第15回ルービンシュタイン国際ピアノコンクール ファイナルB | 音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

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クラシック音楽の鑑賞日記や雑記です。
“たまにしか書かないけど日記”というタイトルでしたが、最近毎日のように書いているので変更しました。
敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

イスラエルで開催されている、第15回ルービンシュタイン国際ピアノコンクール。

現在は、ファイナルまで進んでいる。

5月8日は、ファイナルB(古典派協奏曲)。

ネット配信を聴いた(こちらのサイト)。

ちなみに、これまでの記事はこちら。

 

1次予選 第1日 前半

1次予選 第1日 後半

1次予選 第2日

1次予選 第3日

1次予選 第4日

2次予選 第1日

2次予選 第2日

2次予選 第3日

ファイナルA 第1日

ファイナルA 第2日

 

 

 

PARK Jaehong (South Korea Age: 18)

 

Mozart:Concerto No. 20 in D Minor, K. 466
 - Allegro
 - Romance
 - Rondo: Allegro assai

 

ピアノはスタインウェイ。

滞りのない、滑らかな演奏。

さらに、テンポ・ルバートがほとんどない。

本当に楽譜通りのリズムでストレートに弾いたらどうなるか、という見本のような演奏。

このような演奏は、逆にこれまで聴いた覚えがない。

これはこれで爽やかで良いし、うまいのだが、できればもう少し陰影もほしいところ。

あと、第3楽章のピアノと木管の掛け合いの箇所がいまいちうまくいっていない。

ピアノが少し走ってしまったか。

 

 

DANESHPOUR Sara (USA Age: 30)

 

Mozart:Concerto No. 25 in C Major, K. 503
 - Allegro maestoso
 - Andante
 - Allegretto

 

ピアノはスタインウェイ。

先ほどのParkよりは情感が出ているが、ときにやりすぎとなるのか、オーケストラとずれることがある。

コンチェルトでのルバートというのは、難しいものだと感じた。

また、彼女のメロディの歌わせ方は、ときに少し力んでいるような感じになるというか、私の思うモーツァルトの自然な歌わせ方とはやや異なるところがある。

それでも、全体的に悪くない。

 

 

LIU Xiaoyu (Canada Age: 19)

 

Beethoven:Concerto No. 2 in B-flat Major, Op.19
 - Allegro con brio
 - Adagio
 - Rondo: Allegro molto

 

ピアノはスタインウェイ。

玉を転がすような、という形容の似合う粒のそろった均質なタッチ。

やや硬質な彼の音色も曲にうまくマッチしている。

ストレートな解釈だがParkのようにのっぺりはしておらず、躍動感もある。

前半の3人の中では、モーツァルトや初期ベートーヴェンに最も合った演奏と感じた。

さらに「遊び心」みたいなものがあれば、より良かったかもしれない。

 

 

YONTOV Yevgeny (Israel Age: 28)

 

Mozart:Concerto No. 21 in C Major, K. 467
 - Allegro maestoso
 - Andante
 - Allegro vivace assai

 

ピアノはファツィオリ。

こちらもスムーズで悪くない。

しかし、ブラームスの四重奏曲で渋い味わいを聴かせてくれた彼にしては、ややぶっきらぼうな印象。

やはり、モーツァルトは難しいということか、あるいは私がモーツァルトに関して注文が多いのか。

 

 

NEHRING Szymon (Poland Age: 21)

 

Beethoven:Concerto No. 1 in C Major, Op. 15
 - Allegro con brio
 - Adagio
 - Rondo: Molto allegro

 

ピアノはファツィオリ。

ところどころクセや瑕はあるが、力強い打鍵による演奏はベートーヴェンによく合っており、聴いていて充実感がある。

あとは、アンスネス盤(Apple Music)のように細部の完成度を高め、和音がぐしゃっとならないように響きをすっきり整理できたら、相当な名演になるのではないだろうか。

 

 

CIOBANU Daniel Petrica (Romania Age: 25)

 

Mozart:Concerto No. 23 in A Major, K. 488
 - Allegro
 - Adagio
 - Allegro assai

 

ピアノはファツィオリ。

痛いミスや暗譜忘れはあったし、タッチも完全に粒がそろっているとまではいえないが、それでも十分に滑らかと思うし、自然な歌心があって良い。

モーツァルトはこうでなくては。

彼はファイナルのA(室内楽)とB(古典派協奏曲)でだいぶ株を上げた気がする。

 

 

そんなわけで、ファイナルB(古典派協奏曲)ではLiu、Nehring、Ciobanuあたりが特に良かった。

 

あとはロマン派以降の大協奏曲を残すのみとなった。

優勝はLiuかNehringあたりになるのではないかと今のところは予想しているが、決して飛びぬけているわけではなく、誰になってもおかしくない。

ファイナルに入ってやや印象が薄まったParkと、逆に頭角を現したCiobanu、そして変わらず淡々としているYontov(ファイナルCで弾くプロコフィエフなど得意そう)が、どう迫ってくるかが見ものである。

 

 


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