兵庫芸術文化センター管弦楽団 第91回定期演奏会
ヴェデルニコフ&クニャーゼフ ザ・ロシア!
【日時】
2016年10月29日(土) 開 演15:00 (開 場 14:15)
【会場】
兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール
【演奏】
指揮:アレクサンドル・ヴェデルニコフ
チェロ:アレクサンドル・クニャーゼフ
管弦楽:兵庫芸術文化センター管弦楽団
【プログラム】
チャイコフスキー:ロココ風の主題による変奏曲 イ長調
ショスタコーヴィチ:交響曲 第10番 ホ短調
●ソリストアンコール曲
パガニーニ:24のカプリースよりNo.13:アレグロ
チャイコフスキー:ロココ風の主題による変奏曲よりフィナーレ
●PACアンコール曲
チャイコフスキー:雪娘より「メロドラマ」
兵庫芸術文化センター管弦楽団(PAC)の定期演奏会はこれまでにも何度か聴いているが、このオーケストラは比較的すっきりときれいで精緻な演奏をする、といった印象があった。
しかし、今回は違った。
おそらく指揮者ヴェデルニコフの影響によるものだろう、ショスタコーヴィチの中では比較的落ち着いた印象のある交響曲第10番が、深く激しい情念の表出として大きな迫力をもって奏された。
とはいっても、例えばムラヴィンスキーのように物凄いことになっているというわけではなく、交響曲としての様式感を保ちながらの情念表出であるところが、また良い(もちろん、ムラヴィンスキーもあれはあれで良いが)。
今回のコンサートの副題は「ザ・ロシア!」となっているが、その名に恥じない演奏だった。
このすっきりとしているはずのオーケストラから、このような表現を引き出してくるヴェデルニコフ、かなりの腕前だと感じた。
なお、都合により前半のプログラムは聴けなかった。アンコールの変奏曲フィナーレだけ聴いたが、これだけ聴く限りでは、チェロはテクニック的に難しそうな急速なパッセージを見事に弾いてはいたものの、その音色はよく通る魅力的なものといった印象はあまりなく、表現もやや粗い印象を持った。
まぁ、この箇所だけ聴いても何とも言えない、といったところである。