(行ってみたい演奏会 その23 フルトヴェングラーのブルックナー交響曲第8番) | 音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

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クラシック音楽の鑑賞日記や雑記です。
“たまにしか書かないけど日記”というタイトルでしたが、最近毎日のように書いているので変更しました。
敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

今回は演奏会の感想ではなく、別の話題を。

前回に引き続き、「もしもタイムマシンがあったなら行ってみたい演奏会」シリーズの続きである。

今回は、フルトヴェングラーの指揮によるブルックナーの交響曲第8番を取り上げたい。

今回もこれまでと同様、フルトヴェングラー指揮ベルリン・フィルの演奏による、ベルリンでの演奏会で、かつ1929~1934年頃に行われたもの(できれば1929年のもの)から探してみたいと思う(その理由はこちら)。

 

 

探してみると、下記の演奏会があった。

 

1929年10月20、21日、ベルリン

指揮:フルトヴェングラー

管弦楽:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

プログラム

Bruckner: Symphony No. 8

Brahms: Piano concerto No. 2 (Vladimir Horowitz)

 

念願の、1929年の演奏会である。

しかも、ブルックナーの交響曲第8番だけでなく、ホロヴィッツとの共演によるブラームスのピアノ協奏曲第2番が聴ける。

以前、フルトヴェングラーがラフマニノフとの共演の際にもめた旨を書いたが(そのときの記事はこちら)、フルトヴェングラーはホロヴィッツとももめたらしい。

なんでも、ホロヴィッツに向かって「この国(ドイツ)ではブラームスをあなたのようには弾きません」とか何とか言ったとか。

確かに、フルトヴェングラーとホロヴィッツとではいかにも音楽性が合わなそうだが、そこまで言わなくても…という気はする。

フルトヴェングラーほどの人になると、たとえピアノ協奏曲であっても、自分の音楽性よりもソリストの音楽性に合わせて伴奏する、という気はさらさらないのだろう。

 

 

ただしタイムマシンはまだないし、またこの演奏会のライヴ録音も残されていないので、代わりに下記の録音を聴いた。

 

●ブルックナー:交響曲第8番 フルトヴェングラー指揮ベルリン・フィル 1949年3月15日ベルリンライヴ盤(NMLApple MusicCD

●ブラームス:ピアノ協奏曲第2番 ホロヴィッツ(Pf) トスカニーニ指揮NBC響 1940年5月9日セッション盤(NMLApple MusicCD

●ブラームス:ピアノ協奏曲第2番 フィッシャー(Pf) フルトヴェングラー指揮ベルリン・フィル 1942年11月8、9日ベルリンライヴ盤(NMLApple MusicCD

 

 

ブラームスのピアノ協奏曲第2番については、フルトヴェングラーとホロヴィッツの共演による録音が残されていないため、代わりにそれぞれ別々の録音を聴いた。

フルトヴェングラー盤はずっしりしたドイツ風、ホロヴィッツ盤はテンポの速いヴィルトゥオーゾ風、とやはり全くタイプの異なる演奏。

上記演奏会でのこの2人の共演、いったいどのようなものになったのか、大変気になるところである。

 

 

ブルックナーの交響曲第8番のほうは、これ以外にも録音は数種あり、戦時中のウィーン・フィルとの録音なんかもあるのだけれど、今回はこのベルリン・フィルとの戦後のライヴ盤を選んだ。

一般的なブルックナーのイメージに近いのはウィーン・フィル盤のほうだと思うが、こちらのベルリン・フィル盤はよりフルトヴェングラーらしい。

冒頭の静かな数小節からして、「厳か」を通り越して「恐ろしい」までの緊張感がみなぎっている。

フォルテ(強音)部分での爆発は、あたかも凄まじい闘争のよう。

そして最後には、熱狂的な勝利が待っている。

普通のブルックナーとは全く異なるが、フルトヴェングラーにとって音楽とはどうあらねばならなかったのかがよく分かる演奏である。

 

 


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