大阪フィルハーモニー交響楽団
第563回定期演奏会
【日時】
2022年11月18日(金) 開演 19:00
【会場】
フェスティバルホール (大阪)
【演奏】
指揮:エリアス・グランディ
ピアノ:ミシェル・ダルベルト *
管弦楽:大阪フィルハーモニー交響楽団
(コンサートマスター:崔文洙)
【プログラム】
モーツァルト:ピアノ協奏曲 第21番 ハ長調 K.467 *
マーラー:交響曲 第1番 ニ長調 「巨人」
※アンコール(ソリスト) *
シューベルト/ラフマニノフ:「美しき水車小屋の娘」 より 第2曲 「どこへ?」
大フィルの定期演奏会を聴きに行った。
指揮は、1981年ドイツ生まれの指揮者、エリアス・グランディ。
ソリストは、1955年フランス生まれのピアニスト、ミシェル・ダルベルト。
前半の曲は、モーツァルトのピアノ協奏曲第21番。
この曲で私の好きな録音は
●古海行子(Pf) K.ブーマン指揮 カペラ・ビドゴスティエンシス 2019年11月19日パデレフスキコンクールライヴ(動画)
●アンスネス(Pf、指揮) マーラー・チェンバー・オーケストラ 2020年11月8-10日セッション盤(Apple Music/CD、その記事はこちら)
あたりである。
この曲の清涼さを、古海行子が表現しつくしている。
濁りなき第1主題部のトリル、涙が出るほど晴れやかな第2主題。
少しもべたつくことなく自然体で疾走する、理想的な「モーツァルトのハ長調」である。
ただ少しミスがあるため、ミスのない演奏が聴きたいときにはアンスネス盤を聴く。
この2つさえあれば十分ではないか、と思われるような名演。
今回のダルベルトの演奏は、これらの名盤とは対極にあるもの。
滑らかさや自然さとは無縁の、酸いも甘いも知ったる大人の演奏である。
ダンディズム、と形容してもそれほど遠くはないか。
私のこの曲のイメージとは異なっており、またテクニック面でも万全とは言えず、楽しめないかと思いきや、意外と面白く聴くことができた。
音楽の引き出しというのは、本当に色々あるものである。
後半の曲は、マーラーの交響曲第1番「巨人」。
この曲で私の好きな録音は
●ワルター指揮 コロンビア響 1961年セッション盤(Apple Music/CD)
●ブーレーズ指揮 シカゴ響 1998年5月セッション盤(Apple Music/CD/YouTube1/2/3/4)
●ネゼ=セガン指揮 バイエルン放送響 2014年6月26,27日ミュンヘンライヴ盤(NML/Apple Music/CD/動画)
●カンブルラン指揮 読響 2017年4月8日東京ライヴ(音源)
あたりである。
いずれも、清々しい森の空気が感じられるような名演。
カンブルラン&読響の演奏は実演でも聴いたが、素晴らしかった(その記事はこちら)。
今回のグランディ&大フィルの演奏は、残念ながらこれらの名盤に比べられるものではなかった。
レベルの高いはずの大フィルの弦がうまく活かされず、純な響きが得られない。
テンポはけっこう変化するが、不自然ということはないにせよ、あまり板についてはいない印象。
終楽章の音の鳴りもいま一つで、大音響に圧倒されるということがない。
まだ若い指揮者であり、これからの研鑽に期待したい。
(画像はこちらのページよりお借りしました)
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