録などをそこから配信して、共有化したり、またSNS上でも議論をしたりすることで、時間がずいぶんと有効に活用できるようになっていることを実感します。一番遅れているのが、行政が絡む会議だったりしますが…。
もし、子どもたちが、それらのメリットを十分に活かして、どんどん活用していければ、効率的でより密度の高いまちづくりにつながります。
そのためにも、子どもの頃から、そういうものを慣れ親しみ、もはやそれが当たり前というところとまで落とし込んでいくことで、多くの地域課題の解決につながるはずです。
この少子高齢化による衰退度は、本当に深刻な状況です。
町としての改革は急務です。
まずは、その先鋒は、小学校の現場からではないかと思います。