読売日本交響楽団
第247回土曜マチネーシリーズ
【日時】
2022年5月28日(土) 開演 14:00
【会場】
東京芸術劇場
【演奏】
指揮:上岡敏之
ヴァイオリン:レナ・ノイダウアー *
管弦楽:読売日本響楽団
(コンサートマスター:長原幸太)
【プログラム】
メンデルスゾーン:序曲 「ルイ・ブラス」 作品95
メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 作品64 *
チャイコフスキー:交響曲第6番 ロ短調 作品74 「悲愴」
※アンコール(ソリスト) *
イザイ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 第2番 イ短調 より 第1楽章
読響の土曜マチネーを聴きに行った。
指揮は上岡敏之で、彼の演奏を生で聴くのはこれが初めて。
ソリストのレナ・ノイダウアーも生で聴くのは初めてである。
メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲で私の好きな録音は
●イザイ(Vn) ドクリューズ(Pf) 1912年12月27日セッション盤(YouTube) ※ピアノ伴奏版、終楽章のみ
●クライスラー(Vn) ブレッヒ指揮 ベルリン国立歌劇場管 1926年セッション盤(CD/YouTube)
●オイストラフ(Vn) コンドラシン指揮 ソヴィエト国立響 1949年セッション盤(Apple Music/CD/YouTube1/2/3)
●五嶋みどり(Vn) ヤンソンス指揮 ベルリン・フィル 2003年1月ベルリンライヴ盤(Apple Music/CD)
●J.フィッシャー(Vn) I.フィッシャー指揮 ヨーロッパ室内管 2010年5月29日パリライヴ(動画)
あたりである。
ノーブルに歌い駆け抜ける演奏が好きである。
今回のノイダウアーは、あっさりした地味目の演奏で、音程も精緻とはいえず、上記のように名盤の多い当曲としてはあまり強い感銘を受けなかった。
アンコールのイザイもまずまずといったところか。
とはいえ、贅沢をいわず普通に聴く分には悪くない演奏ではあったし、ドイツの味のようなものも多少あった気がする。
チャイコフスキーの「悲愴」で私の好きな録音は
●フルトヴェングラー指揮 ベルリン・フィル 1938年10,11月セッション盤(CD/YouTube)
●ムラヴィンスキー指揮 レニングラード・フィル 1960年11月7-9日セッション盤(NML/Apple Music/CD/YouTube1/2/3/4)
●ネゼ=セガン指揮 ロッテルダム・フィル 2012年8,11月セッション盤(NML/Apple Music/CD/YouTube1/2/3/4)
●クルレンツィス指揮 ムジカエテルナ 2015年2月9-15日セッション盤(Apple Music/CD、その記事はこちら)
●西本智実指揮 スヴェトラーノフ記念ロシア国立響 2018年6月28日モスクワライヴ(動画、その記事はこちら)
あたりである。
重厚感のフルトヴェングラーと西本智実、推進力のムラヴィンスキーとクルレンツィス、清涼感のネゼ=セガン、といったところか。
今回の上岡敏之&読響は、サクサクと速めのテンポで情熱的に攻める演奏で、その意味ではムラヴィンスキーやクルレンツィスに近いが、彼らのような引き締まった“統率”とは違い、“発散”的な印象が強かった。
特に強奏部において、上岡敏之はこれでもかとばかりに弦楽器をかき鳴らし、管打楽器をぶっ放す。
とどろく轟音から感じられるのは、悲愴や絶望よりむしろ爽快感である。
第3楽章クライマックスでの大太鼓やシンバルの豪快な大音量など楽しくて、聴いていて笑みさえこぼれた。
西本智実の実演のような、腹にこたえる凄まじい演奏とは違ったけれど(その記事はこちら)、上岡敏之の個性がよく伝わる佳演だと感じた。
(画像はこちらのページよりお借りしました)
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