2017年度 相愛大学音楽学部 特別奨学生による演奏会 第2夜 | 音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

クラシック音楽の鑑賞日記や雑記です。
“たまにしか書かないけど日記”というタイトルでしたが、最近毎日のように書いているので変更しました。
敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

2017年度 相愛大学音楽学部

特別奨学生による演奏会

第2夜

 

【日時】

2017年5月10日(水) 開演 18:30 (開場 18:10)

 

【会場】

相愛大学 南港ホール (大阪)

 

【演奏・プログラム】

・濱田 海宏(Ⅰ回生 バリトン・サクソフォン)

R.プラネル:プレリュードとサルタレロ

(Pf 平井 令奈)

 

・松本 千雅(Ⅰ回生 トランペット)

A.アルチュニアン:トランペット協奏曲

(Pf 徳山 眞矢)

 

・森井 彩乃(Ⅰ回生 バス・トロンボーン)

A.レベデフ:協奏曲 第1番

(Pf 小笠原 梨恵)

 

・向井 萌々香(Ⅰ回生 アルト・サクソフォン)

H.トマジ:バラード

(Pf 平井 令奈)

 

・芝内 あかね(Ⅳ回生 チェロ)

G.カサド:無伴奏チェロ組曲 より

 I. プレリュード - ファンタジア

 III. イントロダクションとダンツァ・フィナーレ

 

 ― 休憩 ―

 

・友澤 孝太(Ⅱ回生 トランペット)

V.ブラント:演奏会用小品 第2番 作品12

(Pf 田宮 緋紗子)

 

・永井 秀一朗(Ⅱ回生 トロンボーン)

L.グレンダール:トロンボーン協奏曲 より 第1, 2楽章

(Pf 市川 貴一)

 

・船迫 真衣(Ⅱ回生 アルト・サクソフォン)

E.ボザ:サクソフォンのための12の練習奇想曲 第1番

J.イベール:室内小協奏曲 より 第2楽章

(Pf 平井 令奈)

 

・西川 ひかり(Ⅲ回生 ピアノ)

M.ラヴェル:「鏡」 より

 II. 悲しい鳥たち

 IV. 道化師の朝の歌

 

・芝内 もゆる(Ⅱ回生 ヴァイオリン)

C.サン=サーンス:「ワルツ形式の練習曲」によるカプリス

(Pf 田口 友子)

 

 

 

 

 

相愛大学音楽学部のコンサートを聴きに行った。

遅れて行ったため、私が聴けたのは休憩をはさんだ後半から。

 

みんなさすがにうまかった。

例えば、アルト・サクソフォンの船迫さんは、繊細な弱音から迫力ある強音までの幅が大きく、うねりがあって「聴かせる」演奏だった。

音楽的に成熟している感じ。

 

また、ピアノの西川さんは、最初の一音からして大変に美しい音だった。

はっきり言って、音色そのものの美しさという点では、昨日聴いたダニエル・シュー以上のような気がする(もちろん、シューには他の数々の魅力があることは、昨日の記事に書いたとおりである)。

ラヴェルの「悲しい鳥たち」は、ルイ・ロルティ盤(NMLApple Music)や、2009年浜コンのキム・ヒョンジョンによるライヴ盤などが好きだが、西川さんの演奏もそれらにひけを取らない美しさだった。

次の「道化師の朝の歌」は、大変な難曲である上に、上記ロルティ盤が大変うまいし、また現在開催中のルービンシュタイン国際ピアノコンクールでシャオユー・リュウが披露した鮮やかな演奏を最近繰り返し聴いていたため(動画はこちら)、今回の演奏はどうなるかな、と聴く前は少し心配していた。

しかし、それは要らぬ心配だった。

ロルティとほぼ同じくらいの、かなりのテンポにもかかわらず、破綻のない、しっかりと確立された演奏となっていた。

この曲は、スペインのからっとした陽気を思わせる、やや乾いたような雰囲気のイメージが私にはあって、上記のリュウはそんな感じの演奏である。

それに対し、西川さんの場合は、ペダルもしっかり使ってしっとりとした味わいになっており、これはこれでとても良いと思った。

いかにもスペインらしい、右手のトリル風の急速な三連符のリズムは、弱音部では明瞭に聴こえたが、フォルテ(強音)の和音の部分ではこの三連符がやや不明瞭ではあった。

また、同音連打の部分も同様に、やや不明瞭かなと思われるところもあるにはあった。

しかし、フォルテ部分のトリル風三連符は上記ロルティ盤でも不明瞭だし(リュウは明瞭だが)、同音連打の部分はリュウもところどころ不明瞭で(ロルティは明瞭だが、彼の場合はここだけややテンポが遅くなっている)、そもそも曲自体に問題がある(難しすぎる)と言ってもいいのかもしれない。

なお、トリル風三連符や同音連打などが全て明瞭に奏されたフレデリック・チュウ盤もあるが(NMLApple Music)、独特のクセがあるため好き嫌いは分かれそう。

ともかく、これらの点はいずれも微妙なところでの話であり、ほとんど問題なく弾けていたと言ってもいいと思う。

それに、二重グリッサンドの箇所は見事な出来栄えだった。

何よりも、技巧面にかまけてついついゴリ押しな感じの演奏になってしまいやすいこの曲で、余裕を持って雰囲気の良い演奏ができていたのが、大変素晴らしい。

 

ヴァイオリンの芝内さんは、華やかで元気のある演奏で、音程面でも安定しており、これまた良かった。

音色のパレットがいっそう豊かになって、音色に変化をつけることができたら、さらに良い演奏になるかもしれない。

 

 


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