浦和学院と王子 | アマチュア野球をめぐる旅。

アマチュア野球をめぐる旅。

高校野球を中心にアマチュア野球(ときどきプロ野球)の観戦記。

埼玉大会準々決勝のフィナーレを飾るのは浦和学院対立教新座の試合だった。
両校の対戦は、昨夏の南埼玉大会の決勝カードが記憶に新しい。


アマチュア野球をめぐる旅。
試合が始まる頃には照明が点いていた。


一年と一ヶ月余りの月日が経つと、両校共に決勝当時から二世代進んだことになっている。
当時の一年生が最上級生である二年生(新三年生)にステップアップ。
高校野球のサイクルの速さを感じずにはいられない。

浦和学院の選手で目立ったのは萩原大貴だった。
群馬・富岡ボーイズ時代から注目されていた選手で地元群馬では無く浦和学院に進学した。


アマチュア野球をめぐる旅。
スタンドから打席に入ると「王子!」コールが起きる萩原大貴


萩原の特徴は大きめな一本足ながら重心を安定させたまま移動出来ることではないだろうか。
ただし、一本足の弱みである狙いが外れた時の脆さは垣間見えた。
可能であれば、足は必要以上に高く上げない方がアベレージは残せるような気がした。

ちなみに、現二年生世代は、久保翔平(高知・明徳義塾中)、濱田優太(大阪・忠岡ボーイズ)など県外有望選手が複数入学している。


アマチュア野球をめぐる旅。


これまでも埼玉県近隣選手の入学はあったが、大阪・高知・富山・福島などの遠距離はあまり記憶が無い。
浦和学院の補強方針が変換された世代だったのかもしれない。
一年生にも北海道・大阪・富山出身の選手が入学している。

毎年の事ではあるが浦和学院の折り目正しい動きには様式美を感じる。
スタンドでは「軍隊的」という声を聞く事がある。
しかし、これだけの実績を残しているチームが強烈な規律を保ち、
相手に見せ付ける連動感や一体感は脅威にすら思える。
まず、試合前のシートノックのボール回しには一切の無駄が無い。


アマチュア野球をめぐる旅。


そして、試合直前には全員がバットを持って素振りを始めるのは恒例行事。
毎回「ボールを見極めている」と言わんばかりの威圧感をネット裏から感じる。


アマチュア野球をめぐる旅。


極めつけは試合終了後のクールダウン。ランニングする足並みは乱れる事を許さない。
浦学の最終試合で何度かこのシーンを見ているが他校も同じ事をやっていいのだろうか?

「今季の浦学は強い!」というのが率直な感想である。
前述のようなチームとしての規律を保ちつつ、選手のスケールの大きさを感じずには居られなかった。

萩原、久保、星のクリーンアップはツボにはまれば長打が期待できる器。
そして、エース阿部良亮は二種類のスライダーと安定した制球で大崩はしないだろう。

9回にリリーフ登板した長谷川賢吾は現状では厳しいと言わざるを得ない。
キャッチャーの久保翔平はモーションが大きい事は気になるがスローイングは抜群。

明日、準決勝・坂戸西戦に敗れれば浦和学院の関東大会への出場は断たれてしまう。
しかし、勝ち進んだアカツキには関東大会でも上位進出が期待できるのではないだろうか?
現段階での完成度、各選手のスケール感、チームとしての伸びしろが、
バランス良く組み合わさっているように感じた今季の浦和学院であった。


アマチュア野球をめぐる旅。
夕闇迫る県営大宮球場。マジックアワーが幻想的な雰囲気を引き立てる。