びわ湖ホールプロデュースオペラ
ワーグナー作曲 『パルジファル』(ドイツ語上演・日本語字幕付・演奏会形式)
【日時】
2022年3月6日(日) 開演 13:00 (開場 12:00)
【会場】
びわ湖ホール 大ホール (滋賀県)
【スタッフ&キャスト】
指揮:沼尻竜典 (びわ湖ホール芸術監督)
構成:伊香修吾
照明:原中治美
美術:松生紘子
映像:髙橋啓祐
音響:小野隆浩(びわ湖ホール)
舞台監督:岩崎由香
舞台アドバイザー:菅原多敢弘
アムフォルタス:青山貴
ティトゥレル:妻屋秀和
グルネマンツ:斉木健詞
パルジファル:福井敬
クリングゾル:友清崇
クンドリ:田崎尚美
聖杯の騎士:西村悟、的場正剛
第1の小姓:森季子
第2の小姓・アルトの声:八木寿子
第3の小姓:島影聖人
第4の小姓:古屋彰久
クリングゾルの魔法の乙女たち:岩川亮子、佐藤路子、山際きみ佳、黒澤明子、谷村由美子、船越亜弥
管弦楽:京都市交響楽団
(コンサートマスター:泉原隆志)
合唱:びわ湖ホール声楽アンサンブル
【プログラム】
ヴァーグナー:「パルジファル」
びわ湖ホールで毎年3月に行われている、沼尻竜典の指揮、京都市交響楽団によるヴァーグナーシリーズ。
昨年(2021年)は、下記リブログ元の記事に書いたとおり「ローエングリン」だった。
今回はいよいよヴァーグナー最晩年の傑作、「パルジファル」である。
ヴァーグナーの「パルジファル」で私の好きな録音は
●ブーレーズ指揮 バイロイト祝祭管 1970年8月バイロイトライヴ盤(Apple Music/CD/YouTube)
●アバド指揮 ベルリン・フィル 2001年11月29日ベルリンライヴ盤(CD)
●ナガノ指揮 ベルリン・ドイツ響 2004年8月4,6,8日バーデン=バーデンライヴ盤(Blu-ray)
●カンブルラン指揮 シュトゥットガルト州立歌劇場管 2021年4月2日シュトゥットガルトライヴ(その記事はこちら)
あたりである。
なお、ブーレーズ盤は下記URLから全曲視聴可能。
https://www.youtube.com/watch?v=FxpSX4AnoZ0&list=OLAK5uy_nDkwHkjUzr0Bl4yrs7jFbotXS4qC9j5eo
ずっしりしたクナッパーツブッシュの「パルジファル」も、壮麗なカラヤンの「パルジファル」も、もちろん悪くない。
しかし、最晩年のヴァーグナーが実現した音楽の“浄化”、その曇りなき美を透明感あふれる響きで余すところなく表現したブーレーズやナガノ、カンブルランの演奏が、この曲にはとりわけふさわしいように思う(なおアバドはそれとはまた違った深みに達している)。
そして、沼尻竜典&京響の「パルジファル」も、まさにこのタイプの名演だった。
残響豊かなバイロイト祝祭劇場(私は録音でしか聴いたことがないが)とは真逆の、演奏家泣かせのデッドな響きを持つびわ湖ホール。
しかし、そんな難点をものともしない、むしろ響きの少ないホールだからこそ響きを自在に作り出せるんだと言わんばかりの、あまりにも美しいハーモニーの数々が繰り広げられた。
前奏曲の「聖杯の動機」の、ホール内を漂うような金管や木管の透明な響きから、終幕の「信仰の動機」の、上から降りそそぐような合唱の天国的な響きまで、どれも忘れられない。
こんな響きは、ブーレーズのいない今、本場バイロイトに行ってももはや聴かれないだろう。
その功績は沼尻竜典に負うところが大きいが、もちろんレベルの高いオーケストラや合唱、ソリストたちに支えられてのことである。
今やヨーロッパのどの湖でもない、この琵琶湖のほとりで最高の「パルジファル」が聴けるありがたみを噛みしめた。
さて、びわ湖ホールでのこのヴァーグナーシリーズ、今年でついに最後の作品まで来たわけだが、来年以降はどうなるのだろうか。
個人的には、バイロイトでもやらないヴァーグナーの初期オペラもやってほしいし、ムソルグスキーやチャイコフスキー、フォーレやヤナーチェク、プッチーニやR.シュトラウス、ラフマニノフやシュレーカー、ストラヴィンスキーやベルク、プロコフィエフやヒンデミット、ショスタコーヴィチやブリテンなどのシリーズもぜひやってほしい。
もちろん、引き続き沼尻監督にお願いしたいところである。
(画像はこちらのページよりお借りしました)
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