第15回ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクール セミファイナル 第1日 | 音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

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クラシック音楽の鑑賞日記や雑記です。
“たまにしか書かないけど日記”というタイトルでしたが、最近毎日のように書いているので変更しました。
敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

アメリカのフォートワースで開催されている、第15回ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクール(公式サイトはこちら)。

6月1日は、セミファイナルの第1日。

ネット配信を聴いた(こちらのサイト)。

ちなみに、これまでの記事はこちら。

 

1次予選 第1日

1次予選 第2日

1次予選 第3日

1次予選 第4日

2次予選 第1日

2次予選 第2日

 

 

 

Daniel Hsu (United States | Age 19)

 

SCHUBERT Four Impromptus, D. 899, op. 90
BRAHMS Variations on a Theme by Handel, op. 24

 

強力な優勝候補の一人と思われる彼。

シューベルトの「4つの即興曲」op.90は、隅々まで表現意欲に満ち精緻にコントロールされた好演。

第2、3曲については先日の彼の演奏会でも聴いたが(そのときの記事はこちら)、そのときと全く同様の素晴らしさである。

あのときは、少しロマン的すぎるかなとも感じたけれども、今回こうしてもう一度聴いてみると、相変わらず少し濃厚な表現ではあるけれども、慣れたのかあまり気にならなかった。

演奏会では聴けなかった第1、4曲も素晴らしく、穴がない。

ブラームスのヘンデル変奏曲も、明晰で素晴らしい演奏。

冒頭の主題のトリルからして非常に明快で小気味よい。

全体に、彼の演奏はテクニック的にかなりハイレベルであるばかりでなく、独特な表現力があり、なおかつそれが恣意的なものにならないのが素晴らしい。

 

 

Dasol Kim (South Korea | Age 28)

 

MENDELSSOHN Fantasie in F-sharp Minor, op. 28 (“Scottish Sonata”)
KAPUSTIN Intermezzo in D-flat Major, op. 40, no. 7
SCHUBERT Sonata in B-flat Major, D. 960

 

先ほどのHsuに負けず劣らず高度な技巧を持った彼。

メンデルスゾーンの「スコットランド・ソナタ」、やはりうまい。

この曲は、前回の2013年クライバーンコンクールでのClaire Huangci(クレア・フアンチ)の演奏が私は大好きなのだが(NML)、彼の演奏もそれに劣らない出来である。

情感の出し方は彼らしくやや薄味だが、音楽的でないわけでは決してないし、キレの良さはさすがである。

カプースチンの間奏曲op.40-7は、冷静ながらセンスの良い演奏。

シューベルトのソナタ第21番 変ロ長調、このシューベルト最後のソナタを選ぶなんて、大丈夫だろうかと心配したが、彼の淡白ながら豊かな音楽性が功を奏してか、予想以上の好演となった。

あともう一歩踏み込んだ表現というか、晩年のシューベルト特有の孤独が感じられたらなお良かったが、それは贅沢というもので、この曲をこれだけ真面目なアプローチで真摯に弾いてくれたら、十分と言っていいだろう。

 

 

今日の2人は、ともにファイナルに残る可能性が高そうである(まだモーツァルトのコンチェルトが残されているけれど)。

 

 


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