大阪フィルハーモニー交響楽団
第522回定期演奏会
【日時】
2018年10月26日(金) 開演 19:00 (開場 18:00)
【会場】
フェスティバルホール
【演奏】
指揮:パスカル・ロフェ
ソプラノ:市原愛
バリトン:萩原潤
合唱:大阪フィルハーモニー合唱団 (合唱指導:福島章恭)
管弦楽:大阪フィルハーモニー交響楽団
(コンサートマスター:田野倉雅秋)
【プログラム】
フォーレ:レクイエム 作品48 (1893年ラター版)
ストラヴィンスキー:バレエ音楽「火の鳥」 (1910年原典版)
大フィルの定期演奏会を聴きに行った。
残念ながら、今回は印象があまり良くなかった。
前半のプログラムは、フォーレのレクイエム。
この曲で私の好きな録音は、
●フルネ指揮 日本フォーレ協会オーケストラ 1998年11月セッション盤(CD)
あたりである。
今回の大フィルの演奏がいまいちだったのは、合唱団や田野倉雅秋(ヴァイオリン・ソロ)や市原愛(ソプラノ)が部分的に音程など不安定だったことや、今回の1893年版にはヴァイオリン・パートがないため普段の大フィルのヴァイオリン・セクションの洗練が発揮できなかったことなど、要因はいくつか考えられる。
しかし、最も大きな要因は、パスカル・ロフェの指揮にあると思う。
彼は、サクサクとかなり速いテンポで曲全体を進めていく。
いわゆるピリオド奏法に近いのかもしれないが、上記のフルネ盤のようなしみじみとした感動が得られない。
速いテンポであれば、その分キレがあるとか、細部の表現へのこだわりがあるとかあれば良いが、そういうプラスアルファの要素もあまり感じられなかった。
後半のプログラムは、ストラヴィンスキーの「火の鳥」。
この曲で私の好きな録音は、
●ブーレーズ指揮ニューヨーク・フィル 1975年1月20日セッション盤(CD)
あたりである。
純音楽的な解釈で、各楽器がきわめてクリアに聴こえるにもかかわらず、同時に強烈な色彩感や躍動感もある、とてつもない名盤。
これと比べるわけではないにしても、今回のロフェの演奏はやはりいまひとつ。
ストラヴィンスキー一流の複雑な各種音型の絡み合いがうまく整理できておらず、ぼてっとして聴こえてしまう。
また、全体としてのまとまりが感ぜられず、部分部分をつなげただけのような印象を受ける(例えば、ある場面から次の場面への移行の際のテンポ変化が急で、あまり洗練されていない)。
なので私は、全体の音楽を聴くよりも、個々の楽器の妙技を楽しむことにした。
特に、いつもながらフルートの田中玲奈が素晴らしく、金のリンゴで遊ぶ王女たちのシーンの前に出てくるフルートのカデンツァ風ソロ・パッセージなど、丁寧で柔らかく実に美しかった。
なお、指揮者ロフェについて、いろいろと文句を言ってしまったけれど、一つ評価できる点は、レクイエムも火の鳥も原典版を用いてくれたことである。
私はこれらの版が好きなので、実演で聴けたのは貴重な機会だった。
(画像はこちらのページよりお借りしました)
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