社員Kさんが、還暦を迎えることになりました。
当社の定年は60歳ですが、再雇用制度をつくり、65歳までは働いていただくことになりました。いままでなら、定年の送り出しみたいなことをやだったのですが、今回は還暦のお祝いということで、そのお祝いをということでさせていただくことにしました。
会社の食堂で、ささやかな食事会を企画し、みんなでわきあいあいと懇談に花を咲かせました。
いま、60歳とはいっても、まだまだみなさんお元気です。私の父である会長も、66歳ですが、毎日会社に来て社員同様、仕事をこなしています。
本人は、「ハヨ引退させーよ」とぼやいていますが、そうはいいながらも、いまこうやって会社で仕事をができることにはそれなりの喜びを感じているようです。
私はまだ齢37歳ですので、よく自分がこの会社の経営者としてやっていることに、みなさん驚かれます。そして、さらには会長が健在で、会社に来ていることもまた驚かれます。
会長は、もともと職人からたたきあげてきた人ですので、本人の思考はいまでも職人気質的なところがあり、いわゆるマネジメントという分野は苦手に感じているようです。
私がそこの部分を立派に果たしていると自信をもっていえるわけではありませんが、主にそういうマネジメントの部分を私が担い、会長は職務的には、現場監督的立場で仕事をしています。
そうはいいながらも、私にとっては、貴重なアドバイザリーであることには変わりがありませんし、また社員にとっても、その存在価値はとても大きいものがあります。
日本は年功序列社会であり、どうしても、年齢の上の人に対してものをお願いしたりするのは、なかなかいいにくい部分があります。
しかし、今回のKさんのこともそうですが、60からの5年間、同様に仕事をしていただきますが、主導は若手でお願いしますとお伝えしています。
いままで、自分の部下としてかかわってきた人に、今度は指示を受けるというのはなかなか受け入れがたいところもあるのかもしれません。しかし、私と会長の立場のようにそれぞれがもっている力を出し切れるようにお互いに信頼しあって仕事をしていくということだ大事だと思います。
私の会社では、まだまだ私より年齢も大きく、ベテランの社員さんのほうが、多いですが、単に役職が上だから上からモノをいうようになってしまえば、会社がギスギスしてしまいます。
あくまで、会社組織の中では機能的に組織を運営するために、役職というものがついているのであって、人間の上下関係にまでは及ぶことはないと思っています。
ある意味今回のKさんが65歳まで勤めていただくというのは、会社にとっても初めての経験でありますが、しかし、人生80年時代において、社会に役にたっていける場をつくっていくというのが、会社の役割でもあります。
今までの経験を生かしていただきながら、若手の育成、そして仕事自体が本人にとっても楽しい生きがいになれるようなそんな社風をつくっていきたいと思います。