(バーンスタイン指揮バイエルン放送響の「トリスタンとイゾルデ」がBlu-ray化) | 音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

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クラシック音楽の鑑賞日記や雑記です。
“たまにしか書かないけど日記”というタイトルでしたが、最近毎日のように書いているので変更しました。
敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

今回は演奏会の感想ではなく、別の話題を。

最近発売された、バーンスタイン指揮バイエルン放送響によるヴァーグナー「トリスタンとイゾルデ」のBlu-rayについて書きたい。

これについて、詳細は下記の通り。

 

 

 

 

 

『トリスタンとイゾルデ』全曲 レナード・バーンスタイン&バイエルン放送交響楽団、ベーレンス、ペーター・ホフマン、他(1981 ステレオ)(日本語字幕付)

 

バーンスタインが1981年バイエルン放送響と行った
演奏会形式の『トリスタンとイゾルデ』
デジタルリマスターされ遂に映像商品化!
日本語字幕付き


バーンスタイン生誕100周年を機に、遂に! ブルーレイとDVDで発売されることになった1981年バイエルン放送交響楽団との『トリスタンとイゾルデ』。この演奏は、1981年におよそ一年かけて一幕ずつ3回に分けて演奏会形式で上演され、PHILIPSレーベルから録音が発売されると、バーンスタイン晩年特有のテンポ感をあらわすような、全曲266分超という演奏時間の長さや、ただならぬバーンスタインの巨大なエネルギーに満ちた壮絶な演奏で大変な話題となりました。また、バーンスタインと対極をなす巨匠カール・ベームは、亡くなるその年に聴いたこの演奏について「ワーグナーが意図するままの演奏であった」と賛辞を述べたといい、今日でも決して色あせない深い感銘を与える演奏です。
この演奏会はテレビ放映もされ、映像化も待ち望まれていましたが、この度デジタルリマスターされブルーレイとDVDで発売されることになりました。この演奏では、当時最高峰のワーグナー歌手たちが集結しています。トリスタンは、当時ヘルデンテノールとして絶頂期を迎えていたペーター・ホフマン。晩年は病と闘いながらの音楽活動でしたが、ここでは神々しく輝かしいホフマンの姿をみることができます。イゾルデは、『サロメ』でカラヤンに発掘され、この録音で一気に知名度をあげたソプラノ、ヒルデガルト・ベーレンス。まだ若々しさを感じる魅力的な歌声で聴かせてくれます。(輸入元情報)

【収録情報】
● ワーグナー:『トリスタンとイゾルデ』全曲(演奏会形式上演)


ペーター・ホフマン(トリスタン)
ヒルデガルト・ベーレンス(イゾルデ)
イヴォンヌ・ミントン(ブランゲーネ)
ベルント・ヴァイクル(クルヴェナール)
ハンス・ゾーテン(マルケ王)
ヘリベルト・シュタインバッハ(メロート)
ハインツ・ツェドニク(牧童)
トマス・モーザー(水夫)
ライムント・グルムバッハ(舵手)
マリリーズ・シュプバッハ(イングリッシュホルン)
ゲティング・チャンドラー(ホルツトロンペーテ)
バイエルン放送合唱団
バイエルン放送交響楽団
レナード・バーンスタイン(指揮)

舞台装置・衣裳:ゲルト・クラウス
映像監督:カールハインツ・フンドルフ

収録時期:1981年1月13日、4月27日、11月10日
収録場所:ミュンヘン、ヘルクレスザール(ライヴ)

収録時間:291分
画面:カラー、4:3、HD(デジタルリマスター)
音声:PCMステレオ
原語:ドイツ語
字幕:独英仏西伊韓日
Region All

ブルーレイディスク対応機器で再生できます。

 

 

 

 

 

以上、HMVのサイトより引用した(引用元のページはこちら)。

 

 

この演奏、音声だけなら録音直後からCDが販売されており、名盤として知られている。

ただ、映像についてはこれまでテレビ放映されたのみであり(私は観たことがなかった)、ヴァーグナー・ファンの間ではずっと正規販売が望まれてきた。

それが、今回デジタルリマスターされBlu-ray化されたのである。

演奏後、もう30~40年も経っているのに、今回、突然ぽっと正規発売された。

こんなこともあるのである。

買わない手はない。

 

 

演奏については、CDでもう散々聴いている。

バーンスタインの指揮は、大変に個性的。

第1幕の前奏曲はあまりにテンポが遅くて拍節感も何もあったものではないし、第1幕の幕切れでは緩急の変化が極端である。

同じくテンポの自在な変化で知られる「推移の達人」フルトヴェングラーは、いかにテンポを変えようとも根底には厳しい一貫性、統一性があったのだが、バーンスタインにはそれがない。

テンポ変化が唐突かつ極端で、ある種精神分裂的というか誇大妄想的というか、ヴァーグナーというよりマーラーを聴いているような感覚に襲われる。

しかし、それでもバーンスタインの「トリスタン」にはどこか抗いがたい魅力がある。

オーラがある、というか。

そのことは音声だけでも感じられるけれど、大汗をかきながら懸命に指揮するバーンスタインを映像として観ることで、より直接的に伝わってきた。

 

 

そして、トリスタン役のペーター・ホフマンと、イゾルデ役のヒルデガルト・ベーレンス。

彼らについては、言うことはない。

理想的な歌唱である。

ペーター・ホフマンは、同世代のルネ・コロと並び称されたヘルデン・テノールである。

ルネ・コロの「向かうところ敵なし」といった明るく輝かしい歌声が、ジークフリートやローエングリンのような人間離れした無敵の英雄にぴったりなのに対し、ペーター・ホフマンの声には悲劇的な影があり、ジークムントやトリスタンといった人間的で不幸を背負ったような英雄によく合っていると思う。

また、ヒルデガルト・ベーレンスは、同世代で並ぶ者のないヴァーグナー・ソプラノである。

そればかりか、戦後バイロイトの3人の伝説的ヴァーグナー・ソプラノ(マルタ・メードル、アストリッド・ヴァルナイ、ビルギット・ニルソン)以降、現在に至るまで、この3人に匹敵するのは彼女くらいしかいないのではないだろうか。

当時これらの役に最も適した彼ら2人が配役され、しかも今回映像で観られるようになったのは、つくづく嬉しいことである。

 

 

他の配役にも文句はない。

通常上演ではなく演奏会形式であることも、何の問題もない。

「トリスタン」の映像はたくさんあるけれど、有名なバレンボイム盤もコウト盤も、私はあまり好きになれなかった。

そんな中、今回のバーンスタイン盤は、私の中で「トリスタン」の映像としてはカンブルラン&読響(こちら)に並ぶ存在となった。

 

 


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