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オバマのアメリカ 閉鎖社会トヨタと米国

オバマのアメリカ

「閉鎖社会トヨタが直面する情報公開社会」

-内々の情報が支配する日本の企業は変われるのか?-
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http://www.car-buying-prices.com/toyota-prius.html  米・アリゾナ州フェニックスのトヨタディーラーのホームページに掲載されているプリウス


08年に世界一の自動車メーカーになったと思ったトヨタ自動車に奈落が待ち構えていた。

米国で生産する主力車種のアクセル部品のリコールに始まり、ついには日本で生産するトヨタの戦略車種プリウスのリコールに至り、アメリカ議会での公聴会にトヨタの社長自身が呼ばれるまでになってしまった。

問題は世界的企業になったはずの、トヨタ自動車「内部」だけで通用する「内々」の論理が、情報公開を重要視するアメリカ社会、ひいてはグローバルスタンダードと本質的に対立していることが根本的な原因としてあると思う。

これまでの経緯を新聞報道でみていると、「変っていないな」と思わずため息がでた。

1982年、某大手通信社名古屋支社にカメラマンとして勤務していた時代のことだった。

トヨタ自工(自動車生産)とトヨタ販売(自動車販売部門)が、合併することになった。工販合併というビッグニュース

すでに世界的な企業だったトヨタの姿が大きく変る。これは写真として記録しておかなければ、トヨタ自動車の広報に写真撮影の許可を求めた。世界的にも重要な経済ニュースなのだから、簡単に取材許可が出るものと思ったら大間違い。

広報担当者が電話口でいわく、「内内のことですから・・・」。

「うっ?」。最初は意味がわからなかった。世界的な自動車メーカーの大合併が、「内々のこと???」。

プリウスのブレーキ欠陥の問題を、運転者の「フィーリング」の問題と言い切った副社長の発言の根底にあるのは、トヨタ自動車の内部では千葉県松戸市で発生した追突事故の原因を「フィーリングの問題」と判断する論理が通用していたからこそ、出てきた発言なのだろう。

一方で、プリウスのABSシステムの「プログラム」を密かに、改修していたことがわかるに及んで、「内々の論理」が支配する会社が、果たしてグローバル企業として成立するのだろうかという疑問を禁じえない。

ブレーキを踏めば車は止まる。アクセルを緩めれば速度が減速する。これがグローバルな考え方だ。プリウスがある条件で、「ブレーキが利かないフィーリングがする」のであれば、車を販売するときに、顧客にそのことを事前に説明しておくのが、常識だろう。

トヨタが直面している問題は、技術的な問題ではない。情報公開と説明責任を「外部」に向かって果たすことができるのかという「会社の体質」が問題になっているのだと思う。

米議会公聴会での矛先は、トヨタ自動車の発展を支えた「内々の論理」に向けられることは間違いない。

(Global Photo Exchange Yoji Sugaya)


オバマのアメリカ 3人の米陸軍兵士の死

オバマのアメリカ 

「戦争をする国・せざるを得ない国」⑪

-パキスタンで米陸軍兵士戦死のもつ重要性-

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Special Forces Soldiers from the 3rd Special Forces Group patrol a field in the Gulistan district of Farah, Afghanistan with Afghan National Army commandos from the 207th Kandak, April 12. Photo Credit: Spc. Joseph A. Wilson アフガン軍といっしょに活動する米特殊作戦部隊の兵士(手前)(米陸軍提供写真)


パキスタンで米陸軍の兵士3人がロードサイト爆弾で死亡した。

これまでアフガンからCIAが無人偵察・爆撃機を飛ばして、パキスタン領内にいるタリバンやアルカイダに攻撃を加えていたが、アメリカが陸上兵力を展開してることはあまり公にはなっていなかった。

ニューヨークタイムズ電子版 によれば、3人の兵士たちはパキスタン辺境の民兵組織を「訓練」するための要員で、パキスタンに駐留する少なくとも60から100人の米陸軍のSpecial Forces に属しているという。つまり通称グリーンベレーと呼ばれるベトナム戦争などで有名になった部隊だ。

インド など周辺国のメディアも大きく報じている。

訓練要員という名目で活動する米陸軍だが、実戦での訓練はそのまま戦闘行為に変化する。

訓練や軍事顧問の名目で駐留していた陸上兵力が戦闘に巻き込まれるばかりでなく、直接的な戦闘に介入していったベトナム戦争の悪夢が思い出される。

(Global Photo Exchange 菅谷洋司)



オバマのアメリカ 内憂外患のがけっぷち

オバマのアメリカ 大統領就任から一年

「オバマを待ちながら」-最終回
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2008年8月28日デンバー民主党大会最終日、いろいろなアメリカ人がオバマを見つめていた・・・

(Global Photo Exchange=Yoji Sugaya)


昨年オバマ大統領の就任式を取材するのをきっかけに、「オバマのアメリカ」と題して、ブログを始めた。

米民主党大会でオバマが大統領候補に指名されたときに、大統領当選を予感、その後米東海岸の南部を中心に、選挙戦を見つめてみた。

しかし、支持者の熱狂的な姿とは裏腹に、オバマがとなえる「Change」の意味がつかめず、オバマとは一体何者なのかいう素朴は疑問から、ブログを書き始めた。

「オバマを待ちながら」との統一タイトルの初回(下記)を読んでみていただきたい。

http://ameblo.jp/globalphotoex/entry-10195733380.html

以下抜粋する。


「超難解な戯曲として知られる「ゴドーを待ちながら」のゴドーさんとはだれなのだろう。なんなのだろう。オバマとはだれなのだろう。なんなのだろう。

それは神であったり、希望であったり、虚無であったり、死であったり、いろいろな解釈があるのだそうだ。さまざまな人間の意識を投影しているものだから、実体がない。だからゴドーさんはなんにでもなれる。

オバマが今も広範囲な米国民を支持層につかんでいる理由は、彼の思想の高邁さや人間的魅力にあるのではなく、さまざまな人の不安に根ざした希望を無意識に取り込む天性の才能がもたらしたものかもしれない。

わたしは「オバマ」が危ないと思っている。

「オバマ政権」という意味では、超短期政権になる可能性を秘めている。」


幸か不幸か、超短期政権とはいかないまでも、予想通り、オバマが口にした「チェンジと希望」が遠のいていく予感がする。

昨日、ワシントンポストが衝撃的ニュース をメールで送ってきた。

40年以上にわたり君臨していたエドワード・ケネディー上院議員(民主党重鎮)の死去に伴うマサチューセッツ州連邦上院議員選挙で、共和党の候補が当選したのだ。全米でも屈指の民主党支持者の多いリベラルな州で、実に31年ぶりの共和党上院議員誕生だ。

これまで、共和党議員を民主党に鞍替えさしたりしてなんとか上院での議事妨害

フィリバスター )を阻止して、法案を通る議会を維持していた民主党とオバマが窮地に立たされてしまった。

すでに日本のメディアも大きく取り上げているように、まずは昨年末になんとか通過させた医療改革法案が大幅な修正を迫られる、あるいは廃案になる可能性が高まった。

そればかりでなく、今年11月に予定される中間選挙で、下院で民主党が大幅に議席を減らすことになれば、オバマ政権はほとんどレイムダックになるだろう。

一方、国外ではカブールでタリバンによる銃撃戦に象徴されるように、オバマが選挙公約で高々と掲げていた「アフガニスタンへの増派、タリバン、アルカイダの殲滅作戦」も危うくなっている。

オバマは支持率の低下が現実の政治の世界に大きな影響を与えだした今、オバマはどうするのだろうか。


おそらく妥協に妥協を重ねて、大統領再選を目指すだろうが、イソップ物語のコウモリになればなるほど、オバマを指示した左派からもリベラルから見放されていくのではないか。その目減り分をもともと共和党寄りだったが、大統領選ではオバマに一票を投じた人たちに再度投票させるのもむずかしい。


アメリカ人はかなりずぼらなだが、うそつきは大嫌いだ。一方で、どんな悪人でも謝罪をする人を受け入れる。人種差別主義者だったウォーレスアラバマ州知事が、晩年車椅子に乗った姿で黒人たちの教会に行き、それまで自分のとった行動を謝罪するシーンが、有名なアメリカ映画の中であった。黒人たちが拍手で、その謝罪を受けれた時には、映画とはいえ思わず涙腺がゆるんでしまった。


オバマは確かに演説はうまい。しかし、「うそ」とまではいわないものの、重要な部分をレトリックであいまいにしている。また発言と現実の間に乖離(かいり)がでたときに、自己弁護と言いわけとしか思えない言動をたびたび発する。あるいは、問題になった部分について言及しないこともしばしばだ。

オバマはもっと人間を信頼するべきなのだ。率直に語ることで人々の心をつかもうとするのではなく、何とかレトリックでごまかそうとしているような言動が目立つ。

オバマが発する崇高な言葉に中身がないことがだんだんアメリカの一般大衆にわかってしまったのが、支持率低下の最大の原因だろう。世界各国でも同じような見方をする人が増えているはずだ。


自分たちの夢を実現するために、アメリカ人は「オバマ」を待っていた。だが、オバマはやはり「ゴドー」でしかなかったのではないだろうか?

原点があるものならば、原点に立ち戻ってオバマの奮起を期待する。

(Global Photo Exchange 菅谷洋司)


ひとこと:

日本でも(CHANGE)を掲げた民主党政権が苦境に立っている。中身もなし、オバマほどのカリスマ性もない民主党は一年もたたずに苦境に立たされている。

今、日本の政治の質と民度が試されている。