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青い旅人

16才のヒカルは国家機密情報部の重要な任務を任された。任務名コードネームゼロ。記憶の片隅に消えた歴史、青い民の生き残りを連れ帰る。そして物語の終盤で岐路に立たされる。任務を遂行できるのか。何が待ち受けているのか。ヒカルはまだ知らない。

「青い民のことはあなたも知っているはず。遠い昔地震とともに沈んだ島。全ての記憶は島とともに沈んだはずだった。しかしその島の記憶を失うには、しのびないとある人物は考え代々口外しないという掟とともに、全ての記憶を封印し、たった一人にそれを受け継ぐことを課した。それが私の祖先だった。私も物心つくまで知らなかった。両親は文明の発展に心血を注いできたような人だったから。でもあるとき、私には別の名があることを知らされた。サイファ、再び巡りあうものという意味よ。その名前とブルーダイアの記憶を長い間私の家系は守りつづけていたの。それを15の誕生日に、突然知らされた。これまで暮らしてきた現実社会とのギャップと自分のさだめの重さに私は思い悩んだ。そして全くなんの心の準備もないまま家族を失い、私は途方にくれた。母から受け継いだ記憶はあの夜から常に私とともにある。確かに楽しい記憶もあったわ。とても温かい記憶、家族とともに過ごす1日、暖炉の温かさ、しかしそれ以上に滅亡の記憶は壮絶だった。いつの頃からか、誰かとこの思いを分かち合いたい。この重荷を軽くして欲しい。そんな時、私はひとりの男性にめぐり合った。彼は私の全てだった。だから隠し事をしたくはなかったの。そして私は掟をやぶり、互いの絆を深めたい一心で封印された記憶を伝えてしまった。伝えてはいけない人だったのに。彼もまた青い民の子。それに全く気づかなかった。恋は盲目とはよくできたたとえね。」

テレサは唇をかみ締めていた。

「トゥーリはクローザスの物語を伝えた日から、人が代わってしまった。彼はどうしても誇りを取り戻したかったの。あなたたちは、ハルミテンの伝承も知っているわね。彼はリッツの子孫だったの。彼の家にも同じように家宝があってそれを守りつづけてきた。私と出会い、記憶を取り戻すことで彼は彼の使命を思い出してしまった。運命の歯車が動き出してしまった。彼は王国の復活を夢見るようになった。それからは私の声も聞こえないみたいに、この世界で力を手にする為に手段を選ばなくなってしまった。伝説のラーニャにまで手を出そうとしたとき、私はがまんの限界に達した。こんな記憶などなくなればいい、そう思い私は二つの石に青い民の記憶を封印した。その一つがその石、そしてもう一つがあなたのペンダント。ヒカル、ごめんなさい。あなたを置き去りにして。地震が起こったあの日、ほろびの記憶がまた鮮明によみがえり私は、あなたのペンダントにそれを封印してしまった。ごめんなさい。」

ヒカルは突然の事で理解できなかった。

「チュー。」

ベリーがヒカルにすりよる。

「あの人を止めなくてはいけない。ここにあったクローザスの種も持ち出されている。ルピナスは植物の異常現象が起きているそうね。それはクローザスが芽吹き始めている証。すでに時は満ち足りている。早く止めなくては。幸い、いまならすんでのところでラーニャはまだよみがえっていないことだし、まだ間に合うわ。」