(行ってみたい演奏会 その13 フルトヴェングラーのヴァーグナー「パルジファル」) | 音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

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クラシック音楽の鑑賞日記や雑記です。
“たまにしか書かないけど日記”というタイトルでしたが、最近毎日のように書いているので変更しました。
敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

今回は演奏会の感想ではなく、別の話題を。

ここ数日同様、「もしもタイムマシンがあったなら行ってみたい演奏会」シリーズの続きである。

今回は、フルトヴェングラーの指揮によるヴァーグナーの「パルジファル」を取り上げたい。

 

 

フルトヴェングラーがその生涯で行った「パルジファル」の公演は、以下の通りである。

 

①1916年4月23日、5月7日、6月1日、1917年4月8日、5月17、28日、1918年3月31日、1919年6月9日 マンハイム歌劇場での公演

②1936年7月20、29日、8月18、27、30日 バイロイト音楽祭での公演

③1937年7月23日、8月1、5、11、20日 バイロイト音楽祭での公演

④1951年3月24、27、29日、4月1、4日 ミラノ・スカラ座での公演

 

これらのうちどれを選ぶかとなると、マンハイムやスカラ座もいいけれど、まぁせっかくなのでバイロイトの②か③あたりが良いのではないだろうか。

私としては、③の公演の

 

1937年7月23日、8月1、5、11、20日、バイロイト祝祭大劇場

指揮:ヴィルヘルム・フルトヴェングラー

管弦楽:バイロイト祝祭管弦楽団

プログラム

Wagner: Parsifal

(Lorenz, Wolff, Martha Fuchs, Janssen, von Manowarda)

 

にしておきたい(マックス・ローレンツの歌うパルジファルが聴いてみたいため)。

 

 

ただ、上記公演はいずれも録音が残されていない。

戦後の④は録音が残っていそうなものだが、残念である。

④の録音は残されているという噂もあったようだが、実際にはこれと同じ日(?)にヴィットリオ・グイ指揮で演奏された「パルジファル」(マリア・カラスも出演していた)のほうが放送されたようであり、フルトヴェングラーのほうではなかったとのこと。

なので、代わりに

 

●ヴァーグナー 「パルジファル」第1幕前奏曲と聖金曜日の音楽 フルトヴェングラー指揮ベルリン・フィル 1938年3月15日セッション盤(CD

 

を聴いた。

これだけでも実に素晴らしい演奏で、もし全曲録音が残っていれば、と惜しまれる。

 

 

ヴァーグナーの演奏には、大きく分けて2通りのやり方があると私は思う。

ヴァーグナーを「ドイツ・ロマン派最大の作曲家」として解釈した演奏と、「機能和声を極限まで押し広げて現代音楽への道を作った作曲家」として解釈した演奏、の2つである。

録音で聴ける範囲内では、前者における最大の解釈者がフルトヴェングラー、後者における最大の解釈者がブーレーズだと私は考えている。

「ニーベルングの指環」の演奏がその最たる例である。

しかし、「パルジファル」においては、前者代表のフルトヴェングラーの録音が残されていない。

後者代表のブーレーズによる「パルジファル」が大変素晴らしいだけに、これは痛恨事である。

クナッパーツブッシュやカラヤンの「パルジファル」も前者の解釈と思われるし、もちろんそれぞれ素晴らしい。

しかし、もしフルトヴェングラーの「パルジファル」の録音が残されていたとしたら、それは前者の解釈を代表する最高の演奏になっていたのではないか―そんな気がしてならない。

もちろん、録音が残されていない以上、何を言っても詮無いのだが。

 

 


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