東都大学とプロ野球 | アマチュア野球をめぐる旅。

アマチュア野球をめぐる旅。

高校野球を中心にアマチュア野球(ときどきプロ野球)の観戦記。

いろんなジャンルの野球観戦をススメた手前、自ら実践しない訳にはいかない。
本日は東都大学リーグの一部、青山学院大国学院大戦を観戦して来た。


アマチュア野球をめぐる旅。
牧歌的な空気の中で「戦国東都」は行われている


昨日の巨人対阪神戦終了が21時40分くらいだったように記憶している。
今日の青学大対国学院大の試合開始が13時35分だから、インターバルは約15時間。

当たり前だが、プロ野球はレベルが高いと改めて思ってしまった。
当然の事ながら、プロのピッチャーと比較すると両チームの投手も物足りない。
内野手のスローイングの正確性は雲泥の差があると言っても差し支えないだろう。

大学野球との比較でプロのレベルの高さの確かめ算をしているような気持ちになった。
東都リーグでプレイする彼らは紛れも無く、この世代の野球エリートである。
そんなわけで「プロ野球って、すごいんだなあ」としみじみ思ってしまった。

それはさておき、気になる選手を三人ばかり挙げてみたい。
青学の二年生ショート・篠塚宜政(桐蔭学園/2年)。
ジャイアンツの名セカンドとして鳴らした篠塚和典を父に持つサラブレッドである。


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ボールを体の近くまで呼び込んで軸がぶれない安定したスイングを繰り返していた


左打者にありがちな体勢を崩しながら打ちに行く事が極めて少ない。
これはポイントを体の近くに置いて、ボールがよく見えている動かぬ証拠である。

篠塚を春のシーズンでも何度か観ているが、観るたびに良くなっていく。
父親を天才型に分類しているが、息子・宜政は努力と比例して洗練されていく努力型なのだろう。
現時点でプロ入り云々を問うような選手ではないが、今後の成長曲線を楽しみにしたい選手である。


続いて、国学院大から中澤竜也(駒大苫小牧/3年)を挙げたい。
三年前の夏の甲子園決勝再試合での9回表、駒大苫小牧の攻撃を覚えているだろうか。
1-4で3点を追い掛ける場面、2ランホームランを放った左バッターは記憶にあるだろう。
そのホームランを打ったバッターが中澤竜也である。
打った直後に「いけーっ!」という口の動きと気合いの漲った表情、大飛球を目で追う斎藤佑樹の姿が印象的な、あのシーンである。

三番・中澤竜也、四番・本間篤史(亜細亜大)、五番・田中将大(楽天)は、2006年の高校野球界で一番注目を集めたクリーンアップであった。


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残念ながら中澤は伸び悩んでいるような印象しか残らなかった

打撃フォームこそ当時の面影をほんの少しだけ残している。
しかし、テイクバックを殆ど取らない打撃が、腕力と木製バットにマッチしていないように見える。

テイクバックが短い為、ヘッドスピードが出難い。球威に負けたような打球が多かった。
金属バットの場合、バットコントロールで対応して飛距離を出していたのだろう。
このままでは現状からの脱却は厳しいような印象受けた。


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高木が投げると途中から観客や国学院部員から「シュー!」と歓声が上がっていた


続いて、国学院大の高木京介(星稜/2年)を挙げておきたい。

高木のピッチングは二年前の夏の甲子園でも観ているので記憶に残っている。
ベスト4まで勝ち上がる長崎日大と初戦で対戦して終盤に逆転を許して負けている。

高木は「エースで四番」というチームの大黒柱であった。
特定のボールで威圧する訳ではなく、試合をコントロールするバランス型の投手であった。

国学院進学後、投手に専念していたらしいが、初めて生で観戦する事が出来た。
気持ちの入って小気味のいい、緩急を織り交ぜたり、テンポの良い投手になっていた。

投げる度に「シュー!」とボクサーがパンチの瞬間に「シュッ!」と口ずさむように音を発していた。
かなり大きな音量の為、耳を澄まさなくても聴こえて来る。
格闘技でパンチの瞬間に「シュッ!」と音を発するのは力を入れる瞬間、腹筋に力を入れる事となりチカラの伝導を強くする効果を狙っている。
自らを鼓舞するために効果音を出している訳では無い。


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2-1で国学院大が青山学院大を下し、昨日に続く連勝で勝ち点を奪った。
それにしても、野球はドームより外の方が圧倒的に気持ち良い。

これもまた昨日と今日の対比で改めて感じた。
これからは過ごしやすい季節でありながら、熱い試合が楽しめる素晴らしい季節である。
みなさんも球場に足を運んでみてはいかがでしょうか?