今回は演奏会の感想ではなく、別の話題を。
昨日の記事でフルトヴェングラーの話題に少し触れたというのもあって、久々に「もしもタイムマシンがあったなら行ってみたい演奏会」のシリーズを再開したい。
フルトヴェングラーのベートーヴェンは一通り取り上げたので(こちらなど)、今度はフルトヴェングラーがベートーヴェンの次に得意とした作曲家、ヴァーグナーを取り上げたい。
まずは、ヴァーグナーの出世作ともいえる、「さまよえるオランダ人」から。
フルトヴェングラーがその生涯で行った「さまよえるオランダ人」の公演は、以下である。
①1915~1920年 マンハイム歌劇場での一連の公演
これだけである。
つまり、マンハイムでの約5年間で集中的に取り上げているが、その後は全く取り上げていない、ということになる。
フルトヴェングラーの「さまよえるオランダ人」を聴こうと思ったら、上記の一連の公演のうち、どれかを選ぶしかない。
どれを選んでもそれほど大きな違いはないと思われるが(時期的に近接しているため)、一応最初の公演である
1915年10月3日、マンハイム歌劇場
指揮:ヴィルヘルム・フルトヴェングラー
管弦楽:マンハイム歌劇場管弦楽団
プログラム
Wagner: der fliegende Holländer
(Wilhelm Fenten, Minni Leopold, Walther Günther-Braun)
を選ぶことにしておく。
このとき、フルトヴェングラーはなんとまだ弱冠29歳!
しかし、マンハイム歌劇場での彼の前任者であるアルトゥール・ボダンツキーから、高い評価を受けてこのマンハイムに就任した彼のことである。
若いとはいえ、きっとこの頃から年配者たちにも全くひけを取らない、素晴らしい演奏をしていたに違いない。
ただ、上記の公演を聴こうと思っても、まだタイムマシンはないし、この演奏会のライヴ録音も残されていないので、代わりに下記の録音を聴いた。
●ヴァーグナー 「さまよえるオランダ人」 序曲 フルトヴェングラー指揮ウィーン・フィル 1949年3月30、31日セッション盤(NML/Apple Music)
全曲録音は残されておらず、序曲のみの録音だが、期待に違わぬ、大変立派な名演である。
フルトヴェングラーは、こういった「ちょっと序曲だけ」といったような録音でも、決してやっつけ仕事にせず、もれなく名演にしてしまうのがすごいと思う。
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