(藤田真央の新譜 映画「蜜蜂と遠雷」 藤田真央 plays 風間塵) | 音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

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クラシック音楽の鑑賞日記や雑記です。
“たまにしか書かないけど日記”というタイトルでしたが、最近毎日のように書いているので変更しました。
敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

今回は演奏会の感想ではなく、別の話題を。

好きなピアニスト、藤田真央の新譜が発売された。

リブログ元の記事に書いた、恩田陸「蜜蜂と遠雷」の実写映画化のサントラ用録音である(NMLApple MusicCD)。

彼が弾いているのは、この物語の主人公である風間塵の演奏部分。

曲目は、バルトークのピアノ協奏曲第3番抜粋、その他である。

CDの詳細は以下の通り。

 

 

 

 

 

映画『蜜蜂と遠雷』~藤田真央 plays 風間 塵

 

 

藤田真央が弾く、
『蜜蜂と遠雷』風間 塵のイメージ・アルバム!


156回直木賞&2017年本屋大賞をダブル受賞した恩田陸『蜜蜂と遠雷』がついに実写映画化! 映像化不可能と言われたこの作品で鈴鹿央士演じる「謎めいた少年」風間 塵のピアノ演奏を担当するのは、2019年チャイコフスキー国際ピアノ・コンクールで第2位入賞に輝いた藤田真央。まさに『蜜蜂と遠雷』の世界とシンクロするかのようにモスクワでの日々を過ごした藤田の両手から、軽やかな「サティ:ジュ・トゥ・ヴ」、色彩豊かな「ドビュッシー:版画」、初の協奏曲の録音となる「バルトーク:ピアノ協奏曲第3番 第2、3楽章」と楽曲の響きの美しさを際立たせた演奏が生み出されます。
藤倉 大の書き下ろし「春と修羅」の残虐で、凶暴性を帯びたカデンツァも聴き所です。(販売元情報)

【収録情報】
● 映画『蜜蜂と遠雷』~藤田真央 plays 風間 塵


1. モーツァルト:ピアノ・ソナタ第12番ヘ長調 K..332~第1楽章
2. サティ:ジュ・トゥ・ヴ
3. ショパン:スケルツォ第3番 嬰ハ短調 Op.39

ドビュッシー:版画
4. 第1番 パゴタ
5. 第2番 グラナダ
6. 第3番 雨の庭

7. メンデルスゾーン:無言歌集 第5巻 Op.62~第6曲イ長調『春の歌』
8. 藤倉 大:『春と修羅』(風間 塵ヴァージョン)

バルトーク:ピアノ協奏曲第3番 BB127
9. 第2楽章
10. 第3楽章

藤田真央(ピアノ)
円光寺雅彦(指揮)、東京フィルハーモニー交響楽団(9,10)

録音:
2018年8月17,30日 横浜市栄区民文化センターリリス(1-8)
2018年8月13日 東京オペラシティコンサートホール(9,10)

解説:オヤマダアツシ

《コメント》
【藤田真央】

モスクワとは思えない強い日差しの中、滝のように汗を流しながらピアノを弾き、時おり聴こえてくる鳥の声にホッとし、壁にかかった作曲家の肖像画に語りかける……。
コンクール期間中、音楽院の練習室で過ごした日々を忘れることはできません。と同時に、練習室を一歩出ると、コンテスタントの友人とピアノや音響のことを話して励まし合い、見ず知らずの方に「昨日聴いたよ!次もがんばってね」と声をかけられる……。そんな勇気づけられる日々でもありました。いつもどおりに過ごそうと思いつつも、緊張しながら本番を迎えるのですが、舞台袖から一歩ステージに踏み出すと、早く弾きたい気持ちでいっぱいになります。ステージのピアノが輝いていて、ピアノに吸い寄せられるように、椅子に座って……。
「蜜蜂と遠雷」のような日々を過ごした今、あらためて映画になった“風間塵くん”のピアノ演奏を担当させていただいたことに、不思議な縁を感じています。そして僕も、“音楽の神様”に愛されるピアニストであり続けたいです。(商品資料より)

【藤田真央 プロフィール Mao Fujita】
今年(2019年)6月、チャイコフスキー国際コンクールで第2位を受賞。聴衆から熱狂的に支持され、ネット配信を通じ世界中に注目された。最後のガラ公演では、ゲルギエフ指揮マリインスキー歌劇場管弦楽団と共演。喝采を浴びた。
2017年には弱冠18歳で、第27回クララ・ハスキル国際ピアノ・コンクール優勝。併せて「青年批評家賞」「聴衆賞」「現代曲賞」の特別賞を受賞。
2016年には、故中村紘子氏が最後に審査員を務めた浜松国際ピアノアカデミーコンクールで第1位に輝くなど、国内外での受賞を重ねている。
1998年東京都生まれ。3歳からピアノを始める。
2018/2019シーズンは、「横浜市招待国際ピアノ演奏会」、Bunkamura 30周年記念企画「クラシック・ロシア by Pianos」、「トッパンホール ニューイヤーコンサート」などのガラ公演に出演した他、完売になったヤマハホールのリサイタルは「聴く喜びを生む 新星の美しい音色」と評された。2018年10月には、スイス、並びにパリのルイ・ヴィトン財団主催New Generationシリーズに招かれ演奏。2019年には、カーチュン・ウォン指揮、読売日本交響楽団とラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番、秋山和慶指揮、東京交響楽団とジョリヴェ:ピアノ協奏曲「赤道コンチェルト」、 飯守泰次郎指揮、東京シティ・フィルとベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番「皇帝」 を共演し、高い評価を得た。
今後は、小林研一郎指揮、日本フィルハーモニー交響楽団とチャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番、モーツァルト:ピアノ協奏曲第20番を共演予定。ゲルギエフに招かれヨーロッパでの共演、リサイタルも予定されている。
CDはナクソス・ジャパンから3枚リリース。
現在、特別特待奨学生として東京音楽大学3年 ピアノ演奏家コース・エクセレンスに在学し研鑽を積んでいる。(販売元情報)

 

 

 

 

 

以上、HMVのサイトより引用した(引用元のページはこちら)。

 

 

何とも素晴らしい演奏である。

冒頭のモーツァルトからして、天使のように天真爛漫で美しい。

先日のチャイコフスキー国際コンクールで彼が弾いた美しいモーツァルトが思い出される(その記事はこちら)。

サティやドビュッシーは、フランス的というよりはロマン的な解釈だが、実に緻密で繊細な音楽づくり。

そして、ショパンやメンデルスゾーンといったロマン派の音楽は、まさに彼の本領発揮といったところ。

メンデルスゾーンに至っては、濃厚なルバートが付され大変にロマンティックでありながら、なおかつ明るくさわやかな「春の歌」であることを失わないという、幸福な現象が起きている。

 

 

藤倉大の「春と修羅」という委嘱曲も、まるで星降る夜のように美しい。

曲が良いのか演奏が良いのか、よく分からなくなるほど。

そして、最後のバルトークのピアノ協奏曲第3番、この曲で私の好きな録音はラーンキのピアノ、フェレンチク指揮ハンガリー国立菅による盤(NMLApple Music)だけれど、藤田真央盤はそれとは少しタイプの違った演奏ながら(より抒情的)、勝るとも劣らない出来といえそう。

できれば第2、3楽章だけでなく、第1楽章も聴いてみたかった。

さらに言うと、「蜜蜂と遠雷」の小説には、風間塵がバッハの平均律第1巻の第1番を弾くシーンが確かあったと思うのだが、ぜひその演奏も収録してほしかった。

 

 

映画も楽しみだが、それ以上に藤田真央、彼にはこれからも色々な曲を数多く録音してほしいものである。

 


 

 


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