アルティ四重奏団 京都公演 ベートーヴェン 弦楽四重奏曲第12番 ほか | 音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

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クラシック音楽の鑑賞日記や雑記です。
“たまにしか書かないけど日記”というタイトルでしたが、最近毎日のように書いているので変更しました。
敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

ALTI未来時間

アルティ弦楽四重奏団

室内楽の極み 弦楽四重奏の最高峰

 

【日時】

2020年10月24日(土) 開演 14:30 (開場 13:30)

 

【会場】

京都府立府民ホール アルティ

 

【演奏】

京都アルティ弦楽四重奏団

 ヴァイオリン:豊嶋泰嗣

 ヴァイオリン:矢部達哉

 ヴィオラ:川本嘉子

 チェロ:上村昇

 

【プログラム】

モーツァルト:弦楽四重奏曲 第22番 変ロ長調 「プロシア王第2番」 KV589

ベートーヴェン:弦楽四重奏曲 第12番 変ホ長調 Op.127

 

 

 

 

 

好きなヴァイオリニスト、矢部達哉がメンバーに入っている京都アルティ弦楽四重奏団については、聴いてみたいと思いながらもこれまで聴きに行けたことがなく、今回が初めてである。

 

 

前半の曲は、モーツァルトの弦楽四重奏曲第22番。

この曲では、第1ヴァイオリンを矢部達哉が、第2ヴァイオリンを豊嶋泰嗣が担当した。

この曲で私の好きな録音は

 

●ウィーン・フランツ・シューベルト四重奏団 1994年セッション盤(NMLApple MusicCD

●ハーゲン四重奏団 2004年3月セッション盤(NMLApple MusicCD

●アルミーダ四重奏団 2014年8月セッション盤(Apple MusicCD

 

あたりである。

ウィーン風味が魅力のシューベルト四重奏団、現代的洗練が魅力のアルミーダ四重奏団、その二者の中間くらいの特徴を持つバランスの良いハーゲン四重奏団。

 

 

今回のアルティ四重奏団もなかなかのもので、第1ヴァイオリンの矢部達哉は期待通りの上品な演奏を聴かせてくれた。

五嶋みどりやアリーナ・イブラギモヴァほどの正確性はないものの音程など安定しているし、細身ながらややふくよかな音色が心地よい。

そして、彼と同等か、あるいはそれ以上に強い感銘を受けたのが、ヴィオラの川本嘉子である。

彼女の演奏は初めて聴いたが、抜群の安定感。

私の好きなヴィオラ奏者であるタベア・ツィンマーマンやヴェロニカ・ハーゲンに匹敵する、とまでいうと言い過ぎかもしれないが、かなり迫っているし、少なくともこれまでに聴いた日本人ヴィオラ奏者の中では一番うまいと感じた。

 

 

後半の曲は、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲第12番。

この曲では、第1ヴァイオリンを豊嶋泰嗣が、第2ヴァイオリンを矢部達哉が担当した。

この曲で私の好きな録音は

 

●ブッシュ四重奏団 1936年10月16,17,26日、11月2日セッション盤(CD、新星堂SGR-8513

●ハーゲン四重奏団 2004年3月セッション盤(NMLApple MusicCD

 

あたりである。

ベートーヴェン後期弦楽四重奏曲集の開始を告げるこの名曲には、これまで数多の録音がなされてきたけれど、中でもひときわ輝いているのが、堂々たる風格と優しい歌との絶妙な共存を実現したこの2盤だと思う。

 

 

今回のアルティ四重奏団は、これらの特別な名盤に比べるとやや分が悪いが、それでも悪くない演奏だった。

第1ヴァイオリンの豊嶋泰嗣は、矢部達哉に比べると音程など不安定なところがあるけれど、とてもいまいちというほどではないし、分厚く濃厚な音作りが矢部達哉と好対照をなして面白い。

そして、第2ヴァイオリンの矢部達哉とヴィオラの川本嘉子、この2人による内声部の充実ぶりは世界トップクラス(有名なカルテットでも内声部は弱いことが少なくない)。

ベートーヴェンの内声の書法の妙を心ゆくまで堪能した。

 

 

今回、ヴィオラ奏者の川本嘉子の実力を知ることができたのは大きな収穫だった。

そしてアルティ四重奏団、今後も注目していきたいと思う。

 

 

 

(画像はこちらのページよりお借りしました)

 

 


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