関西二期会 第86回オペラ公演 園田隆一郎 グノー「ファウスト」 | 音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

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敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

関西二期会 第86回オペラ公演 C.グノー作曲「ファウスト」(原語上演・字幕付)


【日時】
2016年10月16日(日) 14:00開演

 

【会場】

あましんアルカイックホール

 

【出演】

指揮:園田 隆一郎
演出:パオロ・パニッツァ
合唱:関西二期会合唱団
管弦楽:大阪交響楽団

◆キャスト
ファウスト 馬場 清孝
メフィストフェレス 伊藤 貴之(藤原歌劇団)
ヴァレンティン 和下田 大典(藤原歌劇団)
ヴァグネル 黒田 まさき
マルガレーテ 周防 彩子
シーベル 鬼一 薫
マルタ 田中 留美子

 

【プログラム】

「ファウスト」(グノー)

 

 

 

 

 

グノーの「ファウスト」を観るのも今回が初めてである。

ゲーテの原作におけるような、世界の全てを知り尽くしたいという知的欲求に溢れたファウスト像は身をひそめ、ここでは「青春」「快楽」を求める老人という、より品がないがわかりやすい設定になっているのが面白い。

ファウストやドン・ファンなど、ドイツではこういった好色な人物像が一種の理想主義者としてロマン的に描かれることが多いように思うが、ラテンの国ではもっと現実的でなければ通じないのかもしれない。

演出は、舞台を老人ホームだか精神科病棟だかにしてしまい、うらぶれた老人の妄想であることをより強く打ち出していた(なお、マルガレーテも同じ病棟の患者のような設定であった。マルガレーテの妄想という設定だったのか?)。

なお、セットは機械でなく人力で動かしていたため、ときどき動かなくなったりと、トラブルがあったが、予算の都合上仕方ないのだろう。

予算は抑えたまま、できるだけ良い舞台を作ろうという演出家やスタッフたちの努力には頭が下がる。

 

演奏は、聴き慣れた曲でないので判断しにくいが、全体に良いものであったように思う。

歌唱もみなしっかりしたものであったが、特にオーケストラ(大阪交響楽団)の演奏のすっきりとした美しさが印象に残った。