今回は演奏会の感想ではなく、別の話題を。
ここ数日同様、「もしもタイムマシンがあったなら行ってみたい演奏会」シリーズの続きである。
今回は、フルトヴェングラーの指揮によるヴァーグナーの「ニュルンベルクのマイスタージンガー」を取り上げたい。
フルトヴェングラーがその生涯で行った「ニュルンベルクのマイスタージンガー」の公演は、以下の通りである。
①1913年11月20日 リューベック市立劇場での公演
②1918年9月29日、10月6日、1919年4月21日、1924年4月5日 マンハイム歌劇場での公演
③1924年8月28日 バイエルン国立歌劇場での公演
④1932~1934年 ベルリン国立歌劇場での一連の公演
⑤1934年6月5、7日 パリ・オペラ座での公演
⑥1935年6月23日 ハンブルク国立歌劇場での公演
⑦1935年9月8日 ニュルンベルク歌劇場での公演
⑧1935年12月25日、1936年2月4日 バイエルン国立歌劇場での公演
⑨1936年5月19、28日 パリ・オペラ座での公演
⑩1936年6月1日 ベルリン国立歌劇場での公演
⑪1937年11月25日、12月9日、1938年1月3日、3月4日、4月20日 ウィーン国立歌劇場での公演
⑫1937年12月15日 ハンガリー国立歌劇場での公演
⑬1938年7月23日、8月10、19、29日 ザルツブルク音楽祭での公演(ウィーン・フィル)
⑭1938年9月5日 ニュルンベルクでの公演(ウィーン・フィル)
⑮1939年6月4、7日 チューリヒ歌劇場での公演
⑯1942年12月12、16日、1943年1月8日、2月11日、10月27日 ベルリン国立歌劇場での公演
⑰1943年7月15、18、21、24日、1944年7月18、22日 バイロイト音楽祭での公演
⑱1952年2月29日、3月4、6、9、12、16日 ミラノ・スカラ座での公演
このうち、悲しいことに、⑦のように彼の意に反してナチスに宣伝利用されてしまった公演もある。
これらのうちどれを選ぶかとなると、④の最初の公演の
1932年10月7日、ベルリン国立歌劇場
指揮:ヴィルヘルム・フルトヴェングラー
管弦楽:ベルリン国立歌劇場管弦楽団
プログラム
Wagner: die Meistersinger von Nürnberg
(Rudolf Bockelmann, Alexander Kipnis, Herbert Janssen, Lotte Lehmann)
にしておきたい。
フルトヴェングラーはこのころ脂の乗り切った全盛期だし、まだナチス政権成立前のため、ロッテ・レーマンの歌うエーファがベルリンで聴ける、というのも嬉しい。
上記公演は残念ながら録音されていないが、代わりに聴くとすると、上記の⑭と⑰のライヴ録音が残されている。
●ヴァーグナー 「ニュルンベルクのマイスタージンガー」(断片) フルトヴェングラー指揮ウィーン・フィル 1938年9月5日ニュルンベルクライヴ盤(NML(最後の方のトラック)/Apple Music)
(ザックス:ルドルフ・ボッケルマン、エーファ:ティアナ・レムニッツ、マグダレーネ:ルート・ベルグルンド、ヴァルター:エイヴィンド・ラホルム、ダーフィト:エーリヒ・ツィンマーマン、ベックメッサー:オイゲン・フックス、ポーグナー:ヨーゼフ・フォン・マノヴァルダ、コートナー:ゲオルク・ハン、ニュルンベルク歌劇場合唱団)
●ヴァーグナー 「ニュルンベルクのマイスタージンガー」(欠落あり) フルトヴェングラー指揮バイロイト祝祭管 1943年7月バイロイトライヴ盤(NML/Apple Music)
(ザックス:ヤーロ・プロハスカ、エーファ:マリア・ミュラー、マグダレーネ:カミラ・カラープ、ヴァルター:マックス・ローレンツ、ダーフィト:エーリヒ・ツィンマーマン、ベックメッサー:オイゲン・フックス、ポーグナー:ヨーゼフ・グラインドル、バイロイト祝祭合唱団)
がある。
ともに完全な全曲録音は残っていないし、古いライヴ録音だけあって音質も最上とは言えないけれど、大変貴重な音源である。
特に後者はかなりの部分が残されていて、第1幕の前奏曲など相当すさまじい演奏だったことが分かる。
ところで、⑱の戦後のスカラ座での公演は、全曲録音され放送されたとのことなのだが、現在は録音が残っていないという。
残念この上ない。
誰か見つけてくれないものだろうか…。
↑ ブログランキングに参加しています。もしよろしければ、クリックお願いいたします。