私が尊敬する伊那食品工業の塚越会長の著書で、成長は末広がりがよいと語っておられます。
伊那食品では、売上目標というのは基本的には存在しないそうです。もし唯一目標があるとすれば、それは前年度を下回らないということだそうです。
目標の建て方として、どうなんだと思われる方もおられるかもしれません。
しかし、2~3年度の期間をみると大したことには見えないこの目標も、では50年というロングスパンでみると相当厳しい目標設定であると思います。
絶対に業績を前年下回らないということにコミットメントして、それを何十年も維持し続けるということは、確実に成長を続けないといけないわけです。
私はそのおはなしを聞いた印象としては、その成長の意味が人としての基本的な部分の成長をしっかりとはかっていかないといけないという印象があります。
あいさつができるとか、掃除が徹底しているとか、報連相が確実にできるとか、人としては当たり前にできなくれはいけないことが確実にできていないと、おそらく50年とかいったロングスパンでの成長はできない…単に表面的な数字上の売上では、やはりどこかにほころびがでてしまい、どこかで成長がとまってしまうような気します。
『成長の限界(ドメラメドウズ他著)』という本を読んでいるのですが、そのなかで面白い例え話があります。
一枚の布を33回折るとどのくらいの厚みになるでしょうか。
答えは実に、5400キロに相当するそうです。(もちろん現実的には、33回も折るなどというのは不可能なことですが…)
つまり、一見小さな成長もそれを確実に積み重ねると、大きな差になるということです。
だから、決して一見すると緩やかな成長というのは、簡単そうで実は相当厳しいし、それをやり遂げるためには、あらゆる努力が必要ということだと思います。
目先の成長ではなく、そういう遠きをみた確実な成長を目指し、人間の内面も大きく成長できるような自分でありたいものです。