国道からハチ北に至る道。 | ニシムラマサキのブログ 【株式会社 西村工務店 代表取締役】【 SASAYA・うづかの森 オーナー】

ニシムラマサキのブログ 【株式会社 西村工務店 代表取締役】【 SASAYA・うづかの森 オーナー】

どうすれば地域を『素敵』に変えられるのか、誇るべき田舎になるのか、そんなことばかり考えています。

ご存知かどうかわかりませんが、福岡から、中大谷にかけてバイパスができます。口大谷の桜の並木の手前ぐらいから、大谷川の右岸をとおり、スカイバレイまで行くという計画です。

当初は、現道を拡幅すると言う予定もあったと聞いています。
しかし現道の拡幅は、多くの立ち退きが必要で、かなりの補償が必要であったということと、いろんな利権がからみ、賛成派、反対派などいろいろ意見が分かれたとのことでした。

そして、計画は、ほとんど立ち退きを必要としない右岸の計画になりました。しかしここでも、どこから右岸側に進入するかということでもめにもめました。


最終的に、先ほどもうしあげた計画で落ち着くこととなりました。


この路線での道路拡幅は、長年の地域の悲願でありました。


口大谷の部分はかなり道路が狭く、蛇行しているので、大型の車同士は離合するのに、かなり苦労をしています。

そして、一番の問題は冬季の通行にかなりの支障が出てしまうことです。

冬季は、積雪があります。

一晩に40~50cm降ることはざらにあるため、そうなると普通車同士でも離合が困難になります。


困ったことに、あまり道路事情が理解できないお客様が、スノータイヤをはいて、入山してきても、40cmも降ったところをあがろうとするのですから、途中で車がストップしてしまいます。先ほど言いましたように、ただでさえ離合しにくいのに、積雪のある道路では、完全にその車一台のために、下ることも上がることもできなくなるという事態が発生してしまうのです。


また、除雪車が入っても雪を捨てる場所が少なく、これもまた交通の支障になっています。

ときに、国道にでるのに、2時間近くもかかってしまったということも一度や二度ではありません。


そのような道ですから、大型がスムーズに離合できる幅を確保するための工事がどうしても必要だったわけです。

また、スカイバレイスキー場が以前ソラ山スキー場と呼ばれていて、経営不振であったのを当時の川崎製鉄グループである川鉄ライフ(現JFEライフ)が経営を引き継いだときの条件が、道路の整備を行うということを町に対して条件として要望していたという経緯もあります。

スカイバレイも経営的には決して楽ではありませんが、冬季の雇用の受け皿として、それなりに地域の発展には寄与できていることを考えると、そういったことでスカイバレイへの送客という意味でもこの公約をきっちり行政としても果たす必要があったのでした。


以上のような経緯があり、21年度から事業がスタートしています。


確かに、美しい風景が少なからずとも壊れてしまうということは否定はできません…。


ただ、地域経済という視点にたった場合、地域への交流人を増やし、地域にお金を落としてもらうことで、私たちの生活を維持向上させることができるわけです。

そのためには、魅力的な地域を作り出すことが必要です。
いま生物多様性ということをよく耳にします。さまざまな生き物が織り成す世界を保全し、その恩恵にあずかることによって、私たちの生活が成り立つという考えかたです。


これは何も農林水産業だけに特化した考えではなく、観光業にも当てはまります。地域の美しい自然を保全しながら、自然の魅力を維持向上させることで、多くの人が交流できるきっかけをつくることができるのだと思います。


ハチ北では夏になるとホタルのイベントを実施していています。
ホタルシーズンの最盛期にはそれこそ何百というホタルが、夜空に現れ、本当に幻想的な風景をかもしだします。

特別なことは何もしていませんが、田んぼの持ち主である地元のかたがたが、ホタルが成育しやすい環境をつくるために減農薬に取り組んだり、水路に幼虫であるカワニナがすめる環境を維持しようと配慮してくれています。


道路をつくることと環境保全するという一見相反することを地域はやっていますが、すべては地域が将来にわたって経済的に自立し、持続可能な地域をつくるためにやっているということをぜひご理解いただきたく思います。