私は世界遺産にはそれほど行った経験はないですが、日本でいえば、石見銀山に一度訪れたことがあります。
実は、石見銀山に行ったときに、一つの感情が湧いてきました。
『但馬の風景とそんな変わらん…』
山陰地方の街並とでもいうのか、白川郷などのように、明らかに建築様式など、特徴的なたたずまいではなく、但馬のどこにでもありそうなそんな雰囲気を感じました。
ユネスコの世界遺産は、世界の人々の遺産として残すべきものとして存在しているわけですが、ある意味それは、これからの時代のありようを示すフラッグシップのようなものではないかと思います。
建築を商いとしているものの一人として、私たちの地域をどのようにデザインしていくのかということを共有する意味で、一つ分かりやすいモデルではないかと思うのです。
地域にはさまざまな方がいらっしゃいます。好みもバラバラです。モダンを好まれる方もいれば、カントリーを好まれる方、また和風を好まれる方さまざまです。
しかし、地域とか街並という観点からいうと、ある程度統一感のある外観というものが必要だと私は思っています。
だから、外観に関しては、その地域を特徴づけているフラッグシップ、例えば石見銀山の街並のようなところをモデルとして、それに沿った形で整備していくべきではないかと思います。
個人のし好は、内装の部分でしっかりと表現していく…そんなのがこれからの建築のあり方なのではないかと思います。