アメリカのフォートワースで開催されている、第15回ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクール(公式サイトはこちら)。
6月1日は、セミファイナルの第1日。
ネット配信を聴いた(こちらのサイト)。
ちなみに、これまでの記事はこちら。
Daniel Hsu (United States | Age 19)
SCHUBERT Four Impromptus, D. 899, op. 90
BRAHMS Variations on a Theme by Handel, op. 24
強力な優勝候補の一人と思われる彼。
シューベルトの「4つの即興曲」op.90は、隅々まで表現意欲に満ち精緻にコントロールされた好演。
第2、3曲については先日の彼の演奏会でも聴いたが(そのときの記事はこちら)、そのときと全く同様の素晴らしさである。
あのときは、少しロマン的すぎるかなとも感じたけれども、今回こうしてもう一度聴いてみると、相変わらず少し濃厚な表現ではあるけれども、慣れたのかあまり気にならなかった。
演奏会では聴けなかった第1、4曲も素晴らしく、穴がない。
ブラームスのヘンデル変奏曲も、明晰で素晴らしい演奏。
冒頭の主題のトリルからして非常に明快で小気味よい。
全体に、彼の演奏はテクニック的にかなりハイレベルであるばかりでなく、独特な表現力があり、なおかつそれが恣意的なものにならないのが素晴らしい。
Dasol Kim (South Korea | Age 28)
MENDELSSOHN Fantasie in F-sharp Minor, op. 28 (“Scottish Sonata”)
KAPUSTIN Intermezzo in D-flat Major, op. 40, no. 7
SCHUBERT Sonata in B-flat Major, D. 960
先ほどのHsuに負けず劣らず高度な技巧を持った彼。
メンデルスゾーンの「スコットランド・ソナタ」、やはりうまい。
この曲は、前回の2013年クライバーンコンクールでのClaire Huangci(クレア・フアンチ)の演奏が私は大好きなのだが(NML)、彼の演奏もそれに劣らない出来である。
情感の出し方は彼らしくやや薄味だが、音楽的でないわけでは決してないし、キレの良さはさすがである。
カプースチンの間奏曲op.40-7は、冷静ながらセンスの良い演奏。
シューベルトのソナタ第21番 変ロ長調、このシューベルト最後のソナタを選ぶなんて、大丈夫だろうかと心配したが、彼の淡白ながら豊かな音楽性が功を奏してか、予想以上の好演となった。
あともう一歩踏み込んだ表現というか、晩年のシューベルト特有の孤独が感じられたらなお良かったが、それは贅沢というもので、この曲をこれだけ真面目なアプローチで真摯に弾いてくれたら、十分と言っていいだろう。
今日の2人は、ともにファイナルに残る可能性が高そうである(まだモーツァルトのコンチェルトが残されているけれど)。
↑ ブログランキングに参加しています。もしよろしければ、クリックお願いいたします。