今回は演奏会の感想でなく、別の話題を。
好きな指揮者、西本智実のまとまった演奏動画(断片でないもの)がアップされることはなかなかないが、今回大物を見つけることができた。
動画はこちら。
From the 18th International Festival of Sacred Music and Art, the second concert in Rome at St. Paul Outside the Walls (2019.09.15)
Ludwig van Beethoven: Symphony No. 9
Illuminart Philharmonic Orchestra and Illuminart Chorus (Japan)
Rossana Cardia, Soprano
Chiara Chialli, Mezzosoprano
Angel Pazos, Tenor
Davide Giangregorio, Bass
Tomomi Nishimoto, Conductor
第1楽章 (15:06-)
第2楽章 (31:21-)
第3楽章 (42:38-)
第4楽章 (57:01-)
2019年の「ローマの第九」である。
2013年の同じく「ローマの第九」DVDと解釈・音質ともによく似ている(DVDはこちら)。
今回、こうして演奏動画が無料公開されることで、彼女の第九が広く聴かれるのを嬉しく思う。
これを聴くと、20世紀前半の大指揮者フルトヴェングラーの精神を現代において受け継いでいるのが、バレンボイムやティーレマンではなく、西本智実にほかならないことがよく分かる。
もちろん、フルトヴェングラーよりはずっと今風のすっきりした様式ではあるのだが、逆に今風でありながらここまで壮絶な演奏ができることに驚かされる。
2019年録音なのに音質は悪く、また教会でのライヴのため残響過多の風呂場サウンドだが、それでも演奏のすさまじさのために、戦前のベルリンの旧フィルハーモニーでのライヴではないかと錯覚しそうなほど。
この演奏動画は小さめの音で収録されているため、ボリュームをMAX近くまで上げて、眼前にオーケストラがいるかのように聴いてほしい。
そうしないと、この演奏のすごさは伝わらない。
録音は楽器間のバランスが悪く、低弦がやたら大きく聴こえるけれど、恐れずにボリュームを上げてほしい。
彼女の実演を聴くと、バランスはもっとずっと良いのに、やはり低弦の存在感がすごいのである。
私は彼女の第九の実演をこれまでに2回聴いたけれど(その記事はこちらとこちら)、今後も何度だって聴きたい。
現代日本にいながらにして彼女の第九を生で聴かないのは、100年近く前のドイツにいながらにしてフルトヴェングラーの第九を生で聴かないのと同じくらいもったいない、と私は思う。
現代最高の第九である。
故・宇野功芳氏が彼女の第九を聴いたなら、一体何と言っただろうか。
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