5月14日22:00

ちなつ:
「田中ーーでもさ、占ってもらえなかったのに、
例のBridgeちゃんと成功したじゃん。」


田中は(どきー!)そう思いながら

田中:
「 まぁ、占いに行った=運がよくなるわけではないんですけどね 
 あれって気の持ちようだったりもしますしね。
 でも僕、新宿の継母がつぶれてるのを知ったあと、
 別のところに占いに行ったんですよ。」

ちなつ:
「で、なんて言われたの??」

田中:
「プロジェクトに結構嫌気がさしてたときだったんですけど、
 根気よくやればうまくいくって言われたんですよ。
 それでまぁなんとなく信じてがんばってみたら。。。
 というわけです。」

ちなつ:
「ふーん。そっか、それって高田馬場の父?」

田中:
「あ、そうです。」

(ちなつさん、結構気にしてるんだな。占いのこと)

田中は占い師に
このプロジェクト、人との出会いを大切にし、
その人からもらった助言なども
おろそかにせず真摯に受け止め参考にせよ

そう言われたのだった。

実は田中この間高校の同窓会で、
人材会社に勤める友人と再会し
かなりのヒントを得たのだった。

高校時代、ほとんど話したことがなかった相手
なのだが、
確か代理店に勤めていたが、
転職して今は人材会社にいると
いっていたような気がする。

名字は

青山。。

下の名前はわからない。

(まさか。。違うよな。。)

これをあり得ない話としようか迷ったが
ちなつを困惑させることになるかもしれないと思ったのもあり
あんなくだらない占い話で盛り上げてみたのだ。

来週青山ともう一度会うときにもでも
もう少し情報収集してみようと思っていた。
ついに田中進はチャンスを手に入れた。

新規プロジェクト、コードネーム「Bridge」だ。

簡単に言うと、人材ビジネスで、

優秀だと言われている世の中のプランナーやディレクター
などをランキングをつけ、入札できるマーケットプレイスだ。

世の中の小さな代理店でも簡単に外注できる仕組みである。

ただ、いざプロジェクトを動かしてみるとこれまた難しい。

そもそもランキングを付けるということは、
人気が出ない場合経歴に傷が付くことにもなる。

ただ代理店からしてみれば、このような人気が見てわかるのは
とても助かる仕組みである。

田中進は非常にまじめな男である。
坂本龍馬のお膝元で産まれ、野球をやって育った。

ある時のCMで広告の持つ力に魅了され、
企業と消費者の架け橋になりたいと思い、
現在の仕事をしていた。

実際働いてみると、政治的なことも多く、憧れた気持ちも忘れかかって
いた時に社内でビジネスプランコンクールがあり、思いついたことを
出してみた。
まんまと通り、現在のプロジェクトリーダーを任された。

彼のこの仕事もいろんなBridge(橋)を作ることになる。

今苦しんでいる田中進は知る由もないが・・・。

夢を叶えたい想いが、たくさんの夢も乗せていた。



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【登場人物のおさらい】

竹本ちなつ・・・広告代理店『スロープコミュニケーションズ』で営業勤務 28歳 主人公
青山健二(H)・・・3年前に電車でであった青年。1年前にもばったりぶつかる。
          青山(T) とは面識あり。まだ謎多し。
青山健二(T)・・・トラベルジャパンに勤務する。エキスポにて連絡をもらう。
田中進・・・ちなつの会社後輩で26歳。飲み仲間。
今田麻希子・・・ちなつの会社後輩で27歳。飲み仲間。
嘉藤氏・・・トラベルジャパン社の担当者。ちなつに好意。
上司A・・・トラベルジャパン社の嘉藤氏の上司。

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田中:
「あー!!僕もありえない話思い出しました!」
--------


田中:
「実はこないだ、一人で占いにいったんですよ。
 最近仕事がうまくいってないんで、『新宿の継母』のところに行ったんですよ。

 そしたら、『予約がないと入れないの。』って言われまして、結局その日は
 占ってもらえなかったんですけど、


 3日後に仕事で『新宿の継母』の前を通ったら、なんと、そこがつぶれて
 やがったんですよーーー!!!


 3日前は『予約でいっぱい』とかいうときながら、つぶれてるんですもん。

 ほんまありえないっすよ!!


 結局僕の仕事運分からんままじゃないですかーーー!!!(怒怒怒怒)」



なにやら田中は当日のことを思い出してヒートアップしているらしい。

無理もない。
彼は新規プロジェクトでだいぶこてんぱんに社内・取引先にやられているようだから。。


田中:
「ぐおぉぉぉぉぉぉぉぉおおおお!!」

(バタッ)



あれ?

田中のことをちょっと無視してしゃべりこんでいたちなつと今田が振り返ると、
なんと田中が倒れているではないか!!!!!!


ちなつ:
「うわぁーーーーー!」

今田:
「あれぇぇぇぇ?」


急いで駆け寄る二人。


しばらく田中のことをじっと見つめる二人。


すると倒れていた田中がパッと目を開いた。


田中
「いや~~~~~、びっくりしましたぁ!??
 あまりに二人が占いの話しで盛り上がりまくってるんでついつい倒れたフリを
 してしまいま・・・・・グフッ!!」


田中が言葉を全て言い終わる前に、ちなつの右ストレートが田中の顔面を捉えた!!
そう、まるでK1のバダハリ並の右ストレートだ!!






ちなつ:
「バカヤローーーーーー!!!
 気分で倒れたフリとかすんじゃねぇよ!!!
 めちゃめちゃ心配したやないかーーーーーー!!!
 このどあほーーーーーー!!!」

今田:
「わははははははは(笑)」



そう。ちなつは田中進のことを心配していたのだ。
(でも今田は演技だと見抜いていた。)



道の真ん中で倒れたフリをする田中進の存在自体があり得ないが、
ひとまず胸を撫で下ろすちなつであった。


ちなつ:
「じゃあ私は『高田馬場の父』に占ってもらおっかな~~~~」


ひそかに『新宿の継母』をねらっていたちなつだっただけにショックを隠しきれない様子ではあった。。。


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【登場人物のおさらい】

竹本ちなつ・・・広告代理店『スロープコミュニケーションズ』で営業勤務 28歳 主人公
青山健二(H)・・・3年前に電車でであった青年。1年前にもばったりぶつかる。
          青山(T) とは面識あり。まだ謎多し。
青山健二(T)・・・トラベルジャパンに勤務する。エキスポにて連絡をもらう。
田中進・・・ちなつの会社後輩で26歳。飲み仲間。
今田麻希子・・・ちなつの会社後輩で27歳。飲み仲間。
嘉藤氏・・・トラベルジャパン社の担当者。ちなつに好意。
上司A・・・トラベルジャパン社の嘉藤氏の上司。

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