タカーチ弦楽四重奏団 西宮公演 ベートーヴェン 弦楽四重奏曲第2、11、14番 | 音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

クラシック音楽の鑑賞日記や雑記です。
“たまにしか書かないけど日記”というタイトルでしたが、最近毎日のように書いているので変更しました。
敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

タカーチ弦楽四重奏団

 

【日時】

2016年9月19日(月・祝)  開演15:00  (開場14:30)

 

【会場】

兵庫県立芸術文化センター 神戸女学院小ホール

 

【出演】

タカーチ弦楽四重奏団

 エドワード・ドゥシンベル(第1ヴァイオリン)

 カーロイ・シュランツ(第2ヴァイオリン)

 アンドラーシュ・フェイエール(チェロ)

 ジェラルディン・ウォルサー(ヴィオラ)

 

【プログラム】

<オール・ベートーヴェン・プログラム>
弦楽四重奏曲 第2番「挨拶」
弦楽四重奏曲 第11番「セリオーソ」
弦楽四重奏曲 第14番

 

 

 

 

 

タカーチ四重奏団の、オール・ベートーヴェン・プログラム。

電車を間違えてしまい、弦楽四重奏曲第2番は残念ながら聴けなかった。

しかし、第11番、14番だけでも十分に元の取れる演奏会だった。

世に数多ある弦楽四重奏団は、音程が不安定だったり、音色がきつかったりと、私にとってはソリストやオーケストラの演奏に比べ聴くに堪えないものが多い印象がある。

しかし、タカーチは違う。

音程はかなり正確性が高く安心して聴いていられるし、音色もソリッドでありながらも柔らかで(矛盾するような書き方だが、そうなのである。適切なヴィブラートの具合もその一因だろうか)、つまりレベルが高い。

さらに、彼らの演奏様式は至って正統的なものであり、デュナーミク(音の強弱)をしっかり描き分け、妙な解釈はせず、聴き手にベートーヴェンをそのまま届けてくれるのである。

激しい部分は大きな音で十分に激しく、繊細な部分は緊張感漂う弱音で繊細に、そしてテンポはあまり揺らさず、自然な呼吸で。

そして、今回演奏されたのはとても良い曲であるだけに、彼らの直截的な演奏は非常に効果的だった。

特に、第14番。

この曲は晩年のベートーヴェンの作曲の粋を尽くした、真の名曲だと思う。

それをこれだけのレベルの演奏で呈示してくれたことに、感謝するしかない。

もしもハーゲン四重奏団だったなら、さらに求心的なこだわりの表現だっただろうか、と思うときもあるにはあった。

しかし、これほどの演奏が聴ける機会など、そうあったものではない。

不満はなく、ベートーヴェンの至芸・精神を存分に堪能させていただいた。