今回は演奏会の感想ではなく、別の話題を。
今、ヴェロニカ・エーベルレという、ドイツ出身のヴァイオリニストが来日しているようである。
リサイタルではバルトークのソナタ第1番、バッハのソナタ第3番、シューマンのソナタ第2番を、また都響の演奏会ではベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲を演奏したとのこと。
評判は、賛否両論あるが、おおむね良いようである。
私はあまりよく知らないヴァイオリニストだったので、今回YouTubeで少し聴いてみた。
聴いてみると、なかなか良いヴァイオリニストである。
音の線が細めで、私の好みに合致する。
まずは、モーツァルト。
モーツァルトらしいさわやかさが出ていて、なかなか良い。
表現が丁寧で、音程も安定している。
あと、コンチェルトも聴いてみた。
さすがにコンチェルトともなるとややアラが出てくるけれど、それでもやはりうまい。
細身のさわやかな音による、緊迫したというよりは余裕のある演奏で、かつどこか西欧的な「コク」がある。
そういった意味では、私の好きなヴァイオリニストの一人、フリーデリケ・シュタルクロフに似ている。
彼女も同じドイツ出身で、かつ同じくらいの世代ということで、境遇が似ているからかもしれない。
というわけで、シュタルクロフの演奏も聴いてみた。
シベリウスと、ブラームスのコンチェルト。
うーん、エーベルレもいいけれど、やっぱり私はシュタルクロフのほうがさらにもう少し好きである。
音色がより明るくて、「シルクのような」と形容したくなるような滑らかさである。
テクニック的にも、わずかながらエーベルレより安定している気がする。
シベリウスは五嶋みどり盤に、ブラームスはユリア・フィッシャー盤に迫らんほどの名演。
シュタルクロフ、来日してくれないものだろうか。
しかし、上記の五嶋みどり盤やユリア・フィッシャー盤を聴きなおしてみると、シュタルクロフよりもさらにもう一段すごい。
完璧といっていい演奏になっている。
つくづく、上には上がいる世界である。
五嶋みどりは何度か実演を聴いているが、フィッシャーのほうは実演を聴いたことがない。
昨年来日していたが(ドヴォルザークのソナチネ、シューベルトのソナチネ第1、3番、ブラームスのソナタ第3番)、東京公演だけだったため、見送ったのだった。
しかし、今回調べてみると、昨年はなんと12年ぶりの来日だったとのこと。
次来てくれるのは、いつになることやら。
こんなことなら、ウィーン国立歌劇場の「ヴァルキューレ」よりも、こちらに行けばよかった。
まぁ、ウィーン国立歌劇場も、聴かなかったら聴かなかったで後悔しただろうけれど。
彼女がまた、それほど遠くない将来に来日してくれることを願っている。
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