今回は演奏会の感想ではなく、別の話題を。
好きなピアニスト、古海行子がついにCDデビューする旨を下記のリブログ元記事に書いた。
そのCDが届いたので、さっそく聴いてみた。
1曲目は、シューマンのピアノ・ソナタ第3番。
彼女の弾くこの曲の実演を私は聴いたことがあり、大きな感銘を受けた（そのときの記事はこちら）。
このときの演奏動画もアップされている（動画はこちら）。
CDのセッション録音では、ライヴ録音よりもおとなしくつまらない演奏になってしまうピアニストも多いけれど、彼女のこのCDではそうなっていないのが嬉しい。
それに加えて、CDでは上記動画よりも音質が良いし、ミスもない。
同曲ではまず一番に推したい録音である。
2曲目は、リストの「鬼火」。
これは大好きな曲で、特にアシュケナージ盤が大変うまく、よく聴いてきた。
古海行子による同曲演奏を私は聴いたことがなく、期待して聴いたところ、アシュケナージ盤にも劣らない、期待にたがわぬ素晴らしい演奏であった。
この曲の主要主題（大変難しい右手の二重トリル風音型を持ち、粗くなりがちな）がこれほどむらなく滑らかに、柔らかな弱音で細やかに演奏されるのを、私は他に聴いたことがない。
まさに楽譜の「semple legato（常に滑らかに）」「dolce, tranquillo（柔らかく、穏やかに）」の指示をそのまま体現した演奏である。
また、導入部のテンポが落ち着いており、主要主題部以降との落差がないのも好感が持てる（この曲といい「メフィスト・ワルツ」といい、リストの曲においては、導入部がやたら速いのだが主要主題部で保てず失速する、といった残念な演奏のなんと多いことか）。
全体を通して、左手がしっかり安定して生き生きと聴こえるのも良い。
3曲目は、大澤壽人の「てまりうたロンド」。
初めて聴く曲であり、タランテラのリズムに乗って（導入は少しショパンのタランテラに似ていると感じた）、やや和風の軽やかな旋律が繰り返され、その合間にいくつかのエピソード主題が奏されていく。
目立つ曲ではないが、古海行子が弾くとどこか味わいが感じられ、特に各エピソード主題において魅力的な箇所がいくつかあった。
なお、このCDはOpus Oneというレーベルによる、才能ある若手奏者たちに注目した録音シリーズの一環なのだが、特典として先着限定で同レーベルのダイジェストサンプラーCDがついている。
以下のような曲が聴ける。
1. カサド：親愛の言葉 （チェロ：笹沼樹）
2. ヤナーチェク：ヴァイオリン・ソナタ より 第4楽章 （ヴァイオリン：石上真由子）
3. R.シュトラウス：アモール（「6つの歌」より） Op.68-5 （ソプラノ：鈴木玲奈）
4. シューマン：ピアノ・ソナタ第3番 より 第1楽章 （ピアノ：古海行子）
5. デ・ラ・マーサ：ロンデーニャ （ギター：秋田勇魚）
明日1月25日には、これらの若手奏者たちによるコンサートも開催される。
詳細は以下の通り。
ただし、完売とのこと。
さっそく人気が出ているようである。
Opus One Concert 2019
2019/1/25(Fri)19:00 Start(18:30 Open) Hakuju Hall
笹沼 樹(Vc) 石上真由子(Vn) 鈴木玲奈(S) 古海行子(Pf) 秋田勇魚(G)
フォーレ：夢のあとに
ヤナーチェク：ヴァイオリン・ソナタ
トマ：歌劇「ハムレット」より“私を遊びの仲間に入れてください”
シューマン：ピアノ・ソナタ 第3番より
アルカス：椿姫の主題による幻想曲 他
全席指定・税込：￥3,000 / 当日券￥3,500
イープラス http://eplus.jp/ooc/
チケットぴあ 0570-02-9999(Pコード:137-749) http://w.pia.jp/t/ooc/
お問合せ：
日本コロムビア株式会社(代)03-6895-9001
受付時間10:00～13:00/14:00～17:00 ※土日祝、12/31(月)～1/4(金)除く
（画像はこちらのページよりお借りしました）
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