体の老化に糖化が関係していることが広く知られるようになって10数年。

糖化に関係する用語を書籍や健康情報でよく目にするようになりました。

 

簡単に言うと・・・・

体の糖化が進むと、老化の原因物質であるAGEsが蓄積する。

これを作らない、溜めない、排出しやすくするのが抗糖化。

 

「抗糖化」という用語は広告宣伝への使用がNGと指摘されることもあるので

安全を見越して「糖化ケア」とも言われることもあります。

意味はどちらもほぼ同じです。

 

ところで「AGEs」

目読しているときには気にならないのですが、

音読しようとすると・・・・うっ?

 

 

A・G・E に、小文字の s が付いている。

 

素直に読むと「えー、じー、いー、えす」

 

少し恰好よく読むと「えいじす」

 

ちょっとごまかして読むと「えー、じー、いー、(ズ)」

小文字の s を言ったか言わなかったの程度でごまかす。

 

みなさんは、どう読んでますか?

 

正解は! 全部マルです。

どう読んでも良いのです。

 

そもそもAGEsは Advanced Glycation End Products の略語です。

 

AGEsは単一の物質でなく、物質群なので複数形の s が付いています。

 

TV番組やマスコミでは s が言いにくいので 

「えー・じー・いー」と音読されることが多いです。

 

またAGEsの日本語訳も多数あります。

 

・糖化最終生成物

・終末糖化産物

・後期糖化生成物 など

 

これらの日本語表記も、どれを使っても良いです。

情報番組や書籍ではできる限り同じ用語を使う方が良いので

糖化ストレス研究会では

 

AGEs = 終末糖化産物 を推奨しています。

 

AGEsの日本語表記について(糖化ストレス研究会)

https://www.toukastress.jp/info/article/304

 

言葉って大切ですよね。

使うシーンによっては1つで言い表せないのも言葉なのです。

 

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12月半ばになって強い寒波がやってきています。

今年の冬は例年よりも寒くなるのか・・・と心配なこの頃です。

 

さて2022年も2週間後には年末年始を迎えることになり、

社寺仏閣へお参りする機会があると思います。

 

そこで見かけることが多い甘酒に関する嬉しい話題をお届けします。

 

甘酒

 

年末年始や寒い季節に

体を温める飲み物として振舞われる機会がある甘酒

「甘い」という味だけで、飲む時に罪悪感を感じていませんか?

 

私たちの研究で甘酒が体に良い作用を持つ可能性を新たに見つけました。

今年(2022年)の糖化ストレス研究会で大金らが発表した研究結果をご覧ください。

 

第25回糖化ストレス研究会 講演会(京都:ポスター発表)

https://www.toukastress.jp/info/article/328

 

 

この結果は

甘酒に老化の原因物質であるAGEsの生成を抑える作用があることを示しています。

 

この研究では市販の甘酒10種類を購入し、

AGEsの生成抑制作用を検証することで抗糖化作用を評価しました。

3番目のものを除く9種類の甘酒に10%以上の生成抑制作用が認められています。

 

今回の研究では

酒粕を原料とするもの3種類、米麹を原料とするもの7種類を使用しました。

 

製品ごとに多少の違いがありましたが

甘酒は酒粕よりも米麹を原料としたもの抗糖化作用が強いという結果でした。

 

甘酒には酒粕甘酒と米麹甘酒の2タイプがあります。

主な違いは以下の農林水産省サイトをご覧ください。

https://www.maff.go.jp/j/heya/sodan/1712/02.html

 

甘酒に関する本格的な研究はこれからです。

もちろん摂取後の血糖値への影響検証も予定しています。

 

どんな物質が作用しているのか?

もっと強い抗糖化作用もつ甘酒はあるのか?

実際にヒトが長期間甘酒を摂取したら体の糖化は防げるのか?

 

興味深い課題はまだまだあります。

 

甘酒は飲む点滴とも言われています。

この理由は病中病後、術後、体調不良などで食欲がないときに栄養分や水分を効率良く補給する食品としての意義です。

 

とは言え、

甘さ故に体への影響が気になっていた方々もおられると思います。

飲みすぎは良くないですが、

寒い時に体を癒す飲料として甘酒の選択も体の糖化を防ぐ手段になりそうです。

 

抗糖化作用が強い米麹甘酒はノンアルコールなので子供から大人まで楽しめます。

寒さ強まる年末年始に向けて

私たちの研究成果の一部をご紹介させていただきました。

 

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食後の血糖値変化の話題です。

 

米飯を食べた後は血糖値が上昇する・・・。

炭水化物メインの食品であればごく自然なこと。

 

そんなことは皆さん良くご存じと思います。

 

これは健康な20歳代被験者12名が米飯200g(炭水化物量として約70g)を食べた後の血糖値変化の平均値グラフ(平均値±標準誤差)です。

 

 

食後45分頃に血糖値が最高となり、その後、低下していきます。

いわゆる教科書通りの変化です。

 

この試験の被験者12名は大学生で

空腹時血糖、HbA1cなどの各種健康診断値に全く異常がない方々です。

 

健康診断値に異常がない方であれば

食後はみんな同様の血糖値変化をしていると思いがちですが

12名の個人の変化を見てみると結果のイメージが大きく異なります。

 

 

食後の血糖値変化は平均値にすると教科書通りですが

個人によって大きく異なるのです。

 

米飯の摂取で血糖値が「上がりやすい人」「上がりにくい人」がいるのです。

20歳代であってもです。

 

iAUCを計算して比較すると

最大値は 7013最小値は 2783。何と 2.5倍 も異なります。

 

高値な人は糖化ストレスの影響を受けやすい状態にあり、

食事の種類や食べ方に注意する必要があります。

 

食事による血糖値変化の影響は健康に見えるひとであっても、人によって大きく異なります。

 

残念ながら食後の血糖値上昇影響を検査する機会はなかなかありません。

 

健康と思っている人も、そうでない人も

誰もが常に食後の血糖値変化を意識して食事をすることが重要です。

 

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そもそも

食後に血糖値が上がりやすい食品と、

血糖値が上がりにくい食品があることはご存じですか?

 

健康食品の分野ではグリセミックインデクス(GI)

と呼ばれる数値で説明されています。

じゃあGI値って何ぞや? というお話しです。

 

そもそもGI値というのは

食品を食べた時の血糖値への影響を示す指標で

1981年にJenkins DJらによって示されたものです。

 

以下はオリジナルの研究論文なので興味のある方はご覧ください。

https://academic.oup.com/ajcn/article/34/3/362/4692881?login=true

 

そもそもGI値は

食品の糖質(≒炭水化物)を50gに揃えて食べたときに

その食品の食後の血糖値影響を示す指標です。

 

一般的にGI値は以下のように評価されます。

70以上:  高GI食品

56-69:   中GI食品

55以下:  低GI食品 

 

なので食品メーカーや健康意識の高い人は「低GI食品」が気になるわけです。

 

 

日本では米飯を主食とする人が多いので、

GI値の算出基準はぶどう糖50gではなく、市販の包装米飯147g(サトウのご飯、新潟産コシヒカリ100%、147g)を摂取した後の血糖値上昇を基準(GI値:100)にして試験することが推奨されています。

 

日本Glycemic Index研究会 プロトコール(統一手法)

http://www.gikenkyukai.com/protocol.html

 

 
GI値算出の基準となる食品が2種類あるということになります。
 
とすると、米飯147g(糖質含有量は50g)とぶどう糖50g摂取後の血糖値上昇は同じなのか?という疑問が生まれます。
 
やってみました。
 
被験者4名(健康な20歳代の男女)

1)ぶどう糖50g摂取

2)サトウのご飯、新潟産コシヒカリ100%、147g 摂取
 

iAUC     1) 6148     2) 4646

Cmax    1) 85.8     2) 60.8

 

ぶどう糖は米飯と比べてiAUCで1.3倍、Cmaxで1.4倍高値でした。

GI値算出の基準食品が変わると評価される食品のGI値は大きく変わりますね。

 

既に研究論文に基準食の違いによるGI値の違いは1.2倍であることが報告されていました。

 

食事のGlycemic Indexと生活習慣病一次予防

https://www.jstage.jst.go.jp/article/cookeryscience/44/4/44_259/_article/-char/ja

 

GI値を見る時には何を基準食として算出されたのかを、きちんと見分けることが重要ですね。

 

ちなみに

前回の羊羹のGI値をぶどう糖基準で算出してみると

55以下の低GI食品と評価されるものが2品もありました。

 

甘いものは高GI食品と一概に言えないのです。

 

 

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前回、炭水化物量を50gに揃えて、

羊羹、米飯、砂糖(水)を食べた時の血糖値上昇は

砂糖が最も大きく、次いで米飯、羊羹が最も小さかったことを紹介しました。

 

羊羹を食べる時の罪悪感は少し和らいだのでは?

 

前回の結果をもう少し紹介しましょう。

 

血糖値への影響が大きさは

前回見てもらった食後の血糖値変化のグラフのようすを見て

主に以下の2点から判断されます。

 

1)血糖値が一番高くなった時の値(ピークトップの値)を最高血糖値変化(略号では ΔCmax

2)血糖値が変化しているグラフの線の下側の面積値を血糖上昇曲線下面積(略語ではiAUC

 

では、羊羹の摂取試験結果を見てみましょう。

 

 

 

今回は試験した3種類の羊羹の結果を紹介しました。

いずれのグラフも被験者16名の平均値です。

 

iAUCは羊羹が米飯、砂糖水よりも小さい結果です。

 

ΔCmaxは羊羹と米飯が砂糖水より小さい結果です。

 

食品摂取後の血糖値への影響は

前回紹介した血糖値変化のグラフ、iAUCとCmaxの値で評価します。

 

これで羊羹が米飯や砂糖水よりも食後の血糖値に及ぼす影響が小さい可能性が

ご理解いただけたと思います。

 

繰り返しますが・・・・

これは摂取する炭水化物量を揃えた場合の結果です。

 

量を多く食べれば血糖値が上がりやすいことは変わりません。

節度をもって量を決めて食べること。

普段通りの食事にプラスすれば血糖値はもっと上がります。

 

食後に羊羹を食べる予定があるのなら、

米飯や炭水化物量を減らしておくことがポイントです。

是非、糖化ケアの実践を!

 

 

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スイーツを食べると血糖値が急上昇して体に良くないと思いがち・・・・。

 

本当にそうなのか?

調べてみました。

 

食べたのは 羊羹、米飯、砂糖水の3種類。

影響を単純比較できるように

どれも炭水化物量を50gに揃えました。

 

羊羹:小型羊羹1本半

米飯(白飯):150g

砂糖水:50gの砂糖を200mLの微炭酸水に溶かしたもの

 

 

食べたのは20歳代の健康な男女16名。

 

いわゆるヒト臨床試験です。

もちろん試験実施に関するヒト試験倫理審査委員会の承認も受けました。

 

食品は試験開始後10分間で摂取し、

試験開始前から血糖値をモニタリングしました。

血糖値の測定にはフリースタイルリブレProを使いました。

 

以下の通りの結果です。

 

 

羊羹を食べた後の血糖値上昇は米飯、砂糖水よりも小さいとの結果です。

 

同時に3種類の羊羹を調べましたが、

種類ごとに多少の違いがあるものの

3種類とも米飯、砂糖水よりも血糖値の上昇は小さい結果でした。

 

違いは羊羹に含まれる寒天や小豆由来の食物繊維などの影響かも知れません。

詳しくは引き続き調べていきます。

 

作る過程で砂糖を多く使う食品は

常に他の食品と比べて血糖値上昇への影響が大きいと思われがちです。

調べてみると必ずしもそうとは言えない可能性がありました。

少なくとも大きな罪悪感を持って食べる食品ではなさそうです。

 

血糖値への影響が米飯と比べて小さいからと言って、

羊羹をパカパカたくさん食べるようなことはしないでくださいね。

 

節度をもって適量を守って、

できれば緑茶や抹茶と一緒に食べれば、

お茶に含まれるカテキン類の作用で糖質の分解が抑えられるのでGoodです。

 

詳しい研究結果を見たい方は

専門的になりますが以下をご覧ください。

 

Effect of Yokan intake on postprandial blood glucose

https://www.toukastress.jp/webj/article/2022/GS22-26.pdf

 

 

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糖化と認知症に関する興味深いデータです。

 

皮膚中AGEsの蓄積量と軽度認知障害(Mild Cognitive Impairment : MCI)が関係している。メモ

 

愛媛大学病院で抗加齢ドックを受診した266名(平均年齢67.9±10.0歳)の皮膚中AGEs蓄積量をAGE reader(DiagnOptics)で測定してMCIとの関連性を調査した結果、

AGEs蓄積量が多い人はMCIの割合が、蓄積量が中程度あるいは少ない人と比べて、多かった・・・・とビックリマーク

 

伊賀瀬道也, 総合健診.2017;44:511-516

 

MCIは認知症の前段階と言われ、適切な対策をしなければ将来認知症になる確率が非常に高い状態です。

厚生労働省の推計(2013年発表)によると、65才以上の高齢者3079万人のうち、認知症が462万人、MCIが400万人との結果です。


つまり、

65歳以上の4人に1人が認知症またはその予備群ということになります。 ポーン


認知症の簡単なチェック法として、以下の12項目があります。

このうち4項目以上該当するとMCIの可能性が高いといわれています。

 

 1. いつも日にちを忘れている

   (今日の日付がわからない)
 2.少し前のことをしばしば忘れる
 3.最近聞いた話を繰り返すことができない
 4.同じことを言うことがしばしばある
 5.いつも同じ話を繰り返す
 6.特定の単語や言葉が出てこないことがしばしばある
 7.話の脈絡をすぐに失う

   (話があちこち飛ぶなど)
 8.質問を理解していないことがある

   (質問に対する答えが的外れでかみ合わない)
 9.会話を理解することがかなり困難
10.時間の観念がない

   (時間がわからない、午前・午後の区別がつかない)
11.話のつじつまを合わせようとする
12.家族に依存することがある

   (本人に質問すると家族のほうを向くなど)

介護ポストセブン
https://kaigo.news-postseven.com/2997/2

 

認知症を防ぐには、食事、運動、知的活動の3つをトータルで実践することと言われています。

 

食後の高血糖(グルコース・スパイク)、糖化反応、AGEsの蓄積を抑える糖化ストレス対策は認知症の予防にも繋がりそうです。

 

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糖化と認知症の関係について

少しショッキングなデータを紹介しますビックリマーク

 

アルツハイマー病患者の脳タンパク中のAGEs量は、ADでない人(コントロール)と比べて3倍多かったというデータ 叫び

 

   Vitek MP et al, Proc. Nati. Acad. Sci. USA. 1994; 91: 4766-4770 を改変

 

脳のタンパクが糖化してAGEsが溜まったからアルツハイマー病になったのか?

アルツハイマー病になるとAGEsが溜まるのか?

どちらが原因か結果なのかは不明ですが、

体にAGEsを溜めない生活習慣を続けることは認知症予防に繋がりそうです。

 

別の研究ではアルツハイマー病患者の脳内にはAGEsの蓄積が認められたとの報告もあります ポーン

しかもアルツハイマー病の脳の特徴である「老人斑」の周辺です。

 

   Horie l, et al, Biochem Biophys Res Commun. 1977; 236: 327–332 を改変

 

やはり糖化と認知症の関係はありそうです。

 

抗糖化成分を脳内に届けることができれば良さそうに思えますが、一筋縄にはいきません。

ヒトのには「血液脳関門 (blood-brain barrier : BBB) 」という関所が存在し、血中成分であれば何でも脳内に届くわけではありません。脳内にも届く抗糖化成分を探すには、まだまだ研究が必要です。

 

ともかく、

1) 余分な糖を消費する運動習慣

   → ウォーキング、階段昇降、エクササイズ など

2) 血糖値を上げにくい食事習慣

   → 糖質の食べ方、糖質量のコントロール など

 

これらを常に心掛ければ認知症だけでなく、さまざまな生活習慣病や老化予防に繋がるということが、糖化研究の成果から分かり始めています メモ

 

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「糖化ストレスの体への影響と食による抗糖化」というテーマでお話をさせていただく機会をいただきました。メモ

 

 

糖化は体にさまざまな影響を及ぼします。

糖尿病では認知症の有病率が高いことが知られています。

 

   Kimura R, et al: Psychogeriatrics. 2008; 8: 73-78 を改変

 

糖代謝状態が悪くなるほどに脳血管性認知症やアルツハイマー病の発症率が高くなること、

さらに、アルツハイマー病患者の脳内にある老人斑(アミロイド斑)の周辺にAGEsの蓄積が見られていること・・・・・・ ポーン

などを紹介させていただきました。

 

まさに糖化は老化なのですビックリマーク

 

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