京都への新幹線の往復のお供に連れて行った本を

やっと読み終わりました↓

 

南総里見八犬伝の著者として有名な曲亭馬琴の生涯を描いた作品。

 

大名の家臣の家に生まれたものの

三男で家を継ぐ必要もなかった馬琴の不遇の時代が最初の方で描かれていて

馬琴に こんな時代があったことを初めて知りました。

 

やがて「耕書堂」の蔦屋重三郎 そして山東京伝との出会いにより

幼い頃から好きだった本を手掛けることになり

戯作三昧の日々を夢見る馬琴。

 

しかし、癇癪持ちの妻同様の病弱な息子に常に苛立ちを隠せず

歌舞伎で演じられる程の売れっ子作家になったとて

金子に苦労し 版元にも恵まれずという時期もあって

必ずしも 順風満帆という訳にもいかず。

 

 

南総里見八犬伝に至るまでの 馬琴の紆余曲折の過程に

中国の「水滸伝」がヒントになっていたんですね。

 

北斎との関係において 彼の娘婿の柳川重信という人物が

挿画を描いていたらしく

仲たがいしながらも何かと北斎との縁があったんだな~と感慨深くもありました。

 

 

途中、当時、流行していた文化、風俗などにも触れられていて

そういう意味でも興味深かったです。

 

 

以前読んだ西條奈加さんの『曲亭の家』では

馬琴の息子の嫁、路の目線で描かれていて

路の夫・・つまり馬琴の息子の宗伯という人物が

何かと 路に辛く当たっていて

舅である馬琴は居たたまれないような気持ちになっていましたが

本書、朝井まかてさんによる「秘密の花園」では

宗伯は自らの死を感じ 馬琴の小説について語る場面もあって

作家さんによって 同じ人物がこうも印象が違うことに驚きもありました。

 

馬琴自身も 晩年は自らの体調不良と 目の不調に苦しみ

路に口述筆記を頼みつつ

南総里見八犬伝を読んでくれた読者への感謝が最期に描かれていて

穏やかな気持ちで読み終わることが出来ました。