「フレデリク・ショパン」
※ライブストリーミング配信
【日時】
2023年1月19日(木) 開演 20:00
【会場】
カフェ・モンタージュ (京都)
【演奏】
ピアノ:松本和将
【プログラム】
ショパン:バラード 第1番 ト短調 op.23 (1835)
ショパン:マズルカ ト短調 op.67-2 (1849)
ショパン:マズルカ へ短調 op.68-4 (1849)
ショパン:バラード 第4番 ヘ短調 op.52 (1842)
ショパン:12の練習曲 op.25 (1835)
カフェ・モンタージュでの、松本和将によるショパン演奏会をオンライン配信で聴いた。
ショパンのバラード第1番で私の好きな録音は
●ポリーニ(Pf) 1968年6月17-21日、7月1-3日セッション盤(NML/Apple Music/CD/YouTube)
●ポリーニ(Pf) 1974年4月25日東京ライヴ盤(CD/YouTube)
●フアンチ(Pf) 2010年10月10日ショパンコンクールライヴ(動画)
●プーン(Pf) 2017年4月27日ルービンシュタインコンクールライヴ(動画)
あたりだが、松本和将の演奏はこれらのショパンらしいショパンとは異なる、「漢のショパン」である。
雰囲気としては、バックハウスの演奏(YouTube)に近い。
もちろんこれほど濃くはないし、もっと今風のすっきりした表現ではあるが、感傷を排した渋い味わいや、曲を掴み取るパワーが共通している。
難しいコーダも見事に力強く弾きこなしていた。
ショパンのバラード第4番で私の好きな録音は
●中川真耶加(Pf) 2015年10月11日ショパンコンクールライヴ(動画)
●牛田智大(Pf) 2021年10月10日ショパンコンクールライヴ(動画)
あたりだが、松本和将の演奏はやはりこれらとは異なるもの。
序奏からして、牛田智大のような絶妙なルバートやロマンティックな表現は全然しないのに、何気ない弾き方がカフェ・モンタージュの1905年製ニューヨーク・スタインウェイの鄙びた響きの良さを最大限引き出していて、ショパン自身がイメージしていた響きはむしろこちらのほうなのかとさえ思えてくる。
カフェ・モンタージュのこのピアノを弾かせて、松本和将ほどサマになる人も他にいまい(まるでバックハウスが弾くベーゼンドルファーのような音がする)。
ショパンのエチュードop.25全曲で私の好きな録音は
●ポリーニ(Pf) 1972年1月20-22日、5月15-19日セッション盤(NML/Apple Music/CD/YouTube)
●ソコロフ(Pf) 1985年6月13日レニングラードライヴ盤(NML/Apple Music/CD/YouTube)
あたりである(なお個々の曲で好きな録音はこちら)。
松本和将の演奏は、やはりこれらとは違っている。
実は、バックハウスが1928年にショパンのエチュード全曲を世界初録音した(YouTube)のが43歳、そして現在の松本和将が43歳。
これは、偶然なのか、必然なのか。
2人の演奏は、個々の曲で似ているわけではなくて、バックハウスは出来不出来が大きいのに対し(op.25-2などは現在の水準で見てもトップレベルだがop.25-4などはぼてっとしている)、松本和将はだいたいどの曲も同程度の出来となっている。
それでも、個々のテクニックを磨くよりも全体をがしっと掴む、といった方向性はやはり似ていると思う。
演奏後のトークによると、松本和将は近いうちにエチュードop.10の演奏会も考えていて、その際にもしかしたらop.25も続けて24曲全曲を弾くかもしれない、とのこと。
気力・体力ともに充実した43歳の彼によるショパンのエチュード全曲演奏、何とも楽しみである。
(画像はこちらのページよりお借りしました)
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