大阪国際音楽コンクール チャリティーコンサート & グランドファイナル=ガラコンサート | 音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

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クラシック音楽の鑑賞日記や雑記です。
“たまにしか書かないけど日記”というタイトルでしたが、最近毎日のように書いているので変更しました。
敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

大阪国際音楽コンクール チャリティーコンサート&グランドファイナル=ガラコンサート

 

【日時】

2016年10月10日(月・祝) 12:30開演
 

【会場】
高槻現代劇場中ホール(全席自由)

 

【出演・プログラム】

(後日追記予定)

 

 

 

 

 

音楽コンクールのほとんどはおそらく東京で行われており、また日本でおそらく最も国際的に知名度の高いピアノのコンクールは浜松国際ピアノコンクールだと思われる。

関西には、大きなコンクールがあまりない。

そんな中、大阪国際音楽コンクールは数少ない関西のコンクールの一つであり、またその中でも最も規模の大きいものだろう。

聴講するのは今回が初めてである。

本当は予選から聴きたかったが、都合が合わず聴けなかった。

そこで、各部門の上位入賞者たちによるガラコンサートを聴きに行ったのだが、こういったファイナルのガラコンサートでも無料で聴けるのはありがたい。

各部門の上位者たちが演奏するため、互いに全く異なる楽器や年齢層のコンテスタントたちが集まっているのだが、その中からさらにグランプリを選ぶという、変わった趣向があった(ここまで違うとなかなか選びづらいだろうに)。

さらに、オーディエンスが選ぶ「聴衆賞」もあるらしい。

「聴衆賞」を選ぶ一員として投票する、というのも初めての経験で、なかなか楽しかった。

 

演奏自体は、さすが皆ファイナリストだけあって、レベルは高かった。

はっきり言って、審査員たちによるチャリティーコンサートよりも、うまかった(笑)。

特に、後の方のプログラムになるにつれてどんどんレベルが上がっていく印象だった。

特に印象深かったのは、

 

松本紘佳/杉林岳 グリーグのヴァイオリン・ソナタ第1番より第1楽章

荒井里桜 イザイの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第4番

高島美穂 ヴァインのピアノ・ソナタ第1番より第1楽章

Tina Drole アリア(詳細後日追記予定)

Junyan Chen ヨハン・シュトラウス二世(シュルツ=エヴラー編)の「美しく青きドナウ」

Karolina Nowotczynska ミルシテインの「パガニーニアーナ」

 

といったあたりである。

松本/杉林ペアは、派手さはないが滋味のある演奏で、特にピアノが秀逸だった。

荒井さんは、求心的な迫真のイザイを聴かせてくれた。

高島さんは、ヴァインのソナタは名演も多いので際立ってうまかったとはいえないが、丁寧な弾きぶりで、特に音が美しかった。

Droleさんは、やはり日本人が歌うのとはわけが違う堂に入った表現で、身振りまでサマになっていた。

Chenさんは、ヴィルトゥオーゾ的(技巧的)なこの曲にあって、丁寧で繊細な表現が印象的で、また日本人からなかなか聴かれない「華」もあった。

最後のNowotczynskaさんは、やや粗い面もあるものの堂々とした迫力ある音づくりが印象的で、ホール中に音が響き渡ったのはこの人の演奏だけだったように思う。私は「聴衆賞」の票を彼女に入れた。

その他、韓国の伝統的な楽器は素朴で不思議な音色がして面白かったし、これまた韓国(あるいは中国?)の小学生くらいの姉妹がとてもうまくヴァイオリン・デュオをしていたのも微笑ましいを通り越してすごかった(観客の拍手もひときわ大きかった)。

 

で、結局グランプリはクラリネットのDaniel Ali Lugosiくんが選ばれた。

確かにうまかったが、へー彼なのか、と意外でもあった。

そして、聴衆賞は上にも書いた、松本/杉林ペア。

確かに良かったし、私の印象にも残っていたが、派手さはなかったため、彼らが聴衆に選ばれたのも意外だった。

やはり、音楽の審査というものは予想のつかないものである(去年の浜コンでも十分に思い知ったのだが)。