大阪フィルハーモニー交響楽団 第501回定期演奏会 大植英次 ブルックナー 交響曲第9番 ほか | 音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

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“たまにしか書かないけど日記”というタイトルでしたが、最近毎日のように書いているので変更しました。
敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

大阪フィルハーモニー交響楽団 第501回定期演奏会

 

【日時】

2016年8月25日(木) 19:00開演

 

【会場】

フェスティバルホール

 

【演奏】

指揮:大植英次
出演:大阪フィルハーモニー交響楽団 
 
【曲目】

小倉朗/管弦楽のための「舞踊組曲」
ブルックナー/交響曲第9番二短調 (ノヴァ―ク版)

 

 

 

 

 

大フィルの定期演奏会である。

指揮は、大フィルの前音楽監督である、大植英次。

彼の演奏を聴くのは、これが初めてである。

 

前半は、小倉朗の曲。

小倉朗の名前はよく聞くものの、曲を聴いたことはほとんどなかった。

武満徹あたりに比べると調性感は比較的強く、そういう意味では一般的には親しまれやすいといえるかもしれない。

日本の音階を用いているような印象もあった。

手拍子が出てきたり、弦をはじく打撃音があったり、「民族音楽」風といえるのかもしれない。

ただ、日本らしさが出ている分、武満徹ほどの個人としての個性があるかといわれると、難しいところのようにも感じた。

 

後半は、メイン・プロのブル9。

この著名な曲も、実演で聴くのは実は今回が初めてと思う。

大植英次の解釈は、テンポの緩急の変化が大きく、例えば第1楽章冒頭、ピアノ(弱音)で始まった第1主題がクレッシェンド(次第に大きく)していき、フォルテ(強音)となるまでの経過句において、かなり急速なアッチェレランド(加速して)が聴かれたのが印象的だった。

師匠のバーンスタイン譲りのロマン的な解釈といえるかもしれないが、このアッチェレランドはバーンスタインにも聴かれないほどのもので、ほとんどフルトヴェングラーに近いといっていい。

フルトヴェングラーの、あの重く引きずるような重厚さは聴かれなかったが。

また、バーンスタインの、まるでマーラーでも奏しているかのような熱狂も、大植の演奏には、なかった。

ブルックナー指揮者といわれる人たちにおいてしばしば聴かれるような、響きへの強いこだわりも、それほど感じられなかった。

ロマン的な緩急があるが、全体的にはさらっと流れていくような演奏、といったら良いか。

 

今年は、佐渡裕&PACによるブル9も予定されている。

彼もバーンスタインの薫陶を受けているという意味で大植と共通しており、どのような演奏を聴かせてくれるか楽しみだ。