今回は演奏会の感想ではなく、別の話題を。
好きなチェリスト、ジャン=ギアン・ケラスの新譜が発売された。
今回の新譜の曲目は、ブラームスのチェロ・ソナタ全集、およびハンガリー舞曲抜粋である(NML/Apple Music/CD)。
新譜といっても、少し前の発売である(今年初め頃)。
彼はこのアルバムより後に、すでにヴィヴァルディのチェロ・ソナタやC.P.E.バッハのチェロ協奏曲、そしてドビュッシーのチェロ・ソナタと、すさまじい勢いで新譜を出しており、これらについてもまた後日取り上げるかもしれない。
とまれ、ブラームスの新譜について、詳細は以下の通り。
以上、HMVのサイトより引用した(引用元のページはこちら)。
ブラームスのチェロ・ソナタというと、ただうまいだけではだめで、渋い味わいが必要な気がする。
少し古いが、フルニエ/バックハウス盤や、ペレーニ/コチシュ盤あたりが私は好きである。
最近の録音では、こうした味わいのあるものがなかなか見当たらなかったのだが、今回のケラス盤は素晴らしい。
世界で最も洗練されたチェロを弾く(と私は思っている)ケラスは、このブラームスにおいてもやはり洗練され、きわめて優美で軽やかなのだが、同時に抑制された渋い味わいも持っており、ブラームスにふさわしい。
また、ピアノのタローは、フランスのピアニストにしては「研ぎ澄まされた」感じが少なくやや微温的なため、普段必ずしも私の最高に好きなピアニストというわけではないのだが、ここでは彼の「フランスのピアニストらしさ」と「らしくなさ」がバランスよく収まり、明晰さと渋い味わいとが同居した、これまたブラームスに合った演奏となっている。
そんなわけで、このケラス/タロー盤は上記の2盤に匹敵する、私の中で現代を代表する決定的な名盤となった。
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