大阪交響楽団 第87回 名曲コンサート“ハープ” | 音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

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クラシック音楽の鑑賞日記や雑記です。
“たまにしか書かないけど日記”というタイトルでしたが、最近毎日のように書いているので変更しました。
敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

大阪交響楽団の8/22の演奏会を聴いた。

指揮は高橋直史、ハープは平野花子。


モーツァルトの交響曲35、38番。

テンポはなかなかさわやかでよかった。

パワーとしては、人数が少ないこともあってか、やや弱い感じがしたし、弦ももう少し美しいと良いとは思ったが。

ぶっとんだ斬新なテンポや解釈もなく、悪く言えば微温的かもしれないが、個人的には気に入った。


メンデルスゾーンの「フィンガルの洞窟」。

これもさわやかな無理のないテンポでよかった。

普段聴きなれているフルトヴェングラー、ベルリン・フィル盤とは別の曲みたい。

でもこちらのほう(大阪響)が本来のメンデルスゾーンに近いのだろう。

でも終演後に改めてフルトヴェングラー盤を聴くと、やはりものすごい。

チェロの第2主題など、まるで地鳴りのようだし、コーダのすさまじさはまるでベートーヴェン。

阿修羅のような激しさのあとで、もとの緩やかなテンポに還っていくあたりも素晴らしいとしかいえない。

こう書くと、大阪響のほうはだいぶ分が悪いが、でも再現部の第2主題でのクラリネットは実に美しかった。

フルトヴェングラー盤におけるベルリン・フィルのクラリネットにも引けを取らないと感じた(こちらは音質が悪いという面もあるが)。

忘れられないシーンである。


ヘンデルのハープ協奏曲。

これがこの日の曲の中で最も印象深かった。

シンフォニーホールに響き渡るハープの美しさといったら。

古代のリラの響きを彷彿させる根源的な響きであったり、はたまたレースのような繊細さであったり、その変幻自在な表情に完全に魅了されてしまった。

ハープのうまい下手は私にはあまり判断がつかないが、ミスは少しあったもののまったく気にならないすばらしさだったと思う。

繊細なピアニシモの音階から、ドラマティックなフォルテによるアルペッジョまで、デュナーミクの幅が広く、全体的に情熱的な演奏であったように思う(特に第2楽章のカデンツァ)。

オーケストラのサポートも慎み深くて曲想にぴったりであった。

ときに入れられる装飾音が、宇野功芳氏ふうに言うととてもチャーミングであった。


アンコールは、モーツァルトの「フィガロの結婚」序曲だった。

かなり爽快なハイテンポで、音階を下降するパッセージも小気味よく(クルレンツィス盤のように一つ一つスタッカートがついていればなお好みだが)、演奏後の拍手もひときわ大きかったように思う。

高橋氏という指揮者、私は初めて知ったが、全身でモーツァルトの楽しさを表現しているような指揮ぶりであり、好感を持った。

駆けるようにして軽快にステージから去ったり、また出てきたりする姿もほほえましかった。


全体的に、行って良かったコンサートであった(特にハープ協奏曲)。




大阪交響楽団 第87回 名曲コンサート“ハープ”


2015年8月22日(土) 

昼の部 13時30分開演/夜の部 17時00分開演

指 揮 : 高橋 直史

(ドイツ・エルツゲビルゲ歌劇場音楽総監督)

ハープ : 平野 花子

(2007年USA国際ハープコンクール 日本人初の銀メダル)

モーツァルト   交響曲 第35番 ニ長調「ハフナー」 K.385     

ヘンデル     ハープ協奏曲 作品4-6 変ロ長調            

メンデルスゾーン 序曲「フィンガルの洞窟」                

モーツァルト   交響曲 第38番 ニ長調「プラハ」 K.504