私が学生でスキー部に在籍していたとき、大学最大のイベントであるインターカレッジは、1月中旬に実施されていました。
日本の一般的なスキーシーズンは、12月中旬ごろがスタートですから、わずか1か月で、『本番』に照準をあわせなくてはなりませんでした。シーズン前にいかに滑走日数を確保するかが、とても大事で、それぞれの大学で、いろいろと工夫をされていたようです。
私が入学した1年目は、11月の後半から、北海道で合宿を行いました。
11月後半から滑れるスキー場というのは、それほど数がありませんでしたから、大雪山層雲峡という非常にマニアックなところでシーズンインし、その後、積雪の状況をみて、ニセコに移動し、12月20日頃兵庫に戻ってくるというスケジュールだったと記憶しております。
2年時には、先輩がいろいろと研究をして、海外遠征でのトレーニングキャンプを実施することになりました。
当時、確か1ドル80円台だったと記憶しているのですが、空前の円高で、海外には実に安くいけて、北海道でのトレーニングと費用面的にそう大きな差はないということで、アメリカコロラド州でトレーニングキャンプを行ったのが、私自身は、初めての海外経験でした。
カッパ―マウンテンというスキーリゾートで、スキーエリアだけでなく、周辺のコンドミニアムや、ショップなど、スノーリゾートというのは、こういうところなのかと、もう驚きの連続でした。
3回生、4回生の時も海外で、ブリッケンリッジ、マンモスマウンテン、マウントバチュラーなどなど、アメリカのスノーリゾートをいろいろと経験させていただきました。
ちょうど、スキーのワールドカップは、12月ごろは、いわゆる北米シリーズと呼ばれていて、カナダ、合衆国のいくつかのレースを転戦するころで、、ヴェイルでの女子のダウンヒルレースもあったりして、初めてスキーワールドカップも観戦しました。そのワールドカップの調整のために、スイスのナショナルチームが私たちがベースにしていた、同じスキー場で調整のための合宿もやったりしていました。
そんなことで、自分が兵庫の山奥でしかスキーをやったことがなかったので、これが本当のスノーリゾートなんだ…と感動しました。
大学卒業後、就職もせず、プータローをしていたことは以前お伝えしたことがあると思いますが、カナダに渡った折に、ウィスラーってどんな場所なんだ?と夏のウィスラーを訪ねたこともあります。
ご存じのとおり、バンクーバーオリンピックの時のスキーの競技会場だったのですが、夏のウィスラーも避暑地として、マウンテンリゾートを形成していて、これもまたすばらしい設備や環境が整った場所でした。
そんな経験をしてきたこともあってか、いわゆる『リゾート』というものに強い関心をいだくようになってきました。
自分が住む町が、観光で成り立っていることは理解していたので、この世界でもトップレベルのマウンテンリゾートと、自分たちの地元スキー場の差っていったいなんなんだろう?どうしたら一歩でもそんなところに近づけるのだろう…と素人ながらに、いろいろ考えを巡らしたことも多かったです。
最近、『まちづくり』とよばれるさまざまな活動をしていますが、
ふと、自分がまちづくりに対して追い求めているのは、あのときの感動だったのではないか?
改めて、それに気づきました。
今の時代、またこの地域にあって、北米と同様のリゾートができるとは思っていませんが、人が集い、賑わいをつくるという意味では、大きい小さいはあまり関係がないように思います。
私が普段住んでいるところが、『観光』を手段として、経済が回っているので、余計にそう思うのですが、人が訪れて、感動をさせてくれる場所にならないといけないと思います。
私は、さまざまな観光地を訪れて感じることは、『繁栄しているところは止まっていない』ということです。
先立つ金がないと、投資に踏み切れない…、それは一つの事実だと思います。
しかし、そこはバランスの問題で、いつまでも何も変わらないと、お客様が感動をしてくれることなどありません。
小さいところなりに、常に変化し続ける場所でない限り、お客様が『感動』を提供し続けることはできないのです。
学生の時に感じたかつての夢を、ちょっとでも実現できるよう、がんばりたいと思います。