オバマのアメリカ アフガン戦死者999人
オバマのアメリカ
「戦争をする国・せざるを得ない国」⑭
This photo released by the U.S. Department of Defense shows flag-draped coffins of U.S. war casualties aboard a cargo plane in Dover, Del. Flag-draped coffins of U.S. war casualties are seen aboard a cargo plane at Dover Air Force Base in Delaware. 全ブッシュ政権では許されていなかった帰国した戦死者の棺の写真が、オバマ政権では公開されるようになった。それだからといって遺族の悲しみが癒されるわけではない
デンバー五輪もたけなわの2月18日。アフガニスタン南部で2人のアメリカ海兵隊員がタリバンの放った銃弾に倒れた。
2人はオバマがアフガン情勢転換の大きなてこにしようとして2月12日に開始されたタリバンの拠点、ヘルマンド州マージャの制圧作戦に参加していた。
戦死した2人はともに19歳だった。アメリカ東海岸のペンシルバニア州とバージニア州の出身。
アフガンの戦死者の統計をまとめている米民間団体icasuality.org によれば、2001年のアフガン戦争開始以来、2人の死でアメリカ軍の戦死者が999人になった。どちらが998番目でどちらが999番目の戦死者かわからないが、家族や友人たちにとっては何万人の死に値する悲しみだろう。
2人の戦死に関する米国防総省の2つのプレスリリースは以下の通り。
IMMEDIATE RELEASE | No. 129-10 February 19, 2010 |
IMMEDIATE RELEASE | No. 128-10 February 19, 2010 |
一方で、アメリカの反戦団体は戦死者が1000人に達した時点で大規模は抗議集会をニューヨークで開催することをアナウンスしている。反戦団体から送られてきたメールの一部を掲載する。
無味乾燥な政府発表文と反戦団体のビラ。いずれの文書にも2人の死の実像は見えてこない。
ひとこと:
オランダがアフガン派兵継続をめぐって、連立政権が崩壊した。それを伝えるオランダの英字新聞 。オランダ軍の戦死者はこれまで22人。
今、BBCがアフガンでNATO軍の誤爆
により、30以上のアフガン市民が死亡下と伝えている・・・
オバマのアメリカ 従軍取材が伝えるもの
オバマのアメリカ
「戦争をする国・せざるを得ない国」⑬
-米国メディア従軍取材の写真スライドショー -
Troops under attack in Marja, a Taliban stronghold in Helmand Province, on Sunday. Tyler Hicks/The New York Times
平和の祭典、バンクーバー五輪の開会式とほぼ同じころ、アフガニスタンでは米軍、多国籍軍とアフガン軍が合同で、反政府勢力タリバーンが拠点とする同国南部ヘルマンド州のマージャで大規模攻撃を開始した。
多連装ロケット砲で、民間人に死者がでるなど、アフガン情勢の今後を暗示するような兆候がでている。
戦争をする国「アメリカ」のジャーナリストはどのような取材をしているのだろうか。
米主要紙ニューヨークタイムズ、ワシントンポスト紙などは「従軍カメラマン」を派遣。激しい取材合戦を行っている。
複数の従軍取材スライドショー をニューヨークタイムズが電子版で掲載している。
ワシントンポストも同様のスライドショー も電子版に掲載している。前半部分は企業のコマーシャル映像。
なに伝えているのだろうか。そして、肉体的にも精神的にも、戦争の一方に密着する形での取材が何を伝えることができないのか、予断を持たずに見てほしい。最後に米海兵隊が配信している写真を一枚だけキャプション付きで載せてみた。
Photo: Tyler Hicks/The New York Times
Marines Battle Taliban Fighters in Offensive のスライドショーから
2/9/2010 2:56:00 PM | |
Sgt. Brian A. Tuthill | |
Caption |
HELMAND PROVINCE, Islamic Republic of Afghanistan – A Marine with Weapons Platoon, Charlie Company, 1st Battalion, 3rd Marine Regiment, sprints down the line of heavy machine guns to deliver a map after a firefight with Taliban insurgents Feb. 9 at the “Fire Points” intersection, a key junction of roads linking the northern area of the insurgent stronghold of Marjeh with the rest of Helmand province. Marines of Charlie Co. conducted a helicopter-borne assault earlier that morning to seize the area. (Official Marine Corps photo by Sgt. Brian A. Tuthill) |
Unit |
Regimental Combat Team 7 |
VRIN# |
100209-M-2934T-0224 |
Dateline |
HELMAND PROVINCE, Afghanistan |
ID |
3366 |
Content Type: Picture
海兵隊の写真とメディアの従軍カメラマン撮影の写真に違いはあるのだろうか・・・
(Global Photo Exchange Yoji Sugaya)
オバマのアメリカ ガラパゴス日本との同盟関係
オバマのアメリカ
「戦争をする国・せざるを得ない国」⑫
-戦争を知らないガラパゴス日本の政治家の無知-
米バージニア州クアンティコの海兵隊基地内で訓練をする米海兵隊士官たち=09年2月撮影
(Global Photo Exchange/Yoji Sugaya)
鳩山民主党政権が、自分自身と小沢氏の金の問題でがたがたになっている。その間隙を突いたわけではないだろうが、社民党の阿部文子氏、国民新党の下地幹郎氏らが、沖縄・普天間海兵隊基地の代替地を探しに、さっそうと太平洋戦争の玉砕の島、サイパン島に行った。
阿部氏はいざ知らず下地氏は沖縄県選出の衆院議員。いくら離島出身だといっても、沖縄の基地の機能や軍事的役割は知っているはずだ。
基本的な数字を挙げてみる。
沖縄本島の面積 1206.49km。 その約20%は米軍基地が占有
グアム島の面積 549平方km 3分の1が米軍基地
サイパン島の面積 115.39平km
グアムは沖縄本島の約半分(淡路島ぐらい)、サイパンは約10分の1だ。(伊豆大島の2倍ぐらい)。2倍の面積の沖縄本島でさえ、約20パーセントの米軍基地をかかえて、大変だといっているのに、30パーセントが米軍基地で占められるグアムの基地をおく余裕はないだろう。いわんやサイパン島は無理に決まっている。
同行した日本のメディア は米自治領・北マリアナ連邦のベニグノ・フィティアル知事の話をなんとなく載せていたが、いくらサイパン島の知事が、「歓迎する」といってもない袖はふれるわけがない。
さらに沖縄の海兵隊員はヘリの整備ばかりやっているわけではない。さまざまな戦闘を想定して、日々演習をやっている。滑走路を作れば、移設がすむわけではない。
さらにいえば、台風が多い北マリワナ諸島から、台風避難のため、B52爆撃機がかつて沖縄に飛来してきたことや、中国大陸、朝鮮半島、台湾などとの距離がありすぎることを考えれば、米国が躊躇するのは当然だ。
軍事問題の専門家でなくても、真剣に普天間の代替基地をさがしている与党の議員はなにを根拠にグアム、サイパンを選択肢に上げているのかその無知ぶりはあまりにお粗末すぎる。
日米同盟のあり方の問題は別として、基礎的な知識を無視した形で、日米同盟関係を考える戦争を知らない「ガラパゴス」日本の政治家の行動には不安を禁じえない。アメリカ政府も同様だろう。
(Global Photo Exchane Yoji Sugaya)