(行ってみたい演奏会 その16 フルトヴェングラーのブラームス交響曲第3番) | 音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

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クラシック音楽の鑑賞日記や雑記です。
“たまにしか書かないけど日記”というタイトルでしたが、最近毎日のように書いているので変更しました。
敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

今回は演奏会の感想ではなく、別の話題を。

例によって、「もしもタイムマシンがあったなら行ってみたい演奏会」シリーズの続きである。

今回は、フルトヴェングラーの指揮によるブラームスの交響曲第3番を取り上げたい。

今回もこれまでと同様、フルトヴェングラー指揮ベルリン・フィルの演奏による、ベルリンでの演奏会で、かつ1929~1934年頃に行われたもの(できれば1929年のもの)から探してみたいと思う(その理由はこちら)。

 

 

探してみると、下記の演奏会があった。

 

1930年5月4日、ベルリン

指揮:フルトヴェングラー

管弦楽:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

プログラム

Debussy: Nocturnes (Nuages, Fêtes)

Strauss: Tod und Verklärung

Brahms: Symphony No. 3

Wagner: die Meistersinger von Nürnberg, Prelude

 

このときフルトヴェングラーは44歳。

ベルリン・フィルの常任指揮者になって8年、またウィーン・フィルの常任指揮者になって3年。

この世界二大オーケストラの常任指揮者を兼任したのは、後にも先にもフルトヴェングラーくらいだろう(カラヤンは、ベルリン・フィルの常任指揮者とウィーン国立歌劇場の音楽監督を兼任したが)。

この頃のフルトヴェングラーが、相当に高い評価を受けていたことが分かる。

常任指揮者の兼任はあまりに忙しすぎて、この演奏会のすぐ後の1930年5月12日にはウィーン・フィルの常任指揮者を辞任することになるのだが、ともかく上記の演奏会では、フルトヴェングラーが最も精力的に活動していた時期の、大変に充実した名演が聴かれたであろうことが想像される。

なお、ウィーン・フィルとのこの曲の演奏会でも注目すべきものがあって、

 

1933年5月19日、ウィーン

指揮:フルトヴェングラー

管弦楽:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

プログラム

Brahms: Tragische Ouvertüre

Brahms: Symphony No. 3

Brahms: Double Concerto (Bronislav Huberman, Pablo Casals)

Brahms: Akademische Ouvertüre

 

の演奏会では、フルトヴェングラーが録音を残さなかった「悲劇的序曲」と「大学祝典序曲」が聴けるし、何よりもフーベルマンとカザルスというすごい取り合わせでの二重協奏曲が聴ける。

こちらも大変気になる演奏会であり、悩ましいところだが、私は上のベルリン・フィルとの演奏会のほうにしておく。

 

 

ただしタイムマシンはまだないし、またこの演奏会のライヴ録音も残されていないので、代わりに下記の録音を聴いた。

 

●ドビュッシー 夜想曲 より 「雲」、「祭り」 フルトヴェングラー指揮ベルリン・フィル 1951年5月1日ローマライヴ盤(NMLApple Music

●R.シュトラウス 交響詩「死と変容」 フルトヴェングラー指揮ウィーン・フィル 1950年1月21、23、24日セッション盤(NML

●ブラームス 交響曲第3番 フルトヴェングラー指揮ベルリン・フィル 1949年12月18日ベルリンライヴ盤(NMLApple Music

●ヴァーグナー 「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕前奏曲 フルトヴェングラー指揮ベルリン・フィル 1949年12月19日ベルリン・ライヴ盤(NMLApple Music

 

いずれも1950年前後の録音であり、上記の演奏会から20年も経過しているが、それでもまだ完全に晩年の様式には至っていない、まだまだ元気な巨匠の芸風を味わうことができる。

ただし、ブラームスについては、この交響曲第3番は「秋」を思わせるようなところのある曲であるため、より枯れた味わいのある最晩年の1954年のベルリン・フィルとのライヴ盤(NMLApple Music)も捨てがたい。

1949年盤は夏の活気のまだ残る初秋、1954年盤は冬枯れの近づいた晩秋、といったところか。

いずれにしても、今の季節にぴったりの曲、演奏である。

 

 


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