今回は演奏会の感想ではなく、別の話題を。
例によって、「もしもタイムマシンがあったなら行ってみたい演奏会」シリーズの続きである。
今回は、フルトヴェングラーの指揮によるブラームスの交響曲第4番を取り上げたい。
今回もこれまでと同様、フルトヴェングラー指揮ベルリン・フィルの演奏による、ベルリンでの演奏会で、かつ1929~1934年頃に行われたもの(できれば1929年のもの)から探してみたいと思う(その理由はこちら)。
探してみると、下記の演奏会があった。
1930年11月30日、12月1日、ベルリン
指揮:フルトヴェングラー
管弦楽:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
プログラム
Berlioz: Benvenuto Cellini
Marx: Concerto for two violins (Henry Holst, Simon Goldberg)
Brahms: Symphony No. 4
同時に演奏されたプログラムは、ベルリオーズの「ベンヴェヌート・チェッリーニ」(のおそらく序曲)と、マルクスの「2つのヴァイオリンのための協奏曲」という、なかなかのマイナー曲である。
特に後者については、そんな曲があることさえ知らなかった。
盛時のフルトヴェングラーは、なかなか「攻め」のプログラミングをしていたことが窺える。
ただしタイムマシンはまだないし、またこの演奏会のライヴ録音も残されていないので、代わりに下記の録音を聴いた。
●ブラームス 交響曲第4番 フルトヴェングラー指揮ベルリン・フィル 1948年10月24日ベルリンライヴ盤(NML/Apple Music)
(なお、ベルリオーズとマルクスは、おそらくフルトヴェングラーによる録音が残されていないため割愛)
ロマンの極みといえる有名な冒頭の「入り」から、終楽章最後の爆発的な情熱に至るまで、フルトヴェングラーの面目躍如といったところである。
第1楽章のコーダ(結尾部)も、すさまじい。
手綱の締め方と緩め方(例えば加速と減速の配分)が、絶妙である。
なお、終楽章の後半については、この録音の一週間ほど後の、ロンドン公演でのリハーサル風景の映像が残されている。
こちらも、相変わらず壮絶である。
このような演奏を聴いてしまった後で、なおこの曲を振らなければならない現代の指揮者たちは、大変なものである。
ただ、ブラームスの交響曲第1、2番と違って、第3、4番にはフルトヴェングラーによるセッション録音が残されていない。
第3、4番ともにライヴ録音は残されており、大変素晴らしい演奏なのだが、音質は残念ながらセッション録音に劣る。
できれば第3、4番も、セッション録音を聴いてみたかった。
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