関西フィルの城陽公演を聴いた(8/23)。
指揮は藤岡幸夫、ピアノは金子三勇士。
吉松隆の「3つの水墨画」。
京都がテーマになっている曲だそうな。
まぁ聴きやすいけど、感銘を受けるというほどでもなかった。
人数が多いこともあってか、昨日の大阪交響楽団よりも弦がきれいだと感じた。
ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番。
これはいただけなかった。
オケはよかった。雄大で迫力があった。
ピアノは、若々しくて激しいのはいいのだが、美しくなかった。
雄大なロシアの大地を思わせるスケールも感じられなかった。
テンポの一貫性があまりなく恣意的に早くなったり遅くなったりするのが原因か。
和音は透明感もなければ重厚感もなく、これも原因か。
第1楽章、和音が8小節くらいかけて少しずつクレッシェンドされるのだが、2小節目くらいですぐにフォルテになりすぎてしまう。
オケのテーマが入ったとたんにテンポが急に速くなる(もっとも、これはツィマーマン盤など多くの演奏でそうなってしまっている)。
第2主題の和音の連なりにより浮かび上がるメロディーが美しくない。雑な響き。テンポも恣意的。
第2楽章、クラリネットと掛け合いで歌わせるひとくさりのメロディー、これも美しくない(クラリネットのほうは美しかった。前日の大阪響のクラリネットがさらに美しかったので、やや割を食ったが)。
第1楽章展開部終わりや、第3楽章などでオケと一緒に盛り上がる部分では、逆にほとんど聴こえない。
残念な結果であった、弾けていないわけではないのだが。
アンコールの、ショパンの夜想曲 嬰ハ短調(遺作)。
戦場のピアニストで有名になった曲。
これはラフマニノフよりはよっぽどよかったが、それでもテンポがころころ変わり、聴いていて落ち着かなかった。
個性といえばそうなのかもしれないが、基本テンポの一貫性というものはこういった小さな曲でも大事なのだと思い知らされた(格調の高さ、というか)。
休憩をはさんで(昼食がまだだったので、休憩中に急いでカフェに入って牛すじカレーをほおばって、大変だった)、シベリウスの交響曲第2番。
これは素晴らしかった。
ただし仕事の都合で第1楽章しか聴けずに去ってしまったのが残念。
木管、金管、弦、それぞれが歯切れよく、さわやかに進み、フォルテになろうとも汚くならず、静かに澄んだ透明感を湛えている。
こう書くとべた褒めで、ほめすぎなのかもしれないが、とても久々にこの曲を聴いて、このように感じたのだ。
帰る電車の中でいろいろとこの曲の演奏を聴いていて、気に入ったのはベルグルンド/ロンドン・フィル盤とヴァンスカ/ラハティ響盤。
特に前者は、静かで透明感があって、本当に北欧の風景を彷彿させる。
これに比べ、関西フィルの演奏は、より動的な、活きのいい感じ。速いパッセージなどみずみずしい。そして生演奏だけあって、金管など迫力がある。でも透明感も失われてはいない。
第2楽章以降もぜひ聴きたかったと思わせる演奏であった。
全体的には、前日の大阪交響楽団のコンサートに比べると劣ってしまった(ラフマニノフのせいで。あと前日のハープ協奏曲はほんとうによかったということもあり)。
でもオケの実力としては、関西フィルのほうが上なのかな、と思った(編成が違いすぎて判断できないが)。
関西フィルの弦はかなり美しかった。
大阪交響楽団の弦もより大編成でいつか聴いてみたいところである。
関西フィルハーモニー管弦楽団 第5回城陽定期演奏会
[日時]
2015年8月23日(日)
14:00開演(13:20開場)
13:40~指揮:藤岡幸夫によるプレトーク開催!
[場所]
文化パルク城陽 プラムホール
[出演]
指揮:藤岡 幸夫(関西フィル首席指揮者)
藤岡幸夫
ピアノ:金子 三勇士
金子三勇士
バルトーク音楽小学校にてチェ・ナジュ・タマーシュネーに、国立リスト音楽院(特別才能育成コース)にてエックハルト・ガーボル、ケヴェハージ・ジュンジ、ワグナー・リタに師事。2006年全課程取得とともに日本に帰国、東京音大付属高校に編入、清水和音、迫昭嘉、三浦捷子に師事。バルトーク国際ピアノコンクールの他、数々のコンクールで優勝。これまでに、小林研一郎指揮/読売日本交響楽団、新日本フィルハーモニー他と共演。海外ではハンガリー、アメリカ、フランス、ドイツ、オーストリア、ポーランド、中国等で演奏活動を行なう。
[プログラム]
◆吉松 隆:三つの水墨画 作品114(※京都府物産協会50周年記念作品)
◆ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番 ハ短調 作品18
◆シベリウス:交響曲第2番 ニ長調 作品43(※生誕150年記念)