石見銀山には2度ほど伺ったことがあります。
いずれも団体での旅行でした。
一度目の時は、銀山の坑道をまっしぐらに目指し、ざーっと見学をして、ほどなくして次の行程に行きました。
いっしょに参加した方からは、
「全然たいしたことがなかった」
と漏らしていて、兵庫でも、生野銀山などの産業遺産的なものはいくつもあるので、あまり大して変わりないな…という印象を私も受けました。
2回目のときは、エコツアーとか、ガイドサービスとかそういうものに私自身の関心が高まったこともあったりしたので、意識的に、有料のガイドさんにお願いをして、坑道を案内してもらいました。
歴史、文化、人の生活や営み…そこがなぜ世界遺産であるのか…、そのことをじっくり説明を受けました。
まったく同じものを2回も見ているのに、2回目の時は、ものすごく感動しました。
(2回目のときは、そのガイドさん以外に、幸運にも石見銀山生活文化研究所の松場大吉さんが、ご案内してくれて、これまた石見銀山のある大森地区をじっくりと説明してくださって、これまた大感激しました。)
その、石見銀山でのガイドサービスを受けて、ものすごく感動したシーンがあって、私たちにガイドしてくれている最中に、地元の人とすれ違うたびに、軽く手をあげて、アイコンタクトしているのです。
おそらくこのガイドさん、いつもそうしてらっしゃる方なのでしょう…
ああガイドさんはほんとうにこの地域を愛しているんだなー
そんなことが、伝わってくるんです。
他の方からすると、別にとりたてて特別に思わない何気ないしぐさでしたが、私にはものすごく強烈なインパクトとして脳裏に焼き付いています。
私の近くでも、すばらしい観光地はたくさんあって、たくさんの人が訪れる場所もたくさんあります。有名になって人が押し寄せてくる場所は、歴史があったり、文化があったり、観光客を魅了する何かがそれを引き付けるわけですが、究極的には、その地域を心から愛している人がいて、地域の人通しの心が通っている場所に、観光客も同化していく感覚が、人が吸い寄せられていくのだと思います。
もちろん、愛しているからこそ、周辺も整備されてくるわけですよね。
地域愛がにじみ出る場所というのは、取り立てて何か特別なものがなくても、人を魅了させることが十分可能なのです。
人こそが観光の宝ですね…