フィルハーモニア・カルテット ベルリン リサイタル | 音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

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クラシック音楽の鑑賞日記や雑記です。
“たまにしか書かないけど日記”というタイトルでしたが、最近毎日のように書いているので変更しました。
敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

フィルハーモニア・カルテット ベルリン


ダニエル・シュタープラーヴァ(Vn)/クリスティアン・シュターデルマン(Vn)/ナイトハルト・レーザ(Vla)/ディートマール・シュワールケ(Vc)


笠原純子(Pf)


【プログラム】

ベートーヴェン:弦楽四重奏曲 第7番 ヘ長調 op.59-1《ラズモフスキー 第1番》

ショスタコーヴィチ:ピアノ五重奏曲 ト短調 op.57(ピアノ:笠原純子)


アンコール

ショスタコーヴィチ:ピアノ五重奏曲 ト短調 より 第3楽章


・公演日 2016年5月20日(金)
・会 場 兵庫県立芸術文化センター 神戸女学院 小ホール(兵庫県)






フィルハーモニア・カルテット ベルリンは、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団のメンバーから、主としてコンサートマスターや首席奏者が集まってできているカルテットである。

まずはベートーヴェンのラズモフスキー1番。

ハーゲン四重奏団やキアロスクーロ四重奏団のような、表現を極めつくした演奏ではないが、各人みな演奏レベルが高く、「オーケストラの片手間」とは思えない演奏である。

よく練習している、というようなことがプログラムにも書かれている。

それに、もったいぶったところがなく、ストレートな表現であることも好ましい。

ベートーヴェンの演奏の伝統を正統的に受け継いでいるのは自分たちだ、というような意気込みさえ感じられそうな気もする(プログラムにも、流行を追うのではなくベートーヴェンの伝統をしっかり突き詰めたいというようなことが書かれている)。

全体的に、特にフォルテのところで音がやや硬めな印象は受けたが、ホールの響きにもよるものかもしれない。

いずれにしても、ストレートで力強いベートーヴェンを楽しむことができた。


後半のショスタコーヴィチは、こちらも名演なのだが、古典的で淡々とした演奏で、フーガ楽章などまるでベートーヴェンのフーガででもあるかのような印象であった(たとえば14番 嬰ハ短調の第1楽章のような)。

ショスタコーヴィチも「古典」となった現在では、こういうのもありかもしれないが、もう少し暗ーい、神経質な面があってもいいような気はした。