アマチュア野球をめぐる旅。 -10ページ目

アマチュア野球をめぐる旅。

高校野球を中心にアマチュア野球(ときどきプロ野球)の観戦記。

東東京大会・準々決勝、関東一対雪谷を観戦に神宮球場に足を運んだ。

今春のセンバツに東京代表として出場している関東一は春夏連続出場を懸けて準々決勝に進出。
雪谷は03年に夏の甲子園初出場。昨年は二松学舎大付、一昨年は国士舘と私学に甲子園出場を阻まれている。

雪谷は11年(3回戦)2-3、10年(4回戦)0-2と関東一が夏の甲子園に向けて行く手を遮っている。



クールダウンする鈴木優


関東一は羽毛田晶啓、雪谷は鈴木優という両エース右腕を先発マウンドに送り出した。

鈴木は180cm・75kgという恵まれたサイズから最速145㌔のストレート、カーブ・スライダー・スプリットを投げ込む。
小さいテイクバックから右腕を撓らせる投球フォームは、摂津正(ソフトバンク)を彷彿とさせられる。
プロ志望を明言しており、秋のドラフト戦線に向けて各球団が投球に注目している逸材である。


「小山台・伊藤優輔が完投勝利」(弊ブログ・7月22日付け記事)
http://ameblo.jp/go-baseball-studium/entry-11898126552.html



セットから投球を続けた鈴木優


1回表、関東一は一死1・2塁から3番・伊藤雅人の左前適時打で先制点を挙げる。
1回裏、1番・山北泰輝、2番・菅野智也が連続四球。3番・畠山仁吾にも2つのボールが続き羽毛田は降板する。
田邉廉に継投するが、畠山が犠打で送り一死2・3塁と一打逆転の好機を迎える。
4番・鈴木の右前適時打で同点、さらに5番・神子堅吾の右前適時打で雪谷が逆転に成功する。

初回の攻防には羽毛田の思わぬ降板があったものの、30分以上を要した立ち上がりであったことも記しておく。
負けたら最後の夏の大会ではスピーディーな試合が原則の高校野球でも時間が掛かる傾向にある。



得点で盛り上がる雪谷スタンド


5回表裏が終わって両校の攻守の成績を紹介しておきたい。

関東一 安打3・四死球5・失策2
雪谷  安打4・四死球4・失策0

両校ともに安打数の同等以上と四死球が非常に多く、試合序盤から引き締らない試合展開という印象を受けた。

7回表、8番・熊井智啓の左前安打。9番・阿部武士の二ゴロの間にスタートをきった熊井が二塁へ進塁。
1番・オコエ瑠偉が三振後、2番・篠田泰成の右中間を深々と破る適時三塁打で関東一が2-2と同点に追い付いた。



試合後のスコアボード


8回表、二死2塁から7番・五十嵐雅大の右越え適時二塁打で勝ち越し。
8番・熊井の中前適時打、9番・阿部の右中間への適時二塁打で合計三点を加えた関東一が試合を決定付けた。

鈴木は177球を投げ抜き、被安打9・奪三振6・四死球7と前述したように最後まで制球に苦しんだ印象である。
神宮球場のスピードガンで、ストレートのアベレージで130㌔台後半、最速は139㌔だったと思われる。

結果論になってしまうが、雪谷は1回、3回と満塁の走者を残塁で終わった攻撃で一本が欲しかった。



試合後の鈴木・三井①



試合後の鈴木・三井②
神奈川大会・3回戦(東海大相模対横浜サイエンスフロンティア・湘南学院対武相)を観戦に保土ヶ谷球場に足を運んだ。

横浜サイエンスフロンティアは、2回戦・横浜栄を9-1で下して夏の大会、初勝利を挙げている。
09年に横浜市立の高校として開学、同年に野球部も創部。神奈川県内で唯一理数科の高校である。
また、1期生から東京大3名、2期生からも東京大5名、東北大4名、京都大1名などの大学合格実績を挙げている。



東海大相模の先発・佐藤雄偉知



リリーフした吉田凌


東海大相模は背番号10・佐藤雄偉知、横浜サイエンスフロンティアは相原裕樹を先発マウンドに送り出す。

佐藤は190cm・90kgという恵まれた体躯から豪快に投げ下ろす140㌔を超えるストレートが魅力である。
フォームには投球毎に大きなムラが見られるが、指に掛かったストレートの球筋は目を見張るものがある。


1回表、横浜サイエンスフロンティアは三者凡退で終えるが、三振することなく打球を前に飛ばしていた。
神奈川大会は強豪校のハイレベルな技術に注目が集まるが、強豪校に立ち向かう学校の努力も見逃せない。



ベンチ前に集まる横浜サイエンスフロンティア


相原は低めに制球したストレート、スライダーを丹念に投げ抜き、3回まで無失点で序盤を切り抜ける。
外野守備陣は、フェンスの手前まで下がる陣形を敷き、通常シフトでは頭上を越えるような飛球も処理していた。


4回裏、4番・平山快の中前安打、5番・南谷勇輝の左前安打で無死1・3塁と得点圏に走者を進める。
6番・長倉蓮の中犠飛で先制、さらに7番・千野啓二郎の右前適時打で二点目を挙げる。

6回裏、一死2塁から6番・長倉の適時二塁打、8番・佐藤の左前適時打で4-0と東海大相模がリードを広げる。
8回裏にも一死3塁から6番・長倉が適時二塁打で三打点目を挙げて5-0と突き放して、4回戦進出を決めた。



試合後のスコアボード



東海大相模は、佐藤が6回0/3と6回途中で降板。背番号11・吉田凌、背番号1・青島凌也と三投手で継投した。

佐藤 6回0/3 被安打2・奪三振5・四死球0
吉田 7回   被安打1・奪三振5・四死球0
青島 1回   被安打0・奪三振2・四死球0


「横浜が相模を破って関東大会へ」(弊ブログ・13年10月8日付け記事)
http://ameblo.jp/go-baseball-studium/entry-11630471929.html

「東海大相模・佐藤雄偉知が1安打完封」(弊ブログ・13年9月26日付け記事)
http://ameblo.jp/go-baseball-studium/entry-11621551498.html



星川駅から保土ヶ谷球場への急坂です
東東京大会・4回戦(小山台対足立学園・岩倉対修徳)を観戦に神宮球場に足を運んだ。

ちなみに、日程では第1試合に足立新田対多摩大目黒、第4試合に東亜学園対高輪と四試合が組まれていた。

小山台は今春のセンバツに21世紀枠から出場。都立高校としてはセンバツ初出場の快挙であった。
1回戦・堀越、2回戦・早稲田実、3回戦・日大豊山を、立て続けに撃破した「秋季大会・8強」が決め手である。
センバツでは1回戦で履正社に0-11という大差、さらには9回一死まで無安打に抑えられて完敗している。



小山台のエース・伊藤優輔


小山台は伊藤優輔、足立学園は片倉翔太、ともに「エースで四番」を務める両投手を先発マウンドに送り出した。

伊藤はエースピッチャー、四番打者、更にキャプテンと三役を務める文字通りチームの大黒柱である。
左脚を垂直にリフトアップ、小さいテイクバックから振り下ろす投法は慶応大時代の福谷浩司を彷彿させる。
最速144㌔のストレート、スライダー・スプリットなどを投げ込む。都内有数の進学校・小山台からは進学が有力。

足立学園と言えば、「下町のダルビッシュ」の異名で注目集めた吉本祥二(現ソフトバンク)が記憶に新しい。

「下町のダルビッシュ・吉本祥二」(弊ブログ・11年7月12日付け記事)
http://ameblo.jp/go-baseball-studium/entry-10950926644.html



曇天の神宮球場


1回表、小山台は二死2・3塁から片倉の暴投で先制。1回裏には二死満塁から伊藤のボークで同点とされる。
伊藤は被安打4、四死球1という苦しい立ち上がりで初回を何とか一失点に抑えたという印象。

3回裏、二死1塁から伊藤同様にエースで四番打者、4番・片倉の右越え適時二塁打で足立学園が勝ち越し。
4試合が組まれていた神宮球場は5回裏終了後、グランド整備を省略して試合は中盤から終盤に突入していく。

6回表、一死から5番・諏訪健太が左前安打、6番・竹下直輝が左翼線二塁打で2・3塁と得点圏に走者を進塁。
7番・伊関大地の二ゴロで三本間の走者が挟殺プレイで二死。8番・菅井晃祐に代打・志村優十茂が四球で満塁。

続く9番・風間航の中前二点適時打で小山台が逆転に成功した。
片倉は3ボールナッシングからフルカウントまで立て直したが、勝負球が甘く入ったように見受けられた。



四試合が組まれた神宮球場


9回表にも5番・諏訪の中前適時打に、相手失策が絡んで三点を加えた小山台が6-2で足立学園を下した。
足立学園は吉本を擁した三年前と同じく4回戦で姿を消すことになった。

伊藤は被安打8・奪三振8・失点2という投球内容で完投勝利(打撃は4打数無安打)。
1回裏、被安打直後に牽制アウトを取る。6回裏、逆転直後はクリーンアップを三者凡退に抑えて試合を作った。
5回裏にも無死からの送りバントを、鋭い出足で処理して二塁封殺するなど要所で能力の高さを垣間見せた。



足立学園は5年連続で4回戦敗退



試合後のスコアボード



修徳は4-6で岩倉に敗れて連覇ならず