~タンジムくんとヤギ~バングラデシュの「家畜支援」 | グッドネーバーズ・ジャパンのブログ

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グッドネーバーズは、日本国内を含む世界40カ国以上で子ども支援、開発、緊急支援活動に取り組む国際NGOです。

こんにちは。 グッドネーバーズ・ジャパンでボランティアをしている、ソリョンです。

私は大学の夏休みを利用して、グッドネーバーズ・バングラデシュ(GNB)でインターンとしてお世話になっていました。 今回は、GNBが行っている「家畜支援」についてご説明します。

GNBでは現在、「収入向上活動支援」を行っています。
これは、GNBが支援する子どもたちの家庭と地域コミュニティが自立できるように教育し、地域住民たちの能力を強化し、貧困の悪循環を断ち切るための事業です。

その収入向上活動支援の一つが「家畜支援 」です。

私がインターンをしていたのは、首都ダッカからバスで14時間の超農村地帯、タクルガオン地域で、この地域の人々はほとんどが農業で生計を立てており、ヤギは家族にとって大事な財産です。
ヤギは暑さに強く、35℃を超えるバングラデシュの猛烈な気温の中でも育てることができます。1年に2-3匹のこどもを産み、子どもたちは毎日新鮮なヤギのミルクが飲めるため、タンパク質の補充にも役に立ちます。

このように家計収入の向上・栄養補給に欠かせないヤギですが、子どもたちにとってはさらに大事な意味を持っているようです。



それを教えてくれたのが、タクルガオンで会った5才のタンジムくん


タンジムくんに会った瞬間、栄養失調であることがすぐわかりました。
5才児とは思えないぐらい小さな体、細い腕と脚、栄養失調の初期症状でよくみられる、細くて薄い色の髪の毛。でも、こどもらしく元気いっぱい遊んでいました

両親は1日中畑で働いているためいつも留守です。学校にはまだ行っておらず、兄弟もいないタンジムくんには、グッドネーバーズ・バングラデシュが支援したヤギが唯一のお友達でした。

 
ペットボトルのふたに穴を開けて作った水飲み器で水をあげるタンジム君
 
抱っこするタンジム君と、ちょっと嫌そうな(笑)ヤギ

ある日、お別れの日がやってきてしまいました。Eid-Dayが来たのです。

イスラム教徒がほとんどを占めているバングラデシュでは、1年に1回、約1か月間、日の出から日没での間は飲食しないラマダンという断食期間があります。この期間が終わる日をEid-Dayと言い、家族と親戚みんなが集まって食事をする伝統があります。

お肉がもっとも売れるこのEid-Dayに、タンジムくんの両親はヤギを売ることにしました。
タンジム君が祖父母の家に遊びに行った隙にヤギを売ってしまったため、帰ってきて友達がいなくなったことを知ったタンジムくんは泣き続けました。

両親からは「ヤギちゃん、タンジムがいない間に逃げちゃったんだよ」と聞かされましたが諦めきれず、タンジムくんは3日間、朝から晩まで泣きながらヤギを探し続けていました。

ご飯も食べずに、泣きながら寝るタンジムくんが今でも忘れられません。

グッドネーバーズ・バングラデシュが支援した家庭の収入向上のためのヤギは同時に、おもちゃなどないタクルガオンの子どもたちにとって一緒に遊べるお友達であり、兄弟でもあります。ヤギを友達だ、とかわいい笑顔で紹介してくれたタンジムくんをみて、「家畜支援事業」がもっと活性化され、タンジム君にも多くの子どもたちにも、新しいお友達がたくさんできたらいいなと思いました