(行ってみたい演奏会 その33 フルトヴェングラーのR.シュトラウス「アラベラ」) | 音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

クラシック音楽の鑑賞日記や雑記です。
“たまにしか書かないけど日記”というタイトルでしたが、最近毎日のように書いているので変更しました。
敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

今回は演奏会の感想ではなく、別の話題を。

またまた、「もしもタイムマシンがあったなら行ってみたい演奏会」シリーズの続きである。

これまで、フルトヴェングラーの指揮によるベートーヴェン、ヴァーグナー、ブラームス、ブルックナー、マーラーの実演を聴いてみたい、と色々妄想を書いてきたが、ここ数回は彼の振ったR.シュトラウスの演奏についてあれこれ考えている。

「サロメ」「エレクトラ」「ナクソス島のアリアドネ」ときたので、次は「影のない女」を…と思いきや、実はフルトヴェングラーは「ばらの騎士」と同じく、「影のない女」を生前一度も演奏していない。

同様に、「インテルメッツォ」「エジプトのヘレナ」も演奏せず。

というわけで、これらは全て飛ばして、今回は「アラベラ」を取り上げたい。

 

 

フルトヴェングラーがその生涯で行った「アラベラ」の公演は、以下の通りである。

 

①1933年10月12、17、20、25、31日、11月11、15日、12月8日、1934年2月16、28日、3月8、18日、6月17日 ベルリン国立歌劇場での公演

 

「アラベラ」は、1932年10月12日に作曲が完成し、1933年7月1日にドレスデン国立歌劇場でクレメンス・クラウスの指揮で世界初演されたばかりの、ほやほやの新曲である。

1931年にプフィッツナーの「心」というオペラでベルリン国立歌劇場にデビューしたばかりのフルトヴェングラーは、その後「トリスタン」「マイスタージンガー」「エレクトラ」と立て続けにこの歌劇場で指揮しており、その人気の高さがうかがえる。

デビュー後2年もしたら、もうR.シュトラウスの新作オペラをベルリン国立歌劇場で振るのはフルトヴェングラーしかいない、というくらいにはなっていたのかもしれない。

彼は1934年にいわゆる「ヒンデミット事件」でナチスとの確執からベルリンでの活動をしばらく停止するのだが、もしナチスの政権獲得がなければ、彼はエーリヒ・クライバーとともにベルリン国立歌劇場でもっともっと活躍していたことだろう。

とまれ、上記公演のうちどれかを聴きに行けるとすると、やはりベルリン初演の

 

1933年10月12日、ベルリン国立歌劇場

指揮:ヴィルヘルム・フルトヴェングラー

管弦楽:ベルリン国立歌劇場管弦楽団

プログラム

R. Strauss: Arabella

(Fritz Krenn, Ruth Berglund, Viorica Ursuleac, Käte Heidersbach, Jaro Prohaska, Marcel Wittrisch)

 

を聴きたい。

 

 

ただしタイムマシンはまだないし、またこの演奏会のライヴ録音も残されておらず、別の機会に収録された音源等も「アラベラ」については全く存在しない。

そしてフルトヴェングラーは、その後のR.シュトラウスのオペラ「無口な女」「平和の日」「ダフネ」「ダナエの愛」「カプリッチョ」を一度も演奏しなかった。

こう書くと一見少ないようだけれど、そもそもフルトヴェングラーはベルリン・フィルの常任指揮者だったので、オペラを振る機会は全体としては多くなかった。

若い頃、マンハイム歌劇場時代には色々と振っているけれど、その後はオペラというとモーツァルト、ベートーヴェン、ヴェーバー、ヴァーグナーがほとんどである。

そう考えると、少ないながらもR.シュトラウスのオペラをこれだけ振っているというのは、同時代のオペラ作曲家R.シュトラウスに対する彼の敬意の表れなのかもしれない。

 

 


音楽(クラシック) ブログランキングへ

↑ ブログランキングに参加しています。もしよろしければ、クリックお願いいたします。