兵庫芸術文化センター管弦楽団 第130回定期 下野竜也 ムソルグスキー 展覧会の絵 ほか | 音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

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クラシック音楽の鑑賞日記や雑記です。
“たまにしか書かないけど日記”というタイトルでしたが、最近毎日のように書いているので変更しました。
敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

兵庫芸術文化センター管弦楽団

第130回定期演奏会

 

【日時】

2022年2月12日(土) 開演 15:00 (開場 14:00)

 

【会場】

兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール

 

【演奏】

指揮:下野竜也

ヴィオラ:川本嘉子 *

管弦楽:兵庫芸術文化センター管弦楽団

(コンサートマスター:四方恭子)

 

【プログラム】

リゲティ:ルーマニア協奏曲

バルトーク:ヴィオラ協奏曲(シェルイ補筆版) *

ムソルグスキー/ラヴェル:組曲「展覧会の絵」

 

※アンコール(ソリスト) *

カタルーニャ民謡(カザルス編):鳥の歌

 

※アンコール(オーケストラ)

エルガー:エニグマ変奏曲 より IX. ニムロッド

 

 

 

 

 

PAC(兵庫芸術文化センター管弦楽団)の定期演奏会を聴きに行った。

指揮は、コロナ禍のため来日できないシルヴァン・カンブルランの代役として、下野竜也が担当。

ソリスト(ヴィオラ)も、ティモシー・リダウトに代わって川本嘉子が担当した。

 

 

 

 

最初の曲は、リゲティのルーマニア協奏曲。

同郷の先輩作曲家バルトークのルーマニア民族舞曲にも似た、民謡調の楽しい曲である。

下野竜也は、こういう曲をすっきりと整理して楽しく聴かせるのがうまいと思う。

 

 

 

 

 

次の曲は、バルトークのヴィオラ協奏曲。

バルトーク最晩年の曲で、未完であり他者の筆が入っているにもかかわらず、あらゆるヴィオラ協奏曲の最高傑作との声も聞かれる。

この曲で私の好きな録音は

 

●プリムローズ(Va) クレンペラー指揮 コンセルトヘボウ管 1951年1月10日アムステルダムライヴ盤(NMLApple MusicYouTube12

●ネーメト(Va) コロディ指揮 ブダペスト・フィル 1976年以前セッション盤(NMLApple MusicYouTube123

●T.ツィンマーマン(Va) シャローン指揮 バイエルン放送響 1989年10,11月セッション盤(NMLApple MusicCDYouTube123

●カシュカシャン(Va) エトヴェシュ指揮 オランダ放送室内管 1999年1,7月セッション盤(NMLApple MusicCD

●エーネス(Va) ノセダ指揮 BBCフィル 2011年2月27日セッション盤(NMLApple MusicCDYouTube123

 

あたりである。

 

 

ソリストは、一年半ほど前に初めて聴いて大きな感銘を受けた川本嘉子だが(その記事はこちら)、今回も上の各名盤と比べても劣ることのない、見事な演奏だった。

上の盤の中では、この曲の委嘱者&初演者であるプリムローズの演奏に近いか。

この曲の前衛性よりもロマン性に焦点を当て、大きな分厚い音で情熱的に歌い上げる。

ソリストとして、オーケストラに負けない確かな貫禄を示していた。

それでいてヴィブラートなど雑にならず、丁寧でノーブルな音づくり。

来日予定だったリダウトの演奏も聴いてみたかったが、それでもここまでの演奏にはならなかったのではと思われるような、世界最高レベルの堂々たる名演を聴くことができた。

 

 

 

 

 

最後の曲は、ムソルグスキー/ラヴェルの「展覧会の絵」。

この曲で私の好きな録音は

 

●チェリビダッケ指揮 ミュンヘン・フィル 1986年10月14日東京ライヴ(音源

●カンブルラン指揮 読響 2015年9月11日東京ライヴ盤(CD

 

あたりである。

そのカンブルランの演奏が聴けるとのことで楽しみにしていたのだが、今回来日できず残念。

 

 

今回の下野竜也&PACは、すっきりと整理されメリハリもよく利いた、悪くない演奏だったように思う。

ただ、私はこの曲(というか編曲)が少し苦手で、オーソドックスな演奏はあまり楽しめない。

上の2盤のような異様にこだわった音の響きとか、あるいは先日聴いたカーチュン・ウォンのようなゴージャスな音の饗宴とか(その記事はこちら)、もうワンポイント何らかの個性が欲しかった。

 

 

 

(画像はこちらのページよりお借りしました)

 

 


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